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101話 フェアリード領3
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キース様から質問されたアリスは、王と王太子の子供は王家の瞳を持って生まれる事、必ず男児である事、王太子にならなかった王子の子供は王家の瞳を持たない、というのを習ったと話した。
「ふ~ん、まぁ合っているね、その原因については何か聞いた?」
「王と、王となるべき者は聖剣に祝福されているからだと習いましたが…」
「聖剣ねぇ、ちなみに王家の瞳を持たなかったり、女児だった場合はどうなるか聞いてる?」
その質問にアリスは青ざめた表情で、驚くべき事を口にした。
「生まれた子が精霊の寵愛者でなければ廃妃とされ、実家は爵位剥奪又は降格、子の父親は処刑、母親と子は実家に戻されると聞いています」
「あれ?問答無用で即処刑じゃなくなったんだね」
「俺が生まれたからな」
「あ~そうだったそうだった、アルヴィンが生まれた時殺そうとした騎士を精霊が倒しちゃってたね」
「たまには外に出ないと古い記憶ばかりで駄目だなぁ」とキース様は言った後「あっ、君の子供は間違いなく王家の瞳を持った男児が生まれるから安心していいよ」とアリスに笑いかけた。
それを聞いたアリスは少し驚いた顔をした後、ホッとした表情で「そうですか」と言ってお腹に手を当てていた。
私はアルヴィン様が生まれて変わったという事は、つい最近まで瞳の色が違うだけで処刑されてたのかと王家事情に引いていたのだが、顔に出てしまっていたのかヴィンス先生に「マリアンヌさんは驚いたかもしれませんが、王家も色々あったんですよ」と言われた。
「確かに色々あったねぇ、別の男と浮気したせいで浮気相手似の女児が生まれてバレた女や、それなら同じ瞳の王子なら大丈夫だろうと王太子じゃない王子と関係を持ったせいで、王家の瞳を持たない子が生まれてバレたり、そういうのが積み重なって物騒な決まりと王妃の権限の無さがあるんだけど、妃教育でそういう話は出るのかな?」
「…いえ、初めて聞きました」
「そっか、まぁ汚点だしね、ところで君達今日は何しに来たの?」
「え?アルヴィン様がキース様に会わせて下さるというので尋ねたのですが」
急に話を振られて驚いたが、私がそう言うとキース様は少し考えた後、自身について少し話をしてくれた。
まずキース様の見た目に関してだが、ほぼ不老なのはアルヴィン様と同じ理由らしく、耳が長くなっているのは長い年月で人より精霊に近くなっているかららしい、アルヴィン様も「200年程経てば俺もこうなる」と言っていた。
以前はキース様も領民と話をしたりする事もあったそうなのだが、アルヴィン様が来てからは全部丸投げして、魔剣を見張りつつスローライフを満喫しているそうだ。
それと、ヴィンス先生とはアルヴィン様と会う前からの友人らしいのだが、詳しい事はカイン様とウィルが視察から戻ってきてからになった。
視察を終えて戻ってきた2人は、まずキース様と挨拶し、その後アリスの妊娠の報告を受けた。
これには2人共驚いていたが、すぐにカイン様がアリスに駆け寄り嬉しそうにしていたので良かったと思う、幸せそうな2人を見ていたらウィルが近寄ってきて「これで王太子夫妻のストレスが1つ減るから良かったよ」と言ったので私は首を傾げた。
「ついこの間結婚したばかりなのに何かあったんですか?」
「王と王太子は一夫多妻が認められてるから、第2王子派だった奴らが娘や身内を公妾にしようと必死なんだよ」
「新婚相手に最低ですわね」
「本当にね、まぁカイン様はアリス様以外と子供を作る気が無いって言ってるからいいんだけど、王太子である以上後継者問題は避けられないからね、2人共色々言われて大変そうだった」
「それで今日会った時2人共お疲れ気味だったんですか」
