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21話 入学初日1
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今日はいよいよ入学式だ。
私はウエスト位置で切り返しとベルトがあるワンピースタイプの制服に着替え、襟部分に白いリボンを通して前で結んだ、後はショート丈のノーカラージャケットを着れば完成だ。
サンステラ魔法学園の冬の制服は男女ともに藍色で、完全オーダーメイドな上毎年新調される、少し勿体無い気もするが、こうやって貴族側から得た収益や寄付金で平民区画の分校を運営しているらしいので、まぁある所からはじゃんじゃん取ればいいと思う。
学年の判別は袖口にラインが入っており、ラインの本数と色で見分けられるようになっている、1、2年が白、3、4年がオレンジ、5、6、7年は金といった感じだ。
見た目に関しては規則もゆるく、制服さえ着てれば髪型、化粧、アクセサリー、靴等は好きにしていいし、私が今している襟元のリボンも、本来あってもなくても良し、リボンをネクタイやスカーフに変えても良くなっている。
私は姿見でチェックをしつつ侍女のマーサに話しかけた。
「マーサどうかしら、変なところはない?」
「お嬢様はいつでもお美しいです」
「いや、そうじゃなくて」
「ふふ、大丈夫ですよ」
「なら良かったわ、ありがとう」
そうして私は部屋でマーサが持って来てくれた朝食を食べ、集合時間より早い時間に寮を出た、転移魔法陣を使えばギリギリまで寮に居ても大丈夫だが、散歩代わりに登下校は歩く事に決めた。
寮を出て、校舎へ向かう道を歩いていると、校舎前にウィルが立っており、私は久しぶりに見るウィルに嬉しくなって、駆け寄った。
「ウィル」
「やぁマリー、入学おめでとう、制服姿も可愛いね」
「あ、ありがとうございます、ウィルはどうしてここに?」
「さっきまで玄関ホールで待っていたんだけど、マリーが歩いて来るみたいだったから迎えに来たんだ、一緒に行こうか」
「はい」
2人で一緒に校舎の入り口へ向かっていると、ウィルに今後も登下校は歩くのか聞かれたので、特に何もなければそうするつもりだと伝えると「じゃあ俺も毎朝迎えにくるね」と微笑まれた。
ウィルが今日も優しいし眩しい、神に感謝である。
「そういえばこの学園の校舎って、昔の王子殿下の住居だけあって校舎というより宮殿ですわね」
「そうだね、実際中もほぼ宮殿だよ、隠し通路とかもあるし」
「え!?あるんですか隠し通路」
「うん、今度教えてあげるね、結構面白いよ」
そんな話をしていたらあっという間に校舎の入り口に着いてしまった。
私達は中に入り、玄関ホールにある中央掲示板に貼られたクラス分けを見たのだが、私は嫌な予感が当たっていて落胆してしまった。
「マリー…カイン様に頼んで何とかしてもらおうか?」
「いえ、まだ何も起きてませんし、こんな事の為にカイン様のお手を煩わす訳にもいけませんから」
「でも…」とウィルが何か言いかけた時「マリアンヌ」と声をかけられ、振り向いた先にはカイン様がいた。
「カイン様、おはようございます」
「おはよう、それと入学おめでとう」
「ありがとうございます、カイン様はここで何を?」
「一応生徒会長をしているからね、新入生の出迎えと案内だよ、それよりクラス分けを見たんだね」
「カイン様、これ何とかならないんですか?」
「ウィル、気持ちは分かるけど君も知ってのとおり、キャンベル伯爵家もハーグリーヴ伯爵家も伯爵家の中ではそこそこ大きい、特に問題もないのに別のクラスに移す事は出来ないよ」
「それはそうですけど」と言いつつ不満そうなウィルに、カイン様は困った笑みを浮かべつつ、私に目線を向けると「でもね」と話を続けた。
「問題が起きれば話は別だから何かあった時はすぐに言ってね、それにあの2人も流石に数年前のままなんて事はないと思うから」
「そうですね、お気遣いありがとうございます」
「うん、では少し早いけど新入生は第1ホールの1番前だから、ウィルに案内してもらってね」
