骸行進

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長編特集

宿題 その5 「入院」

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夏休みが明け、いよいよ社会科の授業を受けよう。という時
増田は、交通事故に合い足を骨折。入院となった。

その影響もあり、我々の班は
増田の復帰を待って、改めて発表する事となり
資料は提出するのみとなった。

改めて、病院へお見舞いに行く事になった我々2人は
手土産持参で病室へと向かったのだ。

・・・病室を訪れた私質は絶句した。

「ここで補足だが、増田は中学3年生にしてはやや身長が高く
当時168センチだった。
また、野球部に所属し、体格にも恵まれていた。
夏が近づくと、日焼けが強くなり健康的に見えた彼が、正直羨ましかった。
剣道部で、日焼けなど一切しない私と並ぶと、まるでオセロのようだった。
クラスでも一際、明るく教室に居れば間違いなく一発で分かるタイプの人気者だ。」

その増田が・・・
まるで骨と皮だけの化物のように、やせ細っていたのだ。
立ち上がった彼は、今までとは違う意味で目立つ存在へとなり果てていた。

我々3人は、歴史の課題を夏休み序盤に仕上げ
その後、各々の宿題や家族との予定などが重なり会う事が無かった。
増田が入院したことを知ったのも、夏休みが明けた時だ。

「・・・ど、どうしたんだよ。増田・・・。」

「・・・あぁ・・・二人とも。来てくれたんだね・・・。」

我々の顔を見るなり、目先に視線を戻し、力なく答える彼がまるで
別人の様にすら感じた。
点滴棒を支えによろめきながら立つ彼の頬は扱け、顔にも生気がなかった。
ただじーっと一点を見つめ、こちらを見た眼は焦点が定まっていなかった。

「実はさ。あの後、拒食症みたいになってさ。飲まず食わずが続いちゃって・・・。」

「交通事故って聞いたけど・・・?」

「うん。三日間でペットボトル一本飲むのがやっとの状態にまでなっちゃって
いよいよヤバいって病院に行くことになったんだけどさ。そこで・・・。」

「事故に?」

「うん。」

感情の篭らない説明に、私は寒気を感じていた。
目の前に居る廃人が、本当に友なのか疑わしくなったのだ。

約一ヶ月で、私の知る快活な青年が廃人と化したのだ。疑いたくもなろう。

しかし、数週間後。
何度かの面会を経て、彼の顔に少し生気が戻った頃
私はある事を計画していた。

それは、彼の退院に合わせ新潟で撮った思い出の写真を共に見て談笑する事だ。
遠藤と共に、隊員が決まるその日まで、増田には秘密で準備を進めた。

結論から言おう。
そのサプライズは成功しなかった。
「共に写真を見る。」という行為そのものは叶った。
・・・だが、そこにひっそりと紛れていた一枚が
最期の引き金と言わんばかりに弾ける結果となった。
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