「そういう事、まぁ今回視察に来てストレス解消になってるみたいだから良かったよ」
ウィルとそんな話をしていると、アルヴィン様に「お前らキースの話はもういいのか?」と言われたので、私達は話の続きを聞く為席に着いた。
キース様は「私とヴィンスの関係について話すには、まずヴィンスが何者なのかというのを知らないといけないのだが…」と言ってヴィンス先生の方を見た。
先生は「自分で話しますよ」と言うと、眼鏡を取り出しそれをかけてから面布を外した。
ウィルとカイン様は先生の顔を見た事があるので驚いてはいなかったが、私とアリスは先生の顔を見て驚いた。
「「魔王ヴィンセント様!?」」
「やはり2人は私を知ってましたか」
「え、いや、そうですね、知ってると言えば知ってるんですが…ねぇマリー」
「そうね、でも知ってる姿とは違うと言いますか…」
私とアリスが混乱しているのはヴィンス先生が魔王であった事実というより、顔は確かにゲームで見たヴィンセント様そのものなんだけど、髪型も違うし、魔王は眼鏡かけないし、何より瞳の色が違う事に私とアリスは首を傾げるしかなかった。
「混乱させてしまいましたかね、貴女方の知る私の姿と違う理由についても説明しますが、私がヴィンセントだというのは間違いではないですよ」
「あっ、では先生の授業で習った先代の魔王と大聖女様は…」
「私の父と母ですね、古代魔法が使えるのもあの時代に生きていたのだから当たり前なんです」
ヴィンス先生の話にカイン様が「先生が魔王の子供となると、王家に伝わっているキース様が封印したという話は嘘ですか?」と質問した。
「いいえ、私は確かに1度封印されて眠りについてます、ただし200年程だけですが」
「200年もすればヴィンスの事を知っている人間はいなくなるからね、何もしてないし危険もないのにずっと封印する必要はないでしょ」
「では先生はアリスやマリアンヌが知っているような魔王にはならないと?」
「さぁ?魔王になるならないは本人に聞くのが1番じゃない?」
「マリアンヌさんがいる間は大丈夫ですよ」
先生はそう言うと、魔王にならない理由を説明してくれた。
「ふ~ん、まぁ合っているね、その原因については何か聞いた?」
「王と、王となるべき者は聖剣に祝福されているからだと習いましたが…」
「聖剣ねぇ、ちなみに王家の瞳を持たなかったり、女児だった場合はどうなるか聞いてる?」
その質問にアリスは青ざめた表情で、驚くべき事を口にした。
「生まれた子が精霊の寵愛者でなければ廃妃とされ、実家は爵位剥奪又は降格、子の父親は処刑、母親と子は実家に戻されると聞いています」
「あれ?問答無用で即処刑じゃなくなったんだね」
「俺が生まれたからな」
「あ~そうだったそうだった、アルヴィンが生まれた時殺そうとした騎士を精霊が倒しちゃってたね」
「たまには外に出ないと古い記憶ばかりで駄目だなぁ」とキース様は言った後「あっ、君の子供は間違いなく王家の瞳を持った男児が生まれるから安心していいよ」とアリスに笑いかけた。
それを聞いたアリスは少し驚いた顔をした後、ホッとした表情で「そうですか」と言ってお腹に手を当てていた。
私はアルヴィン様が生まれて変わったという事は、つい最近まで瞳の色が違うだけで処刑されてたのかと王家事情に引いていたのだが、顔に出てしまっていたのかヴィンス先生に「マリアンヌさんは驚いたかもしれませんが、王家も色々あったんですよ」と言われた。
「確かに色々あったねぇ、別の男と浮気したせいで浮気相手似の女児が生まれてバレた女や、それなら同じ瞳の王子なら大丈夫だろうと王太子じゃない王子と関係を持ったせいで、王家の瞳を持たない子が生まれてバレたり、そういうのが積み重なって物騒な決まりと王妃の権限の無さがあるんだけど、妃教育でそういう話は出るのかな?」
「…いえ、初めて聞きました」
「そっか、まぁ汚点だしね、ところで君達今日は何しに来たの?」
