骸行進

メカ

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警官の友人「荻野(仮名)」の話

通報者

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友人「荻野」の務める交番に、一本の通報が入った。
時刻は午後六時頃だったそうだ。
通報者は、少女だった。

「お巡りさん、○○公園の近くでおじさん達が大声で喧嘩してるの。怖いから早く来て。」

「○○公園だね。分かりました、直ぐ行きますね。お嬢ちゃんは今どこに居るの?」

「公園の近くにある公衆電話。」

「お巡りさんに電話出来るなんて、偉いねぇ。おじさん達の事はお巡りさんが何とかするから
お嬢ちゃんは、近付いちゃだめだよ?」

「うん。」

荻野はこれ以上、少女が怯えない様、少女へ指示を出した。

こうして、交番から駆けつける事、約15分。
公演のベンチには、通報に合ったと思われる中年の男が二人、顔を傷だらけにして項垂れていた。

「この公園付近から、男が二人、言い争っていると通報を受けました。貴方がたで間違いありませんね?」

「・・・。」

男達は終始無言だったそうだ。
だが、先輩警官と共に、個々に話を聞いていくと
男達は、金銭トラブルを抱えていた事が分かったそうだ。
たまたま、公園で鉢合わせになり、片方がトラブルについて追及した所、つかみ合いになったという。

「大の大人が公衆の面前で、みっともないと思わないの?通報してきたの、子供だよ?」

先輩警官が、厳しめに諭すと二人は反省したようで
状況説明なども饒舌に対応するようになったそうだ。

これにて一件落着と思えた事件だが
荻野は、少女に安全を伝える為、公園の周辺を探したが
その少女を見つける事が出来なかったという。
しかも、見つからなかったのは少女だけではない。
少女が使ったと思われる公衆電話も、公園の近くには存在していなかったのだ。

「先輩、この付近に公衆電話なんてありませんでしたが・・・。」

「ん?あったよ。20年前までは・・・ね。」

荻野は、これを聞いてゾッとしたという。

後日、調べた結果
20数年前まであった公衆電話は「老朽化」と「とある事件」が切っ掛けで撤廃されたという。

そのとある事件については、詳細は語られなかったが
被害者となる人物は「小学六年生の少女」だったそうだ。
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