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何で、こうなるの! ~その2~
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「なぁ、どうして食い逃げなんか・・・。」
「してないさ・・・食い逃げなんて。」
「え?でも・・・。」
「あんたも、外から来た口か。」
「ま、まぁな。着いたばかりだった。」
「あの村は唯の平和な村ではないぞ。」
「どういう・・・。」
「村の外に位置する古城。そこに盗賊が住み着いたという話を聞いた。そして、その頃から村は急激に貧しくなり、外から来た者に法外な金品を要求するようになった。」
「そ、そんな。俺達には良くしてくれたぞ?それに、その盗賊とやらを俺達が見に行く事になっているのだが・・・。」
「馬鹿だな。四大精霊の一角を二人も連れて歩く者と争ってみろ、滅ぼされるのは自分たちだ。盗賊の件も『あわよくば』を狙っての事だろうさ。」
「なるほど。・・・というか、アンタ、こいつらの事を知っているのか?」
「あぁ、特にそっちの水霊。」
「ディオナ?」
「お前、水霊がどれだけ恐ろしいか知らないのか。」
「こいつは、意外とアホだぞ。」
「迂闊な物言いは止せ!お前、四大精霊の中で最も強い力を持つ者が誰か知らないのか。」
「・・・。」
「この水霊さ。かつてこの世界は水霊の怒りに触れて、凡そ八割が滅びかけた事がある。」
「何だって!」
「水霊はひょうきんな性格だと聞いて居るが、恐らく一番恐ろしいのは・・・。」
「そ、それ以上言うな・・・。分かったから。」
「とにかく、急ぐぞ。」
「ディオナ、シルヴィーさん。付いて来いよ?」
「はーい。」
「所で、俺達は古城に行きたいのだが・・・これは何処に向かっている?」
「位置としては古城から遠ざかっている形になるな。」
此処に来て、自身の得た称号。フラグクラッシャーの恐ろしさを知った。
頼み事が遅々として進まない事は愚か、それ以上の時間が必要になるとは。
「悪いが、古城には案内出来ない。俺の仲間も待っているのでな。」
「そんなぁ!」
「慌てるな、代わりに良い情報を教える。その古城について。」
そうして、食い逃げ犯から無事釈放された俺達は、彼から聞いた事実を村長に伝えるべく、村へと急いだ。
「して、リョウ様。古城はどうでした?」
「現在、古城には盗賊は居ません。村から逃げた食い逃げ犯を覚えていますか?彼らは盗賊ではなく義賊だったようです。そして、古城の文化財を資金に変え村に分配するつもりだったそうです・・・。」
「なんと・・・しかし、それは吉報。」
「ですが・・・。」
「何です?」
「今、古城にはゴブリンが住み着いているようです。村が貧しくなった原因は義賊ではなくゴブリンですよ。彼らはそれに気づき、人知れず、ゴブリン退治を行っていたに過ぎない。」
「ご、ゴブリン!何て事だ。早く王都へ知らせを走らせねば・・・。」
「待ってください。王都へ使いを出しても時間がかかるのでしょう?ここは、俺に任せてください!」
「リョウ様・・・何というお心遣い。その申し出に痛み入ります・・・。」
「村長さん、俺だけでは力不足かもしれませんが、やりますから。顔を上げてください。それと二つほどお願いが・・・。」
「何です?私に出来る事であれば、何なりと。」
驚きと同時に安堵の涙を見せる村長を宥めつつ、今後の流れを話し、準備の為に村長宅を後にした。
「まさか、ゴブリン退治を請け負うなんて。」
「何だよ?ディオナ。」
「目的がない旅にやっと、一つの目的ができたね?」
「う、五月蠅いな。」
微笑むディオナの顔は、純粋に可愛らしい少女の笑顔だ。
なぜかは分からないが、俺は彼女の顔を直視できなかった。
「それより、リョウさん。何処に向かっているのですか?」
「え?あぁ、義賊たちの所さ。ゴブリン退治を請け負ったのは良いけど俺だけじゃゴブリン何てとても・・・。だから力を借りるのさ。」
「なるほど。」
「まぁ、シルヴィーさんの力も借りるし、そこのウン子の力も借りるから。」
「ウン子言うな!」
「はいはい。」
「い、何時か島流しにしてやる~!」
・・・・・。
「という訳で、君たちの力を借りたいのさ。」
「わざわざ、戻って来たと思ったら・・・ゴブリン退治を背負ってくるとは。」
「ダメか?」
「迷惑千万にも程があるだろ。」
「まぁ、そう言わないでくれよ。俺は此処に来てから日が浅い。地理とか詳しくないし協力者が必要だ。」
「だからって・・・協力するメリットがない。」
「いや、あるぞ。」
「何?」
「まぁ、内容はまだ言えないが、この先の助けにはなるはずさ。」
「・・・仲間たちと相談する。少し待て。」
