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悪魔の証明 ~後編~
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「清水さん、言い逃れは出来そうにないですね。何か反論はありますか?」
「な!・・・何ちゅー人や・・・。」
俺は、清水の動揺を見逃さなかった。まるで飼い犬に手を噛まれるかのように
まるで、後ろ指を指されるかのように。
そして、悲哀の表情へ変わり、ついに語り出した。
「わしゃ、本名を大山 徹っちゅーもんや。」
「!」
「信じられへんかも知れんが、第一調査団の生き残りじゃ。」
「待って!・・・あの大山隊員の事ですか!?清水さん!」
「おう、そうやで虹色君。」
「ば、馬鹿な。第一調査団は壊滅。その調査に第二調査船団が派遣されたはずだ!」
「まぁ、落ち着いて聞き~や、2-Cのリーダーさん。」
「・・・どうやって生き残ったのですか。」
「第二調査船団が派遣された時、ノアではまだ調査船団の支援方式が定まっていなかった。
その支援方式をどうするか議論の間、船団には定期便を送ったり、回収したりしとったんや。
そして、ワシが第二調査船団のクルーに発見され、秘密裏にノアへ運ばれたっちゅー訳や。」
「そんな重要事項を・・・秘密裏に・・・?」
「あぁ、あの時点では調査船団は壊滅色濃厚っちゅー事でノアの市民も半ば諦めとったさかい
生き残りが出たなんて混乱は避けたかったんとちゃうか?」
「そのアンタが何で今、此処に居るんだよ。」
「・・・あんたらには分からんやろうなぁ。体の中弄繰り回されて人類の希望だなんて煽てられ
向かった先は地獄の園だ。しかも、やっとの思いでノアに帰ったら
ワシ等、第一調査団は食糧問題解決の為に放り出された・・・いわばゴミだった。なんてな。」
「・・・。」
「そんな時、新政府の人間がワシにコンタクトを取って来た。」
「政府が?」
「あぁ、棄てられた恨み、晴らす気はないか?とな。」
「それは・・・。」
「新政府の考えは旧政府と殆ど変わってへんかったんや!ワシの生活を保障する代わりに
他のクルーをハメる計画を持ち掛けてきよった!」
「!」
「第二・第四調査船団が全滅したのは、政府の意向込みやったんや・・・。
ワシはその片棒を担がされとったに過ぎひん。ゾンビ襲撃の件も裏門の鍵を開け、ゾンビを招いたのはワシや。」
「何という・・・。」
「リーダー長、これが本当であれば我々も政府によって消される可能性が・・・。」
「静粛に!・・・彼の話は終わっていません。」
「虹色君・・・すまんかった。概ね君の推論通りや。探索班の発足も裏でワシが働きかけとったんや。」
「・・・それで、他の裏切者は何人いるんですか?」
「・・・それは言えれへん。堪忍してくれ!」
大の大人が、机に両手をついて、額を机にこすりつける様は無様だった。
それでも、俺の推論が立証された事はある種、喜ばしい事でもあった。
「まぁ、茨君。五分ほど休憩にしましょう。我々も衝撃的な内容が多く混乱している者も居ます。」
「・・・皆、聞いての通りだ。少しでも良心の残っている人は・・・宇宙船まで走れ!」
「い、茨君!?何を!」
「おっと、アンタらは動くな!このペンは盗聴器でな。ちょっとした爆薬も搭載してる
この教室事、皆で心中するか?嫌だよねぇ?なら大人しく座ろうか。ね、リーダー長?」
「・・・已むを得ませんね。」
「ごめんねぇ。貴方たちには他にも聞きたい事がいくつかあるんですよ。」
せめて、時間を稼ぐ必要があった。
友の為に、仲間の為に。
こんな汚いやり方しかできなかった。
罪悪感と焦燥の狭間、震える手に握られているペンは黒く怪しく光るだけだった。
「な!・・・何ちゅー人や・・・。」
俺は、清水の動揺を見逃さなかった。まるで飼い犬に手を噛まれるかのように
まるで、後ろ指を指されるかのように。
そして、悲哀の表情へ変わり、ついに語り出した。
「わしゃ、本名を大山 徹っちゅーもんや。」
「!」
「信じられへんかも知れんが、第一調査団の生き残りじゃ。」
「待って!・・・あの大山隊員の事ですか!?清水さん!」
「おう、そうやで虹色君。」
「ば、馬鹿な。第一調査団は壊滅。その調査に第二調査船団が派遣されたはずだ!」
「まぁ、落ち着いて聞き~や、2-Cのリーダーさん。」
「・・・どうやって生き残ったのですか。」
「第二調査船団が派遣された時、ノアではまだ調査船団の支援方式が定まっていなかった。
その支援方式をどうするか議論の間、船団には定期便を送ったり、回収したりしとったんや。
そして、ワシが第二調査船団のクルーに発見され、秘密裏にノアへ運ばれたっちゅー訳や。」
「そんな重要事項を・・・秘密裏に・・・?」
「あぁ、あの時点では調査船団は壊滅色濃厚っちゅー事でノアの市民も半ば諦めとったさかい
生き残りが出たなんて混乱は避けたかったんとちゃうか?」
「そのアンタが何で今、此処に居るんだよ。」
「・・・あんたらには分からんやろうなぁ。体の中弄繰り回されて人類の希望だなんて煽てられ
向かった先は地獄の園だ。しかも、やっとの思いでノアに帰ったら
ワシ等、第一調査団は食糧問題解決の為に放り出された・・・いわばゴミだった。なんてな。」
「・・・。」
「そんな時、新政府の人間がワシにコンタクトを取って来た。」
「政府が?」
「あぁ、棄てられた恨み、晴らす気はないか?とな。」
「それは・・・。」
「新政府の考えは旧政府と殆ど変わってへんかったんや!ワシの生活を保障する代わりに
他のクルーをハメる計画を持ち掛けてきよった!」
「!」
「第二・第四調査船団が全滅したのは、政府の意向込みやったんや・・・。
ワシはその片棒を担がされとったに過ぎひん。ゾンビ襲撃の件も裏門の鍵を開け、ゾンビを招いたのはワシや。」
「何という・・・。」
「リーダー長、これが本当であれば我々も政府によって消される可能性が・・・。」
「静粛に!・・・彼の話は終わっていません。」
「虹色君・・・すまんかった。概ね君の推論通りや。探索班の発足も裏でワシが働きかけとったんや。」
「・・・それで、他の裏切者は何人いるんですか?」
「・・・それは言えれへん。堪忍してくれ!」
大の大人が、机に両手をついて、額を机にこすりつける様は無様だった。
それでも、俺の推論が立証された事はある種、喜ばしい事でもあった。
「まぁ、茨君。五分ほど休憩にしましょう。我々も衝撃的な内容が多く混乱している者も居ます。」
「・・・皆、聞いての通りだ。少しでも良心の残っている人は・・・宇宙船まで走れ!」
「い、茨君!?何を!」
「おっと、アンタらは動くな!このペンは盗聴器でな。ちょっとした爆薬も搭載してる
この教室事、皆で心中するか?嫌だよねぇ?なら大人しく座ろうか。ね、リーダー長?」
「・・・已むを得ませんね。」
「ごめんねぇ。貴方たちには他にも聞きたい事がいくつかあるんですよ。」
せめて、時間を稼ぐ必要があった。
友の為に、仲間の為に。
こんな汚いやり方しかできなかった。
罪悪感と焦燥の狭間、震える手に握られているペンは黒く怪しく光るだけだった。
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