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呪物
呪物 その5
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呪物シリーズ最後に登場するもの。それは「数珠」である。
今回の一品も、普通の考えから言えば「呪物」とは無縁の代物である。
しかし、その用途は
いわゆる「そういった場(葬式など)で使用される事」がほとんどである。
そして、代々受け継がれていった数珠というものは
それだけでも、とてつもない力を秘めている。
歴代の持ち主によって、念が込められているからである。
数珠の出番となる場では、良くも悪くも感情が大きく揺れ動く物であり
その波動を受け、数珠は力を貯めていく。
故に、扱いを間違えれば
文字通り「とんでもない目」に合ってしまう。
私の知り合いに「村田(仮名)」という男が居る。
彼は、普段から俗にいう「チャラ男」だった。
私の知る限り、彼が女性と付き合い、そして泣いて去っていった数は
手足の指では足りないだろう。
だが、私は不思議だった。
確かに、彼はいい加減な部分も多い。
しかし、それ以上に「人間関係」は厳しくしつけられた様で
対人となると、彼は非常に真面目な性格だった。
惜しむらくは、遊び方が酷いという事だけだ。
友人たちと遊びに出た際、一日で10万以上を使って派手に遊んでいたのは
彼だけである。
「箍が外れると面倒なタイプ」だったのは事実だ。
そんな彼が、ある日
かなり質の良さそうな数珠を手に私の元にやって来た。
聞けば、その数珠は当時亡くなってしまった彼の友人の形見だったそうだ。
問題は「その数珠がとてつもなく負のエネルギーを発していた事」だ。
一目見て、直ぐに分かる程
「これはヤバい」そう思える代物だった。
更に話を深堀していくと
その友人は「自殺」だったそうだ。
そして、その手に固く握られていたのが「その数珠」だった。
しかも、遺書によって
その数珠が「村田」へと譲渡される事になったそうだ。
しかし、その理由は不明だった。
そこまで聞き終わった私は、耐え切れずトイレに駆け込んだ。
一目見てからずっと気分が悪かったからだ。
そして、村田は言う。
「一人暮らしのはずなのに、家に誰かが居る様な気がするんだよ。」
当然だ。
ここまで念が強ければ、念だけが独り歩きしてしまえるだろう。
それを彼が感じ取っていたとしても不思議ではない。
程なくして、村田は自殺した。
村田の残した遺書によって、その数珠は「私の元へ譲渡された。」のだ。
私は直ぐに分かった。
「この数珠は道連れを探している。」
数珠が手元に届いたその足で、私はすぐに霊視鑑定人X氏の元に数珠を送った。
X氏の協力の元、元の持ち主について調べた結果。
ある事が判明した。
元の持ち主は、借金を抱えていたのだ。
そして、その事が元で、村田に助けを求めていたことが発覚した。
だが、村田がその彼を助ける事は無かったそうだ。
その理由は「遊ぶ金が減るから。」だったそうだ。
そして、その直後に友人は亡くなったそうだ。
しかし、私は「実際には違う理由があったのだろう」と考えている。
村田は何よりも「友達」という人種が好きなタイプであった。
故に「金の貸し借りで対等が崩れる」のを恐れていたのではないか?
しかし、その真意はもはや闇の中である。
もし仮に
数珠が「恨み」によって譲渡された遺品だったとしたら・・・?
とてもではないが、考えたくない動機である・・・。
今回の一品も、普通の考えから言えば「呪物」とは無縁の代物である。
しかし、その用途は
いわゆる「そういった場(葬式など)で使用される事」がほとんどである。
そして、代々受け継がれていった数珠というものは
それだけでも、とてつもない力を秘めている。
歴代の持ち主によって、念が込められているからである。
数珠の出番となる場では、良くも悪くも感情が大きく揺れ動く物であり
その波動を受け、数珠は力を貯めていく。
故に、扱いを間違えれば
文字通り「とんでもない目」に合ってしまう。
私の知り合いに「村田(仮名)」という男が居る。
彼は、普段から俗にいう「チャラ男」だった。
私の知る限り、彼が女性と付き合い、そして泣いて去っていった数は
手足の指では足りないだろう。
だが、私は不思議だった。
確かに、彼はいい加減な部分も多い。
しかし、それ以上に「人間関係」は厳しくしつけられた様で
対人となると、彼は非常に真面目な性格だった。
惜しむらくは、遊び方が酷いという事だけだ。
友人たちと遊びに出た際、一日で10万以上を使って派手に遊んでいたのは
彼だけである。
「箍が外れると面倒なタイプ」だったのは事実だ。
そんな彼が、ある日
かなり質の良さそうな数珠を手に私の元にやって来た。
聞けば、その数珠は当時亡くなってしまった彼の友人の形見だったそうだ。
問題は「その数珠がとてつもなく負のエネルギーを発していた事」だ。
一目見て、直ぐに分かる程
「これはヤバい」そう思える代物だった。
更に話を深堀していくと
その友人は「自殺」だったそうだ。
そして、その手に固く握られていたのが「その数珠」だった。
しかも、遺書によって
その数珠が「村田」へと譲渡される事になったそうだ。
しかし、その理由は不明だった。
そこまで聞き終わった私は、耐え切れずトイレに駆け込んだ。
一目見てからずっと気分が悪かったからだ。
そして、村田は言う。
「一人暮らしのはずなのに、家に誰かが居る様な気がするんだよ。」
当然だ。
ここまで念が強ければ、念だけが独り歩きしてしまえるだろう。
それを彼が感じ取っていたとしても不思議ではない。
程なくして、村田は自殺した。
村田の残した遺書によって、その数珠は「私の元へ譲渡された。」のだ。
私は直ぐに分かった。
「この数珠は道連れを探している。」
数珠が手元に届いたその足で、私はすぐに霊視鑑定人X氏の元に数珠を送った。
X氏の協力の元、元の持ち主について調べた結果。
ある事が判明した。
元の持ち主は、借金を抱えていたのだ。
そして、その事が元で、村田に助けを求めていたことが発覚した。
だが、村田がその彼を助ける事は無かったそうだ。
その理由は「遊ぶ金が減るから。」だったそうだ。
そして、その直後に友人は亡くなったそうだ。
しかし、私は「実際には違う理由があったのだろう」と考えている。
村田は何よりも「友達」という人種が好きなタイプであった。
故に「金の貸し借りで対等が崩れる」のを恐れていたのではないか?
しかし、その真意はもはや闇の中である。
もし仮に
数珠が「恨み」によって譲渡された遺品だったとしたら・・・?
とてもではないが、考えたくない動機である・・・。
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