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何で、こうなるの! ~その3~
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「よし、ディオナ、シルヴィーさん。始めるよ!」
日の出と共に、作戦は開始。
俺の称号『フラグクラッシャー』を避ける為、俺には作戦内容が知らされていない。更に、念を入れて俺は古城には乗り込まない。
後は、ディオナの持つ称号『フラガー』に全てを賭けるだけである。
作戦開始から凡そ五分、ただ待つだけというのもつまらないものだ。
俺は、白んでいく空を見上げた。
「お前、亮か?」
「ん?・・・佐々木?」
「やっぱり!久しぶりだなぁ!」
「おう!元気だったかよ?」
「まぁな。」
「どうした?」
中学の時、同級生だった「佐々木 雄太」。
小学生の時から知っている顔なじみで親しい友人だった。
外回りの合間に再会した旧友は、一見しても認識できない程、雰囲気が変わっていた。・・・俺は変わっていないのに。
よくある再会の挨拶の中、彼は酷く哀愁を映した顔をしたのだ。
「あぁ、実はさ。俺、もうすぐ親父になるのさ。」
「はぁ!結婚していたのか?お前!それに喜ばしい事だろ?」
「そりゃ、嬉しいけどさ・・・。」
「ん?」
「俺が親父って・・・。実感湧かなくてさ。」
「・・・。」
彼の雰囲気が変わった理由が分かった。
彼は大人になった。否、大人になりかけている。
俺には到底理解できない喜び・苦悩。
学生の頃、共にイタズラなどを考案していた悪ガキは見る影もなかった。
「そっちは、最近どうなの?」
「え?あ、あぁ・・・。相変わらずだぜ?」
「だと思ったぜ。昔と変わってないからな、お前。」
「そ、そうかぁ?」
「あぁ、良いなぁ。お前。ちょっとうらやましい。」
嫌味にも聞こえる彼の無垢な言葉は正直、耳障りだった。
一瞬は友の幸せを共に喜ぼうとした。だが、彼はその幸せを悩んでいる。
悩むだけなら寄り添おう。しかし、彼は喜びと同じだけ虚しさを覚えた俺を羨んだのだ。
「お前、それ本気か?」
「まさか、だが、冗談のつもりでもない。」
「どういう意味だよ?」
「何というか・・・もう少し、悩む時間が欲しかった。気を悪くしたなら悪い。」
「いや・・・良いけどさ。」
「そうだ、今度飲みに行こうぜ。これ、俺の連絡先な。何かあったらここに。」
「お、おう。」
時というのは残酷だ。
共に同じ時間を生きたはずの友と、少しの時間をずらしただけで、こうまで世界が変わるとは。
だが、運命というのは逆説的に魅力的である。
数日後、彼と飲みの場で再び顔を合わせた俺達だが
その時、彼の顔は以前の顔ではなく、覚悟が出来た顔であった。それを見て、安堵した。と同時に、運命は動き出した。
話がまとまり、解散が近づいたその時、彼の携帯が鳴り彼は慌てて帰った。
状況から察するに、子供が生まれる直前か、直後か。
友の幸せに一人、ほころんだ笑みでグラスの酒を飲み干し帰路に就こうとした。
店を出て、しばらく歩いた時、路地に目が行った。
女が座り込み、震えていたのだ。
「あ、あの・・・。大丈夫ですか?」
「・・・。」
一定の距離を保ったまま、俺は声を掛けた。しかし、その返答は無かった。
「何かあったのですか?」
「うるさい。」
「体調が悪いなら、救急車呼びますよ?」
「ほっといてよ!」
「!」
勢い良く、上げられた顔は、涙で目元が腫れていた。
「なによ!」
「えーっと・・・。道すがら、君が見えたから。助けが必要かと思って。」
「必要ない!」
「なら、立てる?」
「はぁ!ほっといてって言っているの!日本語通じる?」
「立てないの?へー。」
「立てるって!ふぁ!」
