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罪
聞きたくなかった話。
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最近、幼馴染の秋の様子がおかしい。私を見る目も変わった気がする。いや、気がするじゃない、確実に変わっている。
具体的に言うなら中学生の時から私に対して、接し方が変わった気がする。昔はよく私が秋のことを抱きしめることをしていたが、急に秋は避けるようになった。また、よく恋話をしていたが、ぱったりとすることがなくなってしまった。
私に矢野君と言う彼氏ができてからは私に気を使っているのか、もっと接し方が変わってしまった。秋も彼氏が欲しいのかな。
そんなことを考えて数年が経ち高校生にもなった。高校でも秋と一緒になれたことに私は嬉しくて思わず秋に抱きついてしまった。秋は機嫌を悪くしたのか、その日は殆ど何も話さなくなってしまった。でも、機嫌を悪くしたにしてはなんだか顔が爽やかだった。
私は謎の違和感を感じながらも今も秋と何気ない日常を過ごしていた。
「あ、忘れ物しちゃった。」
放課後、多くの生徒が帰宅していた。私は矢野君と来週のテストに向け、学習室で勉強をするつもりだ。
「大丈夫か?」
「うん、教室に置き忘れただけだから取りに行ってくね。」
放課後の教室。ほとんど人気は無く、廊下の静けさが広がっていた。テスト週間の為、活動をしている部活動もほとんどなく、窓から聞こえるのも風の涼しげな音だけだ。
「あ、あった。」
私は忘れ物を持ち帰り、矢野君の待っている教室へ向おうとした。
ただ、二つ隣の教室から聞きなれた声が聞こえた。秋と恵の声がする。ちょっとだけ話していこうかな。
私は、話し声がする教室へ入ろうとした。
「早く美希と付き合いたいなあ。」
私の体が自然と固まってしまった。
今、秋はなんといったのだろうか。「私と付き合いたい。」そう聞こえた。私は耳が悪い方ではない。私はその場から動くことができなかった。
「秋は毎日同じことしか言わないね。」
毎日?秋はなぜ毎日私のことを・・・。
私は鈍感じゃない。答えは一つしかないと考えた。
「秋は私のことが好きなの?」
そう考えると今までの秋の行動に辻褄が合う。恋話をしなくなったのは好きな人の前で話をして気づかれたら大変だから、抱きついてしまうと、恥ずかしさのあまり何も考えられなくなってしまうから。
「戻らないと・・・」
あまりにも考えすぎだ。秋が私に想いを寄せるはずがない。私はおぼつかない足のまま矢野君が待っている教室へ戻っていった。
勉強を始めて数時間が経つ。時計の針は19時を表していていた。外はすでに暗く、冷たい風が吹き荒れていた。矢野君と帰りの支度をしていた時だった。
「美希、帰ろう。」
秋だ。夕方の話を聞いた後だとどうしても気になってしまう。
「じゃあ、俺は先に帰るね。」
「あ、うん、じゃあね」
矢野君は私達と家の方向が違う為、一緒には帰れない。
さっき私が聞いたことは本当なのかな。それを少し確かめてみようかな。
私と秋は支度を済ませて帰宅路へ歩いて行った。
具体的に言うなら中学生の時から私に対して、接し方が変わった気がする。昔はよく私が秋のことを抱きしめることをしていたが、急に秋は避けるようになった。また、よく恋話をしていたが、ぱったりとすることがなくなってしまった。
私に矢野君と言う彼氏ができてからは私に気を使っているのか、もっと接し方が変わってしまった。秋も彼氏が欲しいのかな。
そんなことを考えて数年が経ち高校生にもなった。高校でも秋と一緒になれたことに私は嬉しくて思わず秋に抱きついてしまった。秋は機嫌を悪くしたのか、その日は殆ど何も話さなくなってしまった。でも、機嫌を悪くしたにしてはなんだか顔が爽やかだった。
私は謎の違和感を感じながらも今も秋と何気ない日常を過ごしていた。
「あ、忘れ物しちゃった。」
放課後、多くの生徒が帰宅していた。私は矢野君と来週のテストに向け、学習室で勉強をするつもりだ。
「大丈夫か?」
「うん、教室に置き忘れただけだから取りに行ってくね。」
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「あ、あった。」
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ただ、二つ隣の教室から聞きなれた声が聞こえた。秋と恵の声がする。ちょっとだけ話していこうかな。
私は、話し声がする教室へ入ろうとした。
「早く美希と付き合いたいなあ。」
私の体が自然と固まってしまった。
今、秋はなんといったのだろうか。「私と付き合いたい。」そう聞こえた。私は耳が悪い方ではない。私はその場から動くことができなかった。
「秋は毎日同じことしか言わないね。」
毎日?秋はなぜ毎日私のことを・・・。
私は鈍感じゃない。答えは一つしかないと考えた。
「秋は私のことが好きなの?」
そう考えると今までの秋の行動に辻褄が合う。恋話をしなくなったのは好きな人の前で話をして気づかれたら大変だから、抱きついてしまうと、恥ずかしさのあまり何も考えられなくなってしまうから。
「戻らないと・・・」
あまりにも考えすぎだ。秋が私に想いを寄せるはずがない。私はおぼつかない足のまま矢野君が待っている教室へ戻っていった。
勉強を始めて数時間が経つ。時計の針は19時を表していていた。外はすでに暗く、冷たい風が吹き荒れていた。矢野君と帰りの支度をしていた時だった。
「美希、帰ろう。」
秋だ。夕方の話を聞いた後だとどうしても気になってしまう。
「じゃあ、俺は先に帰るね。」
「あ、うん、じゃあね」
矢野君は私達と家の方向が違う為、一緒には帰れない。
さっき私が聞いたことは本当なのかな。それを少し確かめてみようかな。
私と秋は支度を済ませて帰宅路へ歩いて行った。
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退会済ユーザのコメントです
ご感想ありがとうございます。
とてもう嬉しい限りです。
現在は毎日17時に投稿予定なので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
退会済ユーザのコメントです
ご感想ありがとうございます。
読んでいただき幸いです。
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