「え?アルヴィン様がキース様に会わせて下さるというので尋ねたのですが」
急に話を振られて驚いたが、私がそう言うとキース様は少し考えた後、自身について少し話をしてくれた。
まずキース様の見た目に関してだが、ほぼ不老なのはアルヴィン様と同じ理由らしく、耳が長くなっているのは長い年月で人より精霊に近くなっているかららしい、アルヴィン様も「200年程経てば俺もこうなる」と言っていた。
以前はキース様も領民と話をしたりする事もあったそうなのだが、アルヴィン様が来てからは全部丸投げして、魔剣を見張りつつスローライフを満喫しているそうだ。
それと、ヴィンス先生とはアルヴィン様と会う前からの友人らしいのだが、詳しい事はカイン様とウィルが視察から戻ってきてからになった。
視察を終えて戻ってきた2人は、まずキース様と挨拶し、その後アリスの妊娠の報告を受けた。
これには2人共驚いていたが、すぐにカイン様がアリスに駆け寄り嬉しそうにしていたので良かったと思う、幸せそうな2人を見ていたらウィルが近寄ってきて「これで王太子夫妻のストレスが1つ減るから良かったよ」と言ったので私は首を傾げた。
「ついこの間結婚したばかりなのに何かあったんですか?」
「王と王太子は一夫多妻が認められてるから、第2王子派だった奴らが娘や身内を公妾にしようと必死なんだよ」
「新婚相手に最低ですわね」
「本当にね、まぁカイン様はアリス様以外と子供を作る気が無いって言ってるからいいんだけど、王太子である以上後継者問題は避けられないからね、2人共色々言われて大変そうだった」
「それで今日会った時2人共お疲れ気味だったんですか」
「そういう事、まぁ今回視察に来てストレス解消になってるみたいだから良かったよ」
ウィルとそんな話をしていると、アルヴィン様に「お前らキースの話はもういいのか?」と言われたので、私達は話の続きを聞く為席に着いた。
キース様は「私とヴィンスの関係について話すには、まずヴィンスが何者なのかというのを知らないといけないのだが…」と言ってヴィンス先生の方を見た。
先生は「自分で話しますよ」と言うと、眼鏡を取り出しそれをかけてから面布を外した。
ウィルとカイン様は先生の顔を見た事があるので驚いてはいなかったが、私とアリスは先生の顔を見て驚いた。
「「魔王ヴィンセント様!?」」
「やはり2人は私を知ってましたか」
「え、いや、そうですね、知ってると言えば知ってるんですが…ねぇマリー」
「そうね、でも知ってる姿とは違うと言いますか…」
私とアリスが混乱しているのはヴィンス先生が魔王であった事実というより、顔は確かにゲームで見たヴィンセント様そのものなんだけど、髪型も違うし、魔王は眼鏡かけないし、何より瞳の色が違う事に私とアリスは首を傾げるしかなかった。
「混乱させてしまいましたかね、貴女方の知る私の姿と違う理由についても説明しますが、私がヴィンセントだというのは間違いではないですよ」
「あっ、では先生の授業で習った先代の魔王と大聖女様は…」
「私の父と母ですね、古代魔法が使えるのもあの時代に生きていたのだから当たり前なんです」
ヴィンス先生の話にカイン様が「先生が魔王の子供となると、王家に伝わっているキース様が封印したという話は嘘ですか?」と質問した。
「いいえ、私は確かに1度封印されて眠りについてます、ただし200年程だけですが」
「200年もすればヴィンスの事を知っている人間はいなくなるからね、何もしてないし危険もないのにずっと封印する必要はないでしょ」
「では先生はアリスやマリアンヌが知っているような魔王にはならないと?」
「さぁ?魔王になるならないは本人に聞くのが1番じゃない?」
「マリアンヌさんがいる間は大丈夫ですよ」
先生はそう言うと、魔王にならない理由を説明してくれた。
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