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悪魔の証明 ~前半~
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「皆さん、急ぎで集まってもらいありがとうございます。」
「緊急の要件という事で来たのだが?どういう事で君は誰な訳?」
「初めに名乗っておきます。現在、1-Aでリーダーを担っている茨 虹色です。」
「彼が血相を変えて私の所に来たのでね、リーダーの皆さんに集まってもらった次第です。
彼は聡明かつ行動力に優れる青年でね。今回も重大事実を話してくれるという事のようですよ。」
会議室に集まったリーダー達。俺はその中で一人、起立した状態で会議の幕を開いた。
覚えるに足らないどこぞのリーダーが不機嫌そうに尋ねるが、俺はそれも軽くいなす形となった。
俺の横に座り、優雅に話を進めるリーダー長の山崎は俺の紹介を終えると共に本題へと促した。
「何や、茨君、また何か分かったんかいな!?」
「お久しぶりですね、清水さん。そりゃ大変な事が分かりましたとも。」
「勿体ぶらんと、サクッと教えて欲しいわ。がははは。」
「リーダー長も清水さんもお待ちかねの様ですから、一つずつ順をおって遡っていきます。」
「どうぞ。」
「まず、第一の疑問として複数ある探索班の存在意義です。」
「それが、どないしたっちゅーねん。」
「最初こそ、校外近辺のマップ制作などに貢献していましたが、ここ数ヶ月は目立った活躍がない。」
「それは、最近サボタージュが多いからだと結論していますが?」
「いいや、そもそもこの探索班は最初から存在意義がない班だ。」
「なんやって?」
「探索班の掲げる柱の三つの目的。マップ制作・食料確保・情報収集。
この内一つは達成したが、この灼熱の大地で食料が見つかる訳がない。それに
活動範囲の狭い現状では情報収集にも限度がある。そもそも、赤い雨が降る条件も
気象観測班によって暴かれたもので、俺達探索班ではない。
その赤い雨が何時降るかも分からない大地に喜んで行く程、馬鹿でもない。」
「しかし、それはリーダー会議で必要と判断し多数決で決めた事だろう?こんな情勢に個人の感情一つで
全てを遅滞させる訳には・・・。」
「探索班が仕組まれた物でも?」
語気を強めた俺の一言に、リーダーたちは押し黙り、唸り声をあげる者もいた。
「茨君!探索班が仕組まれたってどないなこっちゃ!?説明してくれよ。」
「探索班が発足したのは、赤い雨によって被害者がでた後です。しかも、雨の毒性が強力になっているという
報告付きでね?そんな中、義勇兵なんて出てこないでしょうし探索に必要なメンバーを多数決という事で
募りました。しかし、問題はそれだけ?・・・違う。赤い雨の後、我々は実際にゾンビに襲われている。
そんな中を、目的こそあれど出歩くなど、正気の沙汰ではない。人を人と思わぬ所業だ。」
「た・・・確かに・・・そんなんがうろついてるって分かって何で探索班なんか・・・。」
「実質、探索班の3本の柱なんてなくても十分機能している我々に、なぜ必要だったのか。
簡単ですよ。ゾンビの居場所や習性を調べる為のモルモットが欲しかったんだろう!なぁ!裏切りモンよぉ!」
最後の一言を発した時、会議室はどよめいた。
だが、流石に半年間も人心を掌握してきたリーダー達だけあって、再び冷静な眼差しが
此方にむけられた。
「茨君、そこまで言うのであれば、指物、君でもある程度察しは付いてるんだろうね?その裏切者について。」
「当然です。山崎さん。」
リーダー長の怪しく光る眼光も、俺には怖くはなかった。
信用に足る仲間が帰りを待っているから・・・。
「緊急の要件という事で来たのだが?どういう事で君は誰な訳?」
「初めに名乗っておきます。現在、1-Aでリーダーを担っている茨 虹色です。」
「彼が血相を変えて私の所に来たのでね、リーダーの皆さんに集まってもらった次第です。
彼は聡明かつ行動力に優れる青年でね。今回も重大事実を話してくれるという事のようですよ。」
会議室に集まったリーダー達。俺はその中で一人、起立した状態で会議の幕を開いた。
覚えるに足らないどこぞのリーダーが不機嫌そうに尋ねるが、俺はそれも軽くいなす形となった。
俺の横に座り、優雅に話を進めるリーダー長の山崎は俺の紹介を終えると共に本題へと促した。
「何や、茨君、また何か分かったんかいな!?」
「お久しぶりですね、清水さん。そりゃ大変な事が分かりましたとも。」
「勿体ぶらんと、サクッと教えて欲しいわ。がははは。」
「リーダー長も清水さんもお待ちかねの様ですから、一つずつ順をおって遡っていきます。」
「どうぞ。」
「まず、第一の疑問として複数ある探索班の存在意義です。」
「それが、どないしたっちゅーねん。」
「最初こそ、校外近辺のマップ制作などに貢献していましたが、ここ数ヶ月は目立った活躍がない。」
「それは、最近サボタージュが多いからだと結論していますが?」
「いいや、そもそもこの探索班は最初から存在意義がない班だ。」
「なんやって?」
「探索班の掲げる柱の三つの目的。マップ制作・食料確保・情報収集。
この内一つは達成したが、この灼熱の大地で食料が見つかる訳がない。それに
活動範囲の狭い現状では情報収集にも限度がある。そもそも、赤い雨が降る条件も
気象観測班によって暴かれたもので、俺達探索班ではない。
その赤い雨が何時降るかも分からない大地に喜んで行く程、馬鹿でもない。」
「しかし、それはリーダー会議で必要と判断し多数決で決めた事だろう?こんな情勢に個人の感情一つで
全てを遅滞させる訳には・・・。」
「探索班が仕組まれた物でも?」
語気を強めた俺の一言に、リーダーたちは押し黙り、唸り声をあげる者もいた。
「茨君!探索班が仕組まれたってどないなこっちゃ!?説明してくれよ。」
「探索班が発足したのは、赤い雨によって被害者がでた後です。しかも、雨の毒性が強力になっているという
報告付きでね?そんな中、義勇兵なんて出てこないでしょうし探索に必要なメンバーを多数決という事で
募りました。しかし、問題はそれだけ?・・・違う。赤い雨の後、我々は実際にゾンビに襲われている。
そんな中を、目的こそあれど出歩くなど、正気の沙汰ではない。人を人と思わぬ所業だ。」
「た・・・確かに・・・そんなんがうろついてるって分かって何で探索班なんか・・・。」
「実質、探索班の3本の柱なんてなくても十分機能している我々に、なぜ必要だったのか。
簡単ですよ。ゾンビの居場所や習性を調べる為のモルモットが欲しかったんだろう!なぁ!裏切りモンよぉ!」
最後の一言を発した時、会議室はどよめいた。
だが、流石に半年間も人心を掌握してきたリーダー達だけあって、再び冷静な眼差しが
此方にむけられた。
「茨君、そこまで言うのであれば、指物、君でもある程度察しは付いてるんだろうね?その裏切者について。」
「当然です。山崎さん。」
リーダー長の怪しく光る眼光も、俺には怖くはなかった。
信用に足る仲間が帰りを待っているから・・・。
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