骸行進

メカ

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来訪者

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これは、とあるマンションの一室に住んだ男の話だ。
「マンション」に「来訪者」と聞くと
誰もが、インターホン絡みである事は想像できるであろう。
そして、そのインターホンに応える為、外に出向いても誰も居ない。
挙句の果てには、ソレが昼夜を問わなくなり
ふと振り返った時、そこに誰かが居た。
なんて話は定番中の定番である。

だが、その男の場合
「来訪者」はそんな定番な客ではなかったそうだ。

男の名は「白木(仮名)」。
転勤の都合で、北海道から愛媛へ引っ越しとなった。

住み始めてから10日が立とうとした時の事だったらしい。
仕事終わりにテレビを見ながら晩酌をしていた彼の部屋に
ある「来訪者」が来た。

自称「霊能力者」を語る女だ。

時刻は夜の11時。
そんな時間に、一人とはいえ訳の分からない女が突然やって来た。
その時点で、恐怖でしかない。

「勧誘なら結構です。」

白木は、不愛想にあしらい扉を閉めようとした。

女は、どこぞの悪徳セールスの様に足をドアに挟み込み
無理やりこじ開けようとしてきたそうだ。

「警察呼ぶぞ!」

「危険なんです!」

白木の「警察」という言葉に反応したのか、女はそう叫んだという。

その問答を続ける事20分。
警察が2人。現場に到着、女を引き離し連行していったという。

これで一安心だ。
変に酔いが覚めた白木は、シャワーを浴びた。
脱衣所で体を拭いていると

コンコンコンコン!と素早いノック音が聞こえたそうだ。

この時、白木はなぜか「先ほどの警官か?」と思ったそうだ。
モニターで確認するも、誰も居なかった。

白木は飲み直す為に席に戻り、ビールに手を伸ばした。

それから1時間後。
先ほどと同じく

コンコンコンコン!

先ほどよりは勢いのある音が響いたという。

この時点で、白木は怯えたという。
普通であればイタズラ云々を疑い怒り出しそうなものだが
なぜ、彼が怯えたのか・・・。

それは、そのノック音が
玄関のドアからではなく、耳元で鮮明に聞こえたから。だそうだ。
当然、周囲にはそのような音の出るものなどない。

白木は恐怖から、布団を引っ張り出し
即座に寝る事にした。

そして、うとうとと意識は飛びかけた時、
それは起きた。

床下から突き上げる様に
「ドンッ!」と鈍い衝撃が伝わったそうだ。

慌てて飛び起きたが何もない。

それ以降、変わった事は起こらず
数日が経過したが・・・
その数日の間で、白木は体長を崩し入院した。

・・・後日
入院中、あの女がやって来たという。

「アンタッ!この間の!捕まったんじゃないのかよ!」

「どうしても聞いてほしい事があるんです!」

白木の拒絶などお構いなしに、女は椅子に座り、語り出した。

「このままだと、貴方が危ないんですよ。」

「新手の勧誘ならやめてくれ!」

「違うんです!・・・あの部屋で貴方が寝ている位置。・・・人が亡くなってるんですよ。」

その一言で、白木の脳内はパニックでショートした。

「正確には、あの上で首を吊った後、体重に耐えられなかった縄が切れて、遺体が・・・。」

「ふざけるな!出てってくれよ!」

白木は即座にナースコールを押し、看護師に頼み女を帰した。

だが・・・

その3日後。
とんでもない事実が発覚した。

入院中の白木の元に、女を連行した警官の片割れが来たそうだ。

「白木さん。貴方が住まわれてるお部屋なんですけどね・・・。」

警官の語った話は
とある女性の自殺について。だった。
そして、その話は女の語っていた内容とドンピシャだったそうだ。

「取り調べの際、異変を感じ取った女が危ないから!としつこく騒ぎ立てるものだから
こっちで色々と調べまして・・・。あまり報道されてない件なのに
やたら話がぴったり一致するもんで、僕も怖くなっちゃって・・・。」

警官はそう語ると、見舞いの品を残し去っていったそうだ。

残念ながら、それ以降
白木さんがその部屋をどのようにしたか。は分かっていない。

だが、その女はなぜ
白木さんの住所や寝ている位置、そして入院先の病院が分かったのだろうか・・・。

もしかすると、その女こそが・・・。
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