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第三章-⑷ アランとシンとレオとモカ
ファーストラブは突然に
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ジェームズの盗み食い事件とゾーイを追ってバスで暴走事件から、あっという間に二週間が過ぎた。
もうすぐ、俺達が地上に落ちて半年が経とうとしている。
あの夕日に叫んだあの日から、どこか意識が変わった俺達人類。
仮の住まいだからと、いつまでもお客さん気分はやめて、それぞれが積極的に王国の改革に着手するようになった。
道の舗装、生活用品の近代化、洋服の制作、公共施設の建設など、最初の頃に比べると大分文明的になってきていた。
「昴! このキャベツどうかな?」
「おー! 立派に育ったじゃん! もう収穫しても大丈夫だと思うぞ!」
「本当に!? じゃあ、デルタとソニアにポトフにしてもらおうっと!」
俺の言葉に嬉しそうにしている真由を見るだけで、穏やかな気持ちになる。
レオとモカが言ってた通り、一か月で冬から春に移り変わろうとしている。
おかげで、春野菜の類が続々と収穫の時期を迎えていたのだ。
本当に地上の七不思議だよな……
「昴くん! 真由! 今日も大量!」
「これでふきのとうの天ぷらや、菜の花のおひたしが食べられますね」
そう思っていると、山菜を取りに出掛けていた橘さんとローレンさんが帰って来た。
笑顔で、たくさんの採れたての山菜を見せてくれる。
今、俺は野菜や果物などの栽培と収穫に力を入れており、真由、橘さん、ローレンさんと時間を過ごすことが、多くなっていた。
けど、最近はお昼の時間になると……
「昴~! そろそろ、飯行くぞ~!」
望が俺のことを昼食に誘いに、わざわざ迎えに来てくれるようになった。
いまだに慣れないけど、この状況が平和すぎて毎回泣きたくなる。
前までは考えられなかったのに……!!
「それじゃあ、真由、橘さん、ローレンさん、また後で!」
そう三人に言い残して、最近デルタとソニアが朝持たせてくれるようになった弁当を持って、俺は望のもとに走った。
***
「道の舗装はどんな感じだ?」
「まだまだ先は長いな……」
「土地だけは広いから、どこからどこを道にするかを決めるとこからでさ……」
俺の質問に遠い目をして答える望とサトルは、相当お疲れだ。
俺、望、サトルの三人は王国の中心の木の下で並んで弁当を食べていた。
そう、この木は俺と望が落ちて夕食を台無しにし、ゾーイにブチ切れられたあのりんごの木。
最近はもっぱら、ここが俺達三人の昼食を食べる定位置になりつつある。
「大変だよな……今日は山菜と食べ頃のキャベツを収穫したから、それ食べて元気出してくれよ」
「本当かよ!? それなら、あとひと頑張りやってやるか!」
「ああ……早く夜になってくれ~!」
俺の言葉に望とサトルは喜んでくれたようで、よかったと心から思う。
まさか、この三人で昼食を取れる日がくるとは……本当に感慨深いよな。
そんなことを思っていた時だった……
「それで、昴はいつ真由に告るんだよ」
「ゴホッ……!!」
「え、昴!? 大丈夫か!?」
まさかの望からの爆弾発言より、俺は飲んでいた水が気管に入ってしまった。
驚いたサトルが、俺の横に来て優しく背中をさすってくれる。
「ご、ごめん、サトル……」
「僕は、それは全然いいけど……本当に大丈夫か?」
「情けねえな、まったくよ」
そんな俺を見て、望はおかしそうに不敵な笑みを浮かべている。
「お前が! 前触れもなく、急に変なことを言うからだろ!」
「事前に言ってたらいいのかよ」
「そ、それは……」
「はあ……ガキの頃からだぞ? 目移りせずに想い続けて、俺は尊敬するよ」
「え? 昴、そんなに片想い長いの?」
俺が言い返しても、望は余裕たっぷりという感じで呆れ交じりに返す。
それに対して、サトルも驚いたように俺に尋ねてくるけど……
「ガキの頃からって、それはどういう意味だ?」
「はあ? 待て、お前……はあ!?」
俺の質問に、望は怒ったような、混乱したような声を出す。
そして、途端に顔を歪めて、ガクリと項垂れてしまう。
「昴……まさか、最近になって真由への気持ちに気付いたのか!?」
「え?」
「ふざけてんのか? 何なんだ? ガキの頃から、俺が真由と話しているだけで嫉妬心剥き出しで突っかかってきてたくせに、全部無意識だってか!?」
「え? 昔から……?」
