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長編特集
怪室 3 「連鎖」
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鑑定人X氏に、件の手紙を送付し、それについての返答を待っている間
こちらでは、大きな変化が起きた。
伊藤の上司が、ある日を境に出勤して来なくなったそうだ。
勤続十数年の中堅が突如、無断欠勤を続けた事で
社長と人事の人間が、彼の自宅へ向かったそうだ。
結果、彼らが見つけたのは
自宅リビングで、首つりを図った上司の亡骸だった。
驚く事に、テーブルの上には遺書が用意されていたというのだ。
「これじゃ、まるで・・・夜逃げ一家と同じじゃないですか。先輩。」
「・・・落ち着けよ。伊藤。心配すんな。」
我ながら、次は自分かも知れないと怯える後輩に
どう声を掛けていいか迷ってしまった。
更に、その遺書については警察預かりとなってしまった事も有り
因果関係を探る事が出来なくなり
ありのままをXさんにメールのみで送信することになった。
翌日、Xさんから返信があった。
その内容は、想像の斜め上だったのだ。
「件の一室。強い念を感じるよ。もう何人か亡くなってるんじゃないかな。
幾つかの念が固まって、一つの思念が出来上がっちゃってるよ。」
しかし、伊藤が調べた結果
その一室には、曰くなど存在しなかったのだ。
「部屋で直接って事は無いだろうね。どちらかと言うと部屋から追い出そうとする念が強い。」
とうとう、精神的に参ってしまった伊藤は休職届を出し
家に引きこもる様になってしまった。
私は、そんな彼を連れ例の部屋に住んだことのある人を探しまわった。
結果として見つけられたのはたったの二人だけだった。
部屋に住んでいた事がある人間は、伊藤の記憶では5名。
しかし、現に連絡が取れたのは2人だけだったのだ。
しかもそのうちの一人は、県外へ越していた為、安易に会う事すら叶わなかった。
だが、二人に共通して言える事があった。
それが
「部屋でのケガが絶えない」というものだった。
ケガ自体は軽度な物らしいが、三日に一回は必ず新しい傷が出来る。
その二人が共通していたのは、そのケガと
「部屋に居たくない」という思いだった。
更に、調べて分かった事だが
連絡のつかなかった他三名は、既に死亡が確認されていた。
しかも、共通するのは部屋の契約を解消した後に「自殺」
新居に遺書を残し、忽然と姿を消し
数日後に遺体となって発見される。というものだった。
Xさんの言う通り
その部屋に関わった人物は、少なからず死んでいたのだ。
しかし、私は生き残っている二人と連絡を取れている。
この事をXさんに聞くと
「きっと、念(彼等)にも何かしらのルールがあって、人を選んでるんだよ。」
その何かしらの連鎖に怯える後輩にいたたまれなくなった私は
彼を家に帰し、以降の調査は一人で行う事にした。
こちらでは、大きな変化が起きた。
伊藤の上司が、ある日を境に出勤して来なくなったそうだ。
勤続十数年の中堅が突如、無断欠勤を続けた事で
社長と人事の人間が、彼の自宅へ向かったそうだ。
結果、彼らが見つけたのは
自宅リビングで、首つりを図った上司の亡骸だった。
驚く事に、テーブルの上には遺書が用意されていたというのだ。
「これじゃ、まるで・・・夜逃げ一家と同じじゃないですか。先輩。」
「・・・落ち着けよ。伊藤。心配すんな。」
我ながら、次は自分かも知れないと怯える後輩に
どう声を掛けていいか迷ってしまった。
更に、その遺書については警察預かりとなってしまった事も有り
因果関係を探る事が出来なくなり
ありのままをXさんにメールのみで送信することになった。
翌日、Xさんから返信があった。
その内容は、想像の斜め上だったのだ。
「件の一室。強い念を感じるよ。もう何人か亡くなってるんじゃないかな。
幾つかの念が固まって、一つの思念が出来上がっちゃってるよ。」
しかし、伊藤が調べた結果
その一室には、曰くなど存在しなかったのだ。
「部屋で直接って事は無いだろうね。どちらかと言うと部屋から追い出そうとする念が強い。」
とうとう、精神的に参ってしまった伊藤は休職届を出し
家に引きこもる様になってしまった。
私は、そんな彼を連れ例の部屋に住んだことのある人を探しまわった。
結果として見つけられたのはたったの二人だけだった。
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しかし、現に連絡が取れたのは2人だけだったのだ。
しかもそのうちの一人は、県外へ越していた為、安易に会う事すら叶わなかった。
だが、二人に共通して言える事があった。
それが
「部屋でのケガが絶えない」というものだった。
ケガ自体は軽度な物らしいが、三日に一回は必ず新しい傷が出来る。
その二人が共通していたのは、そのケガと
「部屋に居たくない」という思いだった。
更に、調べて分かった事だが
連絡のつかなかった他三名は、既に死亡が確認されていた。
しかも、共通するのは部屋の契約を解消した後に「自殺」
新居に遺書を残し、忽然と姿を消し
数日後に遺体となって発見される。というものだった。
Xさんの言う通り
その部屋に関わった人物は、少なからず死んでいたのだ。
しかし、私は生き残っている二人と連絡を取れている。
この事をXさんに聞くと
「きっと、念(彼等)にも何かしらのルールがあって、人を選んでるんだよ。」
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