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タクシードライバー 「藤原さん(仮名)」の話
タクシー その1
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この話の主役であるタクシードライバーの藤原さん(仮名)との出会いは
私が二十歳の頃に遡る。
私と同じく、霊感の鋭い叔母に「近い内にアンタに話がある」と呼ばれ
都内に向かった時です。
私が物心ついた頃から、叔母の予言めいた言葉が何度か的中している過去を思い
何か、あるのではないか?と考えていました。
ですが私は、滅多な事では都内に行かない為、何処に何が有るやら・・・。
そこで、駅に止まっていたタクシーに乗り込みました。
そう、そのタクシーのドライバーが「藤原さん」だったのです。
1人、慌てて乗り込んだ私を、ガハハと笑いながらも
「お兄ちゃん、都内にはあんまり来ないの?」と気遣ってくれました。
そして、私が都内を訪れた経緯を聞くと
「帰りも困るでしょう?ここに連絡くれれば迎えに行くよ。」
そう言いながら差し出してきたのが名刺でした。
この時、私は
「なんて商売の上手い運転手なんだか・・・。」と少し呆れたものです。
しかし、少し話を交えてその認識は変わりました。
純粋に面倒見のいい藤原さんに、今では感謝しています。
その話を、叔母にもした所
「アンタ、近い内にもう一度会うよ。その名刺ちゃんと保管しておきな。」
その叔母の予言は再び、的中しました。
友人二人と、何気なく参加した心霊スポットツアー。
そのタクシーの運転手が「藤原さん」だったのです。
目的地に向かう道中、私の悪い癖が出ました。
「藤原さんは、何か怖い体験などはされてないんですか?」
「あぁ・・・あるよ。」
彼は、間髪入れずに「ある」と答えたのです。
しかし、その発言からしばらくの間
車内には沈黙が続きました。
「怖い経験って言うのは、人のトラウマになり易いからねぇ。
すぐに話せるだけの勇気がなくてごめんよ。」
「あ・・・いえ、こちらこそ。無理にとは言いませんので。」
気まずい空気にしてしまった。
事実、後部座席で共に座っていた一人の友人は、私を軽く睨み呆れていたのだ。
だが、さらに暫く間が開いた後
藤原さんは語り出したのだ。
(以下、藤原さんの語り口になります。)
~~~~~
数年前の事なんだけどね。
夜中一時を回った頃だったねぇ。1人のサラリーマンのお客さんを乗せてね。
酷く酔ってる様子で項垂れながら入って来たんだよね。
で、場所の確認をしたら、案外近くで・・・・。
暫く走って、環七の通りに入ったんだ。
夜も遅いからねぇ、乗用車よりトラックの方が多くて
見通しは少し悪かった。
でもね、舎監は十分に取ってたし、問題なく送り届ける事が出来るって自負はあったよ。
この道何十年ってやって来た訳だしね。
~~~~~
だが、藤原さんが語ったのは
じわじわと背筋をなぞる恐怖体験だった。
私が二十歳の頃に遡る。
私と同じく、霊感の鋭い叔母に「近い内にアンタに話がある」と呼ばれ
都内に向かった時です。
私が物心ついた頃から、叔母の予言めいた言葉が何度か的中している過去を思い
何か、あるのではないか?と考えていました。
ですが私は、滅多な事では都内に行かない為、何処に何が有るやら・・・。
そこで、駅に止まっていたタクシーに乗り込みました。
そう、そのタクシーのドライバーが「藤原さん」だったのです。
1人、慌てて乗り込んだ私を、ガハハと笑いながらも
「お兄ちゃん、都内にはあんまり来ないの?」と気遣ってくれました。
そして、私が都内を訪れた経緯を聞くと
「帰りも困るでしょう?ここに連絡くれれば迎えに行くよ。」
そう言いながら差し出してきたのが名刺でした。
この時、私は
「なんて商売の上手い運転手なんだか・・・。」と少し呆れたものです。
しかし、少し話を交えてその認識は変わりました。
純粋に面倒見のいい藤原さんに、今では感謝しています。
その話を、叔母にもした所
「アンタ、近い内にもう一度会うよ。その名刺ちゃんと保管しておきな。」
その叔母の予言は再び、的中しました。
友人二人と、何気なく参加した心霊スポットツアー。
そのタクシーの運転手が「藤原さん」だったのです。
目的地に向かう道中、私の悪い癖が出ました。
「藤原さんは、何か怖い体験などはされてないんですか?」
「あぁ・・・あるよ。」
彼は、間髪入れずに「ある」と答えたのです。
しかし、その発言からしばらくの間
車内には沈黙が続きました。
「怖い経験って言うのは、人のトラウマになり易いからねぇ。
すぐに話せるだけの勇気がなくてごめんよ。」
「あ・・・いえ、こちらこそ。無理にとは言いませんので。」
気まずい空気にしてしまった。
事実、後部座席で共に座っていた一人の友人は、私を軽く睨み呆れていたのだ。
だが、さらに暫く間が開いた後
藤原さんは語り出したのだ。
(以下、藤原さんの語り口になります。)
~~~~~
数年前の事なんだけどね。
夜中一時を回った頃だったねぇ。1人のサラリーマンのお客さんを乗せてね。
酷く酔ってる様子で項垂れながら入って来たんだよね。
で、場所の確認をしたら、案外近くで・・・・。
暫く走って、環七の通りに入ったんだ。
夜も遅いからねぇ、乗用車よりトラックの方が多くて
見通しは少し悪かった。
でもね、舎監は十分に取ってたし、問題なく送り届ける事が出来るって自負はあったよ。
この道何十年ってやって来た訳だしね。
~~~~~
だが、藤原さんが語ったのは
じわじわと背筋をなぞる恐怖体験だった。
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