「はい」
その後カイン様は私達と離れて、玄関ホールに少しずつ増え始めた新入生に声をかけたり、在校生に案内するよう指示を出したりしに行った。
私はウィルに「それじゃあ席に案内するね」と手を引かれ、玄関ホールの奥にある式典用の第1ホールに連れていかれた。
ウィルは私を席に座らすと「マリーは今日のお昼どうするの?」と聞いてきたので「ウィルが良ければ一緒に頂きたいです」と答えた。
「もちろん良いよ、一緒に食べよう、ただ他にも人がいるんだけど構わない?」
「はい、私は構いませんが良いのですか?」
「あぁ、大丈夫だよ、むしろ連れて来いって言われてる」
「そ、そうですか」
そしてウィルは少し屈んで私にキスをすると「お昼に迎えに行くね」と言って去っていった。
学園内だからと油断していた私は、顔の熱が冷めるまでしばらくかかってしまった。
それから数十分後、新入生も在校生も集まりもうすぐ式の開始時間というところで、教員席に噂のヴィンス先生らしき人を発見した。
黒いスーツに白いネクタイ、髪色は黒で襟足だけ少し長めになっている、ここまでならまだモブで居なくもないといった感じだが、なんと額から鼻までを隠すように白い面布がかけられている、うん、いやぁこれはまた濃い、キャラが濃い、面布かけてる人とか初めて見たよ、確かに目立つしアリスが攻略対象ではと疑う気持ちも凄くわかる、何より口元しか見えないのにイケメンオーラがハンパなくて意味わからん。
その証拠に先程からイケメンオーラに当てられたご令嬢達がチラチラ見ているのが分かる、うん、分かるよ、気になるよね、と内心頷いていると入学式が始まった。
入学式自体は何事もなく終わったのだが、ゲームでは学園長として、この入学式シーンの台詞しかなかった人が、実は前国王陛下のライアン・トワイライト様だったのには驚いた。
しかし学園長は挨拶で「儂はもう王の名を返還しておるから、ここで会った際は前国王ではなく、学園長として接して欲しい」と言い、見た目は流石王族と言うべきなのか、歳を経てなおカッコいいお爺様だった。
私はウエスト位置で切り返しとベルトがあるワンピースタイプの制服に着替え、襟部分に白いリボンを通して前で結んだ、後はショート丈のノーカラージャケットを着れば完成だ。
サンステラ魔法学園の冬の制服は男女ともに藍色で、完全オーダーメイドな上毎年新調される、少し勿体無い気もするが、こうやって貴族側から得た収益や寄付金で平民区画の分校を運営しているらしいので、まぁある所からはじゃんじゃん取ればいいと思う。
学年の判別は袖口にラインが入っており、ラインの本数と色で見分けられるようになっている、1、2年が白、3、4年がオレンジ、5、6、7年は金といった感じだ。
見た目に関しては規則もゆるく、制服さえ着てれば髪型、化粧、アクセサリー、靴等は好きにしていいし、私が今している襟元のリボンも、本来あってもなくても良し、リボンをネクタイやスカーフに変えても良くなっている。
私は姿見でチェックをしつつ侍女のマーサに話しかけた。
「マーサどうかしら、変なところはない?」
「お嬢様はいつでもお美しいです」
「いや、そうじゃなくて」
「ふふ、大丈夫ですよ」
「なら良かったわ、ありがとう」
そうして私は部屋でマーサが持って来てくれた朝食を食べ、集合時間より早い時間に寮を出た、転移魔法陣を使えばギリギリまで寮に居ても大丈夫だが、散歩代わりに登下校は歩く事に決めた。
寮を出て、校舎へ向かう道を歩いていると、校舎前にウィルが立っており、私は久しぶりに見るウィルに嬉しくなって、駆け寄った。
「ウィル」
「やぁマリー、入学おめでとう、制服姿も可愛いね」
「あ、ありがとうございます、ウィルはどうしてここに?」
「さっきまで玄関ホールで待っていたんだけど、マリーが歩いて来るみたいだったから迎えに来たんだ、一緒に行こうか」
「はい」
2人で一緒に校舎の入り口へ向かっていると、ウィルに今後も登下校は歩くのか聞かれたので、特に何もなければそうするつもりだと伝えると「じゃあ俺も毎朝迎えにくるね」と微笑まれた。
