骸行進

メカ

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長編特集

道端の花 2 「女」

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徳本氏と連絡を取り合う事、3か月。
この間に、彼は4度の入院を経験している。
理由は様々だ。

だが、3か月という短いスパンでそれだけの入院だ。
徳本氏の肉体・精神は着実に弱っていた事だろう。

徳本氏からの提案で、私は彼に電話を掛けてみる事になった。
というのも、電話越しでも何かが聞き取れるのではないか?と
徳本氏が不安視していたからだ。

だが・・・
その不安は泡沫に終わる。
何も聞こえなかったのだ。

それでも不安だと嘆く彼に、今度は直接のコンタクトを図る事を約束し
その日を待った。
彼が住んでいたのは群馬県。
そう遠くはない。

彼が良く使うという最寄りの駅で落ち合う事となった。
しかし、彼は時間になっても現れなかった。
携帯に連絡を入れてみたが繋がらない。

程なくして、駅から少し外れた商店街に人だかりができた。
遠目から観察していると、その集団の中に
救急車を確認した。

そう、その救急車で今まさに運ばれていく者こそ、徳本氏だったそうだ。

だが、私は
その救急車よりも遥かに気になる物を見つけてしまった。

集団から少し外れ、歩道の隅でしゃがむ「女」だ。

「・・・何だ・・・?」

その「女」は、ガードレールで体がほぼ隠れていた為に
何をしていたかまでは定かではないが
その「女」は、直ぐに起き上がり、人だかりに目を向け
まるで何も見ていないと言わんばかりに、速足でその場を去った。

私は直ぐに、「女」が居た場を確認しに向かった。

そこには、白く慎ましい花が数本、束になって添えられていた。
花に疎い私は、その花の写真を撮り、ふと思い出す。

徳本氏も、同じ状況を見たと話していた事を。

まるでその花を「女」が添えに言っているかのように・・・。

あの「女」こそ、徳本氏がみた「女」に違いないのだ。

「女」を追うかとも考えたが
少し時間が経ってしまった事や土地勘のない場という事も有り
その日は断念して帰る事にした。

3日後、徳本氏から連絡が入る。

彼は、あの時
駅に向かう途中、頭痛に襲われ、電柱に手を付き休んでいた。
しかし
原因不明の意識消失により、商店街で倒れていた所を、住民達が介抱していたそうだ。
病院にて検査入院を行ったが、異常が見つからなかったというのだ。

同日、私も「女」を見た事。そして「花」も確認した事を伝え
写真を送り、彼に確かめてもらった。

その結果、花は以前から添えられていた花で間違いないそうだ。
残念ながら、女の特徴まではすり合わせる事が出来なかったが・・・

私は、あの場に何か後ろ暗い過去があると睨み、徳本氏と共に
その現場について、引き続き調査する事となったのだ。
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