虚像のヘルパー

メカ

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最終話 警鐘を鳴らす者

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此処まで「虚像のヘルパー」を閲覧していただき、ありがとうございます。

最終話に持ってくる議題。
それは・・・

あなたの両親・家族は大丈夫ですか?
というお話です。

私が、介護士として働いている中
利用者のご家族様から「貴方、長い事頑張っているわねぇ~」と
声を掛けられる事もしばしばあります。
最初はそれを、純粋な誉め言葉として受け取っていましたが
ある日、先輩が教えてくれました。

若い子ほど、直ぐに辞めていくから半分は嫌味に取った方が良い。と。
その理由は様々です。

・腰を痛めて継続不能になった。
・私の様に精神病になってしまった。
・何か事故を起こした責任を感じての辞職
・注意された事に対して腹を立て辞職

理由はどうあれ、そういう言葉を受けるということは「どうせすぐ辞めるだろう」と
思われていたのだと思え。
私は、そう先輩に教わりました。

本編でも少し触れましたが
我々の介護の時代は今「団塊の世代を支える事」がメインとなっており
その人口比はとてつもなく偏っています。
利用者5~6人に対して職員が1人であると思ってもらうと良いかも知れません。

本来、利用者3人に対し職員1人が妥当な配置だと言われています。
しかし、その実情は倍以上の負担を職員1人が負っている状況です。

現在の日本は長寿大国。
そして、ウイルスによって出入りの規制が厳しい中。
その裏で
デイサービスでは、利用者の送り迎えからリハビリまで面倒を見て、自宅へ送り届ける。など
「それは今必要か?」と思われる疑問点がいくつもあります。

例えば、普段仕事で様子を見てあげられないから。というご家族様。
今のご時世、オンラインワークが主流になりつつありますね。
そうすると、自宅で見る事も少しは可能になるはずですが
実際の所、デイサービスでは、利用申し込みが若干増えているそうです。

家で仕事をして隙間時間は介護。そんな事はやってられない!と
暗に示唆する利用理由が増えているようです。

さて、昨今の介護事情は横に置き「本題」です。

貴方の親・ご家族が使われているその施設。本当に安全ですか?

私が経験してきた出来事は、介護の裏のほんの一部に過ぎません。
実際、もっと雑な介護は横行していると、私は思っています。
例え、歴戦のベテランであっても人間ですから・・・
心が死んでいる時が、たまにあるのです。

中々、食事を召し上がらない利用者。
ベテランの力を借りようと、相談した結果
「そんなの、コレ使っておけばいいのよ」と取り出してきたのは注入器です。
その時のベテランの目は死んでいました。

注入器を使うというのは、あくまでも最終手段の一つです。
心ある人であれば、注入器で食事を口に流し込まれている様は見るに堪えないでしょう。
ベテランでさえも、忙しさに匙を投げてしまう現状がどこかに潜んでいるのです。

若者たちも
「なぜ、エプロンがこんなに汚れるのか?」を訪ねた時
「いやぁ、口開けてくれないんすよねぇw」とへらへらしている状態。
「なぜ、開けてくれないと思う?」と聞いても
「さぁ、気分じゃないんじゃないっすか?」との返答。

・・・そんなわけあるか!
と、突っ込みたくなる珍回答を連発します。

介護施設に若い子の比率が多ければ
その分活気もあって明るく見えるでしょう。
しかし、ベテランよりも若い子が多い場所。というのは危険かもしれません。

人手不足を理由に、経験の有無を問わず、やる気さえあればいい。と採用している場合もあります。
やる気があっても、現場の教育は追いついていません。
結果として「こんな風にやればいいんだ。介護」の完成です。

今、介護現場は「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」の状態です。

皆さん、今一度
ご家族・両親の為に目を光らせてください。
ご家族が面会に来た時
我々、介護士は気を張って仕事をしています。しかし、そんなのは当たり前です。
ですが、皆さんに注視してほしいのは気の緩んだ時がどうなっているのか。

着替えの入った棚や床頭台を見てください。
ぐちゃぐちゃに荒れてませんか?

何気なく廊下を歩いて行く職員。
目は死んでませんか?背中が重く暗い物ではありませんか?

貴方の家族・両親は
職員を怖がってませんか?もし、怖がっていた場合
「はいはい。」と流さず疑ってください。
例え認知症が酷かったとしても、理由もなく症状が悪化する事は「あり得ません」。
そこには必ず、責任者などが見落としている穴が空いているはずです。

良く聞く事例だと
高齢の女性が男性職員を怖がる傾向があります。
責任者に聞いても理由は分からず、認知の悪化を疑った際
1人の青年がその女性の介護に入った所
その女性は、青年を怖がる事無く、普段通りだったと言います。
後ほど、青年から話を聞くと
「男性職員は声掛けが少ない。次に行う事を声掛けすれば本人も安心するのに。」と
ぼやいていたそうです。

こんな些細な事がきっかけで、その方の日々の安心が脅かされています。

我々、介護に携わる者は施設に居るだけとは限りません。
病院にもいますし公共施設に呼ばれる事も有ります。

入院すれば、当然
お手伝いさんとして我々介護士が働いています(名称は違いますが)

明日は我が身です。

皆さん、どんな介護なら納得して受けたいか、今一度、考えて欲しいんです。

私は夢半ばで折れてしまった者ですが
どうしても、こういった内容を何処かの誰かに向けて
発信したかったのです。

長くなりましたが、ご拝読ありがとうございました。
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