ウィルが今日も優しいし眩しい、神に感謝である。
「そういえばこの学園の校舎って、昔の王子殿下の住居だけあって校舎というより宮殿ですわね」
「そうだね、実際中もほぼ宮殿だよ、隠し通路とかもあるし」
「え!?あるんですか隠し通路」
「うん、今度教えてあげるね、結構面白いよ」
そんな話をしていたらあっという間に校舎の入り口に着いてしまった。
私達は中に入り、玄関ホールにある中央掲示板に貼られたクラス分けを見たのだが、私は嫌な予感が当たっていて落胆してしまった。
「マリー…カイン様に頼んで何とかしてもらおうか?」
「いえ、まだ何も起きてませんし、こんな事の為にカイン様のお手を煩わす訳にもいけませんから」
「でも…」とウィルが何か言いかけた時「マリアンヌ」と声をかけられ、振り向いた先にはカイン様がいた。
「カイン様、おはようございます」
「おはよう、それと入学おめでとう」
「ありがとうございます、カイン様はここで何を?」
「一応生徒会長をしているからね、新入生の出迎えと案内だよ、それよりクラス分けを見たんだね」
「カイン様、これ何とかならないんですか?」
「ウィル、気持ちは分かるけど君も知ってのとおり、キャンベル伯爵家もハーグリーヴ伯爵家も伯爵家の中ではそこそこ大きい、特に問題もないのに別のクラスに移す事は出来ないよ」
「それはそうですけど」と言いつつ不満そうなウィルに、カイン様は困った笑みを浮かべつつ、私に目線を向けると「でもね」と話を続けた。
「問題が起きれば話は別だから何かあった時はすぐに言ってね、それにあの2人も流石に数年前のままなんて事はないと思うから」
「そうですね、お気遣いありがとうございます」
「うん、では少し早いけど新入生は第1ホールの1番前だから、ウィルに案内してもらってね」
「はい」
その後カイン様は私達と離れて、玄関ホールに少しずつ増え始めた新入生に声をかけたり、在校生に案内するよう指示を出したりしに行った。
私はウィルに「それじゃあ席に案内するね」と手を引かれ、玄関ホールの奥にある式典用の第1ホールに連れていかれた。
ウィルは私を席に座らすと「マリーは今日のお昼どうするの?」と聞いてきたので「ウィルが良ければ一緒に頂きたいです」と答えた。
「もちろん良いよ、一緒に食べよう、ただ他にも人がいるんだけど構わない?」
「はい、私は構いませんが良いのですか?」
「あぁ、大丈夫だよ、むしろ連れて来いって言われてる」
「そ、そうですか」
そしてウィルは少し屈んで私にキスをすると「お昼に迎えに行くね」と言って去っていった。
学園内だからと油断していた私は、顔の熱が冷めるまでしばらくかかってしまった。
それから数十分後、新入生も在校生も集まりもうすぐ式の開始時間というところで、教員席に噂のヴィンス先生らしき人を発見した。
黒いスーツに白いネクタイ、髪色は黒で襟足だけ少し長めになっている、ここまでならまだモブで居なくもないといった感じだが、なんと額から鼻までを隠すように白い面布がかけられている、うん、いやぁこれはまた濃い、キャラが濃い、面布かけてる人とか初めて見たよ、確かに目立つしアリスが攻略対象ではと疑う気持ちも凄くわかる、何より口元しか見えないのにイケメンオーラがハンパなくて意味わからん。
その証拠に先程からイケメンオーラに当てられたご令嬢達がチラチラ見ているのが分かる、うん、分かるよ、気になるよね、と内心頷いていると入学式が始まった。
入学式自体は何事もなく終わったのだが、ゲームでは学園長として、この入学式シーンの台詞しかなかった人が、実は前国王陛下のライアン・トワイライト様だったのには驚いた。
しかし学園長は挨拶で「儂はもう王の名を返還しておるから、ここで会った際は前国王ではなく、学園長として接して欲しい」と言い、見た目は流石王族と言うべきなのか、歳を経てなおカッコいいお爺様だった。
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