「おっと。」
立とうとしたその女性はふらつき、それを見逃さず手を差し伸べた。
普通のロマンスであれば、此処からあり得もしない展開になる。
だが、流石は現実だ。
女性を交番まで送り届け、その日を終えた。
翌日の土曜。
二日酔いに苦しむ俺の携帯が、頭蓋を叩き割る様に鳴る。
しかし、俺はその着信を取る事はなかった。
そして、俺は我に帰るのだ。
「・・・遅いな。皆。」
「リョウ様、お茶でもどうですか?」
「村長・・・。どうも。」
「何やら、遠い目をなさっていましたが、悩みがお有りですかな?」
「え、えぇ・・・。過去の事を少し。」
「人生とは、不思議な物です。」
「え?」
「欲しい物は、今や過去には存在しないのです。リョウ様の憂いの根源も恐らくは、今や過去に根差したものではないでしょう。」
「・・・。」
「私も、過去に戻ってやり直したい。そう思う事はいくつもあります。ですが・・・良いですか?過去を変えたとしても、その結果が目に見えて現れるのは、今ではなく『未来』なのです。例え、どんなに今欲しいと願っても。」
「未来・・・ですか。」
「えぇ。恥ずかしながら、私もこの答えに辿り着くまでに、これだけの時間を要してしまった訳です。」
「時間。」
「過去の時間は帰って来ません。ですが、過去の時間が未来の時間に置き換わってその答えが見えるのですよ。」
「村長、貴方はそれでも・・・悔いはない。と言えますか?」
「えぇ、人の人生。悔いは一瞬です。」
「?」
「その悔いは、思い出すから長いのです。」
「は・・・はぁ。」
村長の話は難しく、俺には半分も理解できなかった。それでも、こうして
話を聞いてくれる人の有難みを痛感するのだ。
「ただいまー!」
「ん?」
「リョウさん、無事にゴブリンは退治して、古城内はクリーンになりましたよ。」
「遅かったですね・・・心配していた所ですよ。」
「そ、それが・・・そのぉ。」
バツが悪そうな精霊二人の後ろに、もう一つの影を見て、俺は絶句したのだ。
日の出と共に、作戦は開始。
俺の称号『フラグクラッシャー』を避ける為、俺には作戦内容が知らされていない。更に、念を入れて俺は古城には乗り込まない。
後は、ディオナの持つ称号『フラガー』に全てを賭けるだけである。
作戦開始から凡そ五分、ただ待つだけというのもつまらないものだ。
俺は、白んでいく空を見上げた。
「お前、亮か?」
「ん?・・・佐々木?」
「やっぱり!久しぶりだなぁ!」
「おう!元気だったかよ?」
「まぁな。」
「どうした?」
中学の時、同級生だった「佐々木 雄太」。
小学生の時から知っている顔なじみで親しい友人だった。
外回りの合間に再会した旧友は、一見しても認識できない程、雰囲気が変わっていた。・・・俺は変わっていないのに。
よくある再会の挨拶の中、彼は酷く哀愁を映した顔をしたのだ。
「あぁ、実はさ。俺、もうすぐ親父になるのさ。」
「はぁ!結婚していたのか?お前!それに喜ばしい事だろ?」
「そりゃ、嬉しいけどさ・・・。」
「ん?」
「俺が親父って・・・。実感湧かなくてさ。」
「・・・。」
彼の雰囲気が変わった理由が分かった。
彼は大人になった。否、大人になりかけている。
俺には到底理解できない喜び・苦悩。
学生の頃、共にイタズラなどを考案していた悪ガキは見る影もなかった。
「そっちは、最近どうなの?」
「え?あ、あぁ・・・。相変わらずだぜ?」
「だと思ったぜ。昔と変わってないからな、お前。」
「そ、そうかぁ?」
「あぁ、良いなぁ。お前。ちょっとうらやましい。」
嫌味にも聞こえる彼の無垢な言葉は正直、耳障りだった。
一瞬は友の幸せを共に喜ぼうとした。だが、彼はその幸せを悩んでいる。
悩むだけなら寄り添おう。しかし、彼は喜びと同じだけ虚しさを覚えた俺を羨んだのだ。
