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葬儀業者「島さん(仮名)」の話。
炉に居座る者。 2/2
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重大インシデントを起こし、会社を追われた老年社員。名前は「小川さん(仮名)」
島さんの話では、その社員は勤続何十年というベテランだったそうだ。
いかにぼーっとしていたとはいえ、そんな大事故につながるようなミスを
その老年が起こすはずがない。
島さんはそう思い、彼の自宅を訪ねたそうだ。
「島くん・・・。申し訳ない。あの時の私はどうかしていた様だ。」
「いえ、無事だったので大丈夫ですよ。小川さん、パネルを操作した時
どうしてあそこに?」
その日、小川さんは外回りの為、あの時間帯には居なかったはずだと、島さんは語っていた。
しかし、その実
小川さんの周りでは立て続けに奇妙な事が起こり、外回り処ではなかった。
会社の玄関にある階段では、足がもつれ滑落し、移動用の社用車はパンクした。
階段から落ちた際、腰を打っており、念のため病院へ。
極め付けは、階段から落ちた衝撃で骨盤にひびが入っていたという。
社長に早退と休職の申し出を行う為、一度会社に戻ったというのだが
その際に、この事件が起きた。
「良く覚えてないんだけどね、社長に挨拶に行った所までは覚えてるんだ。
でも、次にふと我に返った時はもう・・・。パネル前から引き戻される所だったんだ。」
この時、島さんは冷静に「乗り移られたのでは?」と疑問に思ったそうだ。
炉の中で聞いた女性の声
ベテランの不幸の連続
そして、重大インシデント
島さんは、直球で彼に聞いたそうだ
「実はあの時・・・炉の中で女性の声を聞いたんです。聞き間違いかも知れませんが。
小川さん、何か心当たりはありませんか?」
すると、小川さんの顔色が見る見る変わったのだという。
「わ・・・私は、何も・・・。そろそろ通院の時間だ。わざわざ来てくれたのに悪いね。」
「いえ・・・長居してしまって申し訳ありません。」
明らかに何かを知っている。島さんはそう直感したそうだ。
そうして、出勤中
島さんは、最近あった葬儀の事について調べたそうだ。
その結果、分かった事がある。
あの事故の日の前日
20代前後の女性が亡くなり、あの炉が使われていたそうだ。
しかも、その日の担当が小川さんだったそうだ。
女性がなぜ亡くなったのかまでは分からないが
その日の業務日誌には、その女性の家族の事が書かれており
どうやら小川さんと何かあったようなのだ。
内容自体は島さんによって伏せられてしまったが、聞いた話では
亡くなった女性の私物について何かの揉め事があったそうだ。
島さんの行き着いた結論としては
その亡くなった女性が、小川さんに憑いてしまったのではないか?という見解であった。
未だ未練を抱えた女性が、炉に居座り
清掃に入った島さんを排除しようとしたのではないか?
この話を聞いた時
私は、炉に閉じ込められる恐怖を想像しながら
背筋に冷や汗をかいていた事を、未だに覚えている。
島さんの話では、その社員は勤続何十年というベテランだったそうだ。
いかにぼーっとしていたとはいえ、そんな大事故につながるようなミスを
その老年が起こすはずがない。
島さんはそう思い、彼の自宅を訪ねたそうだ。
「島くん・・・。申し訳ない。あの時の私はどうかしていた様だ。」
「いえ、無事だったので大丈夫ですよ。小川さん、パネルを操作した時
どうしてあそこに?」
その日、小川さんは外回りの為、あの時間帯には居なかったはずだと、島さんは語っていた。
しかし、その実
小川さんの周りでは立て続けに奇妙な事が起こり、外回り処ではなかった。
会社の玄関にある階段では、足がもつれ滑落し、移動用の社用車はパンクした。
階段から落ちた際、腰を打っており、念のため病院へ。
極め付けは、階段から落ちた衝撃で骨盤にひびが入っていたという。
社長に早退と休職の申し出を行う為、一度会社に戻ったというのだが
その際に、この事件が起きた。
「良く覚えてないんだけどね、社長に挨拶に行った所までは覚えてるんだ。
でも、次にふと我に返った時はもう・・・。パネル前から引き戻される所だったんだ。」
この時、島さんは冷静に「乗り移られたのでは?」と疑問に思ったそうだ。
炉の中で聞いた女性の声
ベテランの不幸の連続
そして、重大インシデント
島さんは、直球で彼に聞いたそうだ
「実はあの時・・・炉の中で女性の声を聞いたんです。聞き間違いかも知れませんが。
小川さん、何か心当たりはありませんか?」
すると、小川さんの顔色が見る見る変わったのだという。
「わ・・・私は、何も・・・。そろそろ通院の時間だ。わざわざ来てくれたのに悪いね。」
「いえ・・・長居してしまって申し訳ありません。」
明らかに何かを知っている。島さんはそう直感したそうだ。
そうして、出勤中
島さんは、最近あった葬儀の事について調べたそうだ。
その結果、分かった事がある。
あの事故の日の前日
20代前後の女性が亡くなり、あの炉が使われていたそうだ。
しかも、その日の担当が小川さんだったそうだ。
女性がなぜ亡くなったのかまでは分からないが
その日の業務日誌には、その女性の家族の事が書かれており
どうやら小川さんと何かあったようなのだ。
内容自体は島さんによって伏せられてしまったが、聞いた話では
亡くなった女性の私物について何かの揉め事があったそうだ。
島さんの行き着いた結論としては
その亡くなった女性が、小川さんに憑いてしまったのではないか?という見解であった。
未だ未練を抱えた女性が、炉に居座り
清掃に入った島さんを排除しようとしたのではないか?
この話を聞いた時
私は、炉に閉じ込められる恐怖を想像しながら
背筋に冷や汗をかいていた事を、未だに覚えている。
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