「おう。」
十分程で話には決着が付き、彼ら義賊の協力を得るに至った。
後は、時を待つだけだ。
「してないさ・・・食い逃げなんて。」
「え?でも・・・。」
「あんたも、外から来た口か。」
「ま、まぁな。着いたばかりだった。」
「あの村は唯の平和な村ではないぞ。」
「どういう・・・。」
「村の外に位置する古城。そこに盗賊が住み着いたという話を聞いた。そして、その頃から村は急激に貧しくなり、外から来た者に法外な金品を要求するようになった。」
「そ、そんな。俺達には良くしてくれたぞ?それに、その盗賊とやらを俺達が見に行く事になっているのだが・・・。」
「馬鹿だな。四大精霊の一角を二人も連れて歩く者と争ってみろ、滅ぼされるのは自分たちだ。盗賊の件も『あわよくば』を狙っての事だろうさ。」
「なるほど。・・・というか、アンタ、こいつらの事を知っているのか?」
「あぁ、特にそっちの水霊。」
「ディオナ?」
「お前、水霊がどれだけ恐ろしいか知らないのか。」
「こいつは、意外とアホだぞ。」
「迂闊な物言いは止せ!お前、四大精霊の中で最も強い力を持つ者が誰か知らないのか。」
「・・・。」
「この水霊さ。かつてこの世界は水霊の怒りに触れて、凡そ八割が滅びかけた事がある。」
「何だって!」
「水霊はひょうきんな性格だと聞いて居るが、恐らく一番恐ろしいのは・・・。」
「そ、それ以上言うな・・・。分かったから。」
「とにかく、急ぐぞ。」
「ディオナ、シルヴィーさん。付いて来いよ?」
「はーい。」
「所で、俺達は古城に行きたいのだが・・・これは何処に向かっている?」
「位置としては古城から遠ざかっている形になるな。」
此処に来て、自身の得た称号。フラグクラッシャーの恐ろしさを知った。
頼み事が遅々として進まない事は愚か、それ以上の時間が必要になるとは。
「悪いが、古城には案内出来ない。俺の仲間も待っているのでな。」
「そんなぁ!」
「慌てるな、代わりに良い情報を教える。その古城について。」
そうして、食い逃げ犯から無事釈放された俺達は、彼から聞いた事実を村長に伝えるべく、村へと急いだ。
「して、リョウ様。古城はどうでした?」
「現在、古城には盗賊は居ません。村から逃げた食い逃げ犯を覚えていますか?彼らは盗賊ではなく義賊だったようです。そして、古城の文化財を資金に変え村に分配するつもりだったそうです・・・。」
「なんと・・・しかし、それは吉報。」
「ですが・・・。」
「何です?」
「今、古城にはゴブリンが住み着いているようです。村が貧しくなった原因は義賊ではなくゴブリンですよ。彼らはそれに気づき、人知れず、ゴブリン退治を行っていたに過ぎない。」
「ご、ゴブリン!何て事だ。早く王都へ知らせを走らせねば・・・。」
「待ってください。王都へ使いを出しても時間がかかるのでしょう?ここは、俺に任せてください!」
「リョウ様・・・何というお心遣い。その申し出に痛み入ります・・・。」
「村長さん、俺だけでは力不足かもしれませんが、やりますから。顔を上げてください。それと二つほどお願いが・・・。」
「何です?私に出来る事であれば、何なりと。」
驚きと同時に安堵の涙を見せる村長を宥めつつ、今後の流れを話し、準備の為に村長宅を後にした。
「まさか、ゴブリン退治を請け負うなんて。」
「何だよ?ディオナ。」
「目的がない旅にやっと、一つの目的ができたね?」
「う、五月蠅いな。」
微笑むディオナの顔は、純粋に可愛らしい少女の笑顔だ。
なぜかは分からないが、俺は彼女の顔を直視できなかった。
「それより、リョウさん。何処に向かっているのですか?」
「え?あぁ、義賊たちの所さ。ゴブリン退治を請け負ったのは良いけど俺だけじゃゴブリン何てとても・・・。だから力を借りるのさ。」
「なるほど。」
「まぁ、シルヴィーさんの力も借りるし、そこのウン子の力も借りるから。」
「ウン子言うな!」
「はいはい。」
「い、何時か島流しにしてやる~!」
・・・・・。
「という訳で、君たちの力を借りたいのさ。」
「わざわざ、戻って来たと思ったら・・・ゴブリン退治を背負ってくるとは。」
「ダメか?」
「迷惑千万にも程があるだろ。」
「まぁ、そう言わないでくれよ。俺は此処に来てから日が浅い。地理とか詳しくないし協力者が必要だ。」
「だからって・・・協力するメリットがない。」
「いや、あるぞ。」
「何?」
「まぁ、内容はまだ言えないが、この先の助けにはなるはずさ。」
「・・・仲間たちと相談する。少し待て。」
「おう。」
十分程で話には決着が付き、彼ら義賊の協力を得るに至った。
後は、時を待つだけだ。
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