「お前、それ本気か?」
「まさか、だが、冗談のつもりでもない。」
「どういう意味だよ?」
「何というか・・・もう少し、悩む時間が欲しかった。気を悪くしたなら悪い。」
「いや・・・良いけどさ。」
「そうだ、今度飲みに行こうぜ。これ、俺の連絡先な。何かあったらここに。」
「お、おう。」
時というのは残酷だ。
共に同じ時間を生きたはずの友と、少しの時間をずらしただけで、こうまで世界が変わるとは。
だが、運命というのは逆説的に魅力的である。
数日後、彼と飲みの場で再び顔を合わせた俺達だが
その時、彼の顔は以前の顔ではなく、覚悟が出来た顔であった。それを見て、安堵した。と同時に、運命は動き出した。
話がまとまり、解散が近づいたその時、彼の携帯が鳴り彼は慌てて帰った。
状況から察するに、子供が生まれる直前か、直後か。
友の幸せに一人、ほころんだ笑みでグラスの酒を飲み干し帰路に就こうとした。
店を出て、しばらく歩いた時、路地に目が行った。
女が座り込み、震えていたのだ。
「あ、あの・・・。大丈夫ですか?」
「・・・。」
一定の距離を保ったまま、俺は声を掛けた。しかし、その返答は無かった。
「何かあったのですか?」
「うるさい。」
「体調が悪いなら、救急車呼びますよ?」
「ほっといてよ!」
「!」
勢い良く、上げられた顔は、涙で目元が腫れていた。
「なによ!」
「えーっと・・・。道すがら、君が見えたから。助けが必要かと思って。」
「必要ない!」
「なら、立てる?」
「はぁ!ほっといてって言っているの!日本語通じる?」
「立てないの?へー。」
「立てるって!ふぁ!」
「おっと。」
立とうとしたその女性はふらつき、それを見逃さず手を差し伸べた。
普通のロマンスであれば、此処からあり得もしない展開になる。
だが、流石は現実だ。
女性を交番まで送り届け、その日を終えた。
翌日の土曜。
二日酔いに苦しむ俺の携帯が、頭蓋を叩き割る様に鳴る。
しかし、俺はその着信を取る事はなかった。
そして、俺は我に帰るのだ。
「・・・遅いな。皆。」
「リョウ様、お茶でもどうですか?」
「村長・・・。どうも。」
「何やら、遠い目をなさっていましたが、悩みがお有りですかな?」
「え、えぇ・・・。過去の事を少し。」
「人生とは、不思議な物です。」
「え?」
「欲しい物は、今や過去には存在しないのです。リョウ様の憂いの根源も恐らくは、今や過去に根差したものではないでしょう。」
「・・・。」
「私も、過去に戻ってやり直したい。そう思う事はいくつもあります。ですが・・・良いですか?過去を変えたとしても、その結果が目に見えて現れるのは、今ではなく『未来』なのです。例え、どんなに今欲しいと願っても。」
「未来・・・ですか。」
「えぇ。恥ずかしながら、私もこの答えに辿り着くまでに、これだけの時間を要してしまった訳です。」
「時間。」
「過去の時間は帰って来ません。ですが、過去の時間が未来の時間に置き換わってその答えが見えるのですよ。」
「村長、貴方はそれでも・・・悔いはない。と言えますか?」
「えぇ、人の人生。悔いは一瞬です。」
「?」
「その悔いは、思い出すから長いのです。」
「は・・・はぁ。」
村長の話は難しく、俺には半分も理解できなかった。それでも、こうして
話を聞いてくれる人の有難みを痛感するのだ。
「ただいまー!」
「ん?」
「リョウさん、無事にゴブリンは退治して、古城内はクリーンになりましたよ。」
「遅かったですね・・・心配していた所ですよ。」
「そ、それが・・・そのぉ。」
バツが悪そうな精霊二人の後ろに、もう一つの影を見て、俺は絶句したのだ。
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