罪と愛

黒田亜味

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惑わす言葉。

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美希はいつも私に優しかった。私が怒られて泣いていた時も慰めてくれた。毎日顔を合わせて何気ない話をするのが日課になった。

 そして、中学生の時から美希に対して特別な思いを抱くようになった。でも、その時はこの想いが恋だなんて思っていなかった。

 そんな時だった。美希に彼氏ができたのは。私は、目の前が真っ暗になる気持ちだった。そして、私は美希に恋愛感情を抱いていたことに気づいた。

 でも、それはいけない感情だ。美希には彼氏がいる。ましてや私が恋愛感情を抱いていることをしったら、気持ち悪く感じられるだろう。だから私は、この感情を隠す。諦めたかったけど、なぜか諦められない。
   そんな自分が私は嫌いだ。

「秋。大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。」
「秋最近暗いから心配だよ。」
「そうなの?」
「うん、なんか思い詰めてる感じがして」
 自覚はなかったが周囲にそう思われる方私は美希について考えているのだろうか。

「心配ありがとうね、恵。」
「何畏まってるの、私たち友達でしょ。美希のことでも考えていたの?」
 恵は、中学校からの友人だ。昔、相談して私が美希のことを、好きなのを知っている。それほど信用してる友人だ。恵は私の話を一切馬鹿にせず真剣に相談に乗ってくれる。私が心を病んでいる時も、相手をしてくれた。未だに美希を諦められないのは恵と話してるからかもしれない。恵は私のことを未だに応援してくれる。だから美希は友人として大好きだ。

「美希のことばかりじゃなくて私のことも忘れないでね。」
 恵のそんな一言に私は何故か私は寒気を感じた。

「何それ、メンヘラみたいで怖い。」
「冗談だよ。秋はいちいち反応が可愛いからさ。」
「可愛いねぇ・・・。」
「可愛い」、またこの言葉だ。この言葉は私を惑わせてしまう。私は今朝美希に可愛いと言われたことを思い出した。

「ほら、また美希のことを考えてる。」
「あ、バレた。」
「もう、今話してるのは美希じゃないよ。」
「ごめんごめん。」
 恵の言う通りだ。何故か美希のことばかり考えてる。私もつくづく馬鹿だと思う。

「そういえば来週テストだし一緒に勉強しない?」
「恵にしては珍しいね。」
「馬鹿にしてる?」
「冗談だよ。じゃあ帰り勉強ね。」

 これでいい。美希のことは一旦忘れるべきだ。本当に美希は私のことを惑わせてしまう。

「実るわけないのにね・・・」

「ん、なんか言った?」
「なんでもないよ。ほら、授業始まるよ。」
 そうだよ。私は何を期待してるんだろう。


 やっぱり私は馬鹿だ。
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