骸行進

心霊「豆知識」

危険なアルバイト

皆さん、巷に聞く「危険なアルバイト」といえば何を想像するだろうか？

ニュースなどで良く耳にするブラックバイト・闇バイト。
「受け子」「掛け子」などと言ったワードを聞く事だろう。

それらのバイトは「ある意味では」危険だ。
犯罪に直結する為だ。

だが・・・
この記事において、そのような実社会に影響するような「表の怖いバイト」など
紹介するはずがない。

これから紹介する「危険なアルバイト」は
発覚したとしても「確実に闇に葬られる」まさしく「闇バイト」だ。

そのバイトの概要はこうだ。

日給：1万～2万
1週間～数ヶ月の住み込み
生活してもらう事が仕事である。
掲載元は不動産屋である

此処まで聞けば察しの付く方が居るかも知れない。

この仕事の内容・・・それは
「事故物件に住み込みで生活するバイト」である。

以下、情報は長編特集の「怪室」にて登場した
私の後輩「伊藤」によってもたらされた情報である。

多くの場合、事故物件といっても
そこまで後ろ暗い過去を背負った物は少ないそうだ。
割合にすると「９：１」～「８：２」で「孤独死」や「自然死」に関する部屋の方が
圧倒的多数を占めるという。

そして、「事故物件」の条件であるが・・・
問題が起きて以降、誰も住んでいない場合には「告知義務」というものが発生する。
当然、問題があった部屋だ。料金も割安となる。

・・・だが。
もし仮に、そういった物件をいくつか抱え、尚且つ誰も借り手が付かず困っていた。
としたらどうであろうか？

そういった回転率の不便を解消する為、集められた有志。
それが今回の「アルバイト」である。

当然、内容の秘匿性から「保障」の類は一切存在しない。
それだけではなく、アルバイトから離れた後も「一切の口外を固く禁ずる」書類が存在する。
更に、アルバイト中に起きた如何なるトラブルにおいても「自己責任」である事が
確約必須だという。

そういった書類に同意がなければ
それらの仕事は回ってこない。

ここで一つ疑問に思わないだろうか？
なぜ、金額や日にちがバラバラなのか。

それにも訳がある。

基本的には、1週間の滞在。というのがメインになり
その間の給料は1日1万というのが相場だそうだ。

だが、中には
部屋を借りたのに、部屋に住まわずホテルや元居た居住で時間を潰す者がいる。

そういった違反を防ぐ為
企業から「ミッション」が科せられる。
「部屋で～をしてください。」というミッションだ。
そして、それについてのレポートないし動画などの物的証拠を要求する。

さらに、追加報酬として
その「タスク」の増加や「期間」の延長で、金額の上下が決まるそうだ。

だが・・・
私の後輩「伊藤」は話の最期をこう結ぶ。

「そういうのに躍起になって参加する人ほど、ある日ぱったり連絡が取れなくなるんですよ・・・。
契約の関係上、捜索願などは出されないんですけどね。」

私は、静かに相槌を打つしかなかった・・・。