「望くん! まあ、落ち着いて……」
俺の肩を揺さぶり、ものすごい剣幕でまくし立てる望のことをサトルが止めに入る。
「え……俺、マジで?」
「マジだよ! お前は昔から、真由のことが大好きだろうが!」
予想外に飛び出した衝撃の事実、俺は穴があったら入りたくなった。
もうすぐ、俺達が地上に落ちて半年が経とうとしている。
あの夕日に叫んだあの日から、どこか意識が変わった俺達人類。
仮の住まいだからと、いつまでもお客さん気分はやめて、それぞれが積極的に王国の改革に着手するようになった。
道の舗装、生活用品の近代化、洋服の制作、公共施設の建設など、最初の頃に比べると大分文明的になってきていた。
「昴! このキャベツどうかな?」
「おー! 立派に育ったじゃん! もう収穫しても大丈夫だと思うぞ!」
「本当に!? じゃあ、デルタとソニアにポトフにしてもらおうっと!」
俺の言葉に嬉しそうにしている真由を見るだけで、穏やかな気持ちになる。
レオとモカが言ってた通り、一か月で冬から春に移り変わろうとしている。
おかげで、春野菜の類が続々と収穫の時期を迎えていたのだ。
本当に地上の七不思議だよな……
「昴くん! 真由! 今日も大量!」
「これでふきのとうの天ぷらや、菜の花のおひたしが食べられますね」
そう思っていると、山菜を取りに出掛けていた橘さんとローレンさんが帰って来た。
笑顔で、たくさんの採れたての山菜を見せてくれる。
今、俺は野菜や果物などの栽培と収穫に力を入れており、真由、橘さん、ローレンさんと時間を過ごすことが、多くなっていた。
けど、最近はお昼の時間になると……
「昴~! そろそろ、飯行くぞ~!」
望が俺のことを昼食に誘いに、わざわざ迎えに来てくれるようになった。
いまだに慣れないけど、この状況が平和すぎて毎回泣きたくなる。
前までは考えられなかったのに……!!
「それじゃあ、真由、橘さん、ローレンさん、また後で!」
そう三人に言い残して、最近デルタとソニアが朝持たせてくれるようになった弁当を持って、俺は望のもとに走った。
***
「道の舗装はどんな感じだ?」
「まだまだ先は長いな……」
「土地だけは広いから、どこからどこを道にするかを決めるとこからでさ……」
俺の質問に遠い目をして答える望とサトルは、相当お疲れだ。
俺、望、サトルの三人は王国の中心の木の下で並んで弁当を食べていた。
そう、この木は俺と望が落ちて夕食を台無しにし、ゾーイにブチ切れられたあのりんごの木。
最近はもっぱら、ここが俺達三人の昼食を食べる定位置になりつつある。
「大変だよな……今日は山菜と食べ頃のキャベツを収穫したから、それ食べて元気出してくれよ」
「本当かよ!? それなら、あとひと頑張りやってやるか!」
「ああ……早く夜になってくれ~!」
俺の言葉に望とサトルは喜んでくれたようで、よかったと心から思う。
まさか、この三人で昼食を取れる日がくるとは……本当に感慨深いよな。
そんなことを思っていた時だった……
「それで、昴はいつ真由に告るんだよ」
「ゴホッ……!!」
「え、昴!? 大丈夫か!?」
まさかの望からの爆弾発言より、俺は飲んでいた水が気管に入ってしまった。
驚いたサトルが、俺の横に来て優しく背中をさすってくれる。
「ご、ごめん、サトル……」
「僕は、それは全然いいけど……本当に大丈夫か?」
「情けねえな、まったくよ」
そんな俺を見て、望はおかしそうに不敵な笑みを浮かべている。
「お前が! 前触れもなく、急に変なことを言うからだろ!」
「事前に言ってたらいいのかよ」
「そ、それは……」
「はあ……ガキの頃からだぞ? 目移りせずに想い続けて、俺は尊敬するよ」
「え? 昴、そんなに片想い長いの?」
俺が言い返しても、望は余裕たっぷりという感じで呆れ交じりに返す。
それに対して、サトルも驚いたように俺に尋ねてくるけど……
「ガキの頃からって、それはどういう意味だ?」
「はあ? 待て、お前……はあ!?」
俺の質問に、望は怒ったような、混乱したような声を出す。
そして、途端に顔を歪めて、ガクリと項垂れてしまう。
「昴……まさか、最近になって真由への気持ちに気付いたのか!?」
「え?」
「ふざけてんのか? 何なんだ? ガキの頃から、俺が真由と話しているだけで嫉妬心剥き出しで突っかかってきてたくせに、全部無意識だってか!?」
「え? 昔から……?」
「望くん! まあ、落ち着いて……」
俺の肩を揺さぶり、ものすごい剣幕でまくし立てる望のことをサトルが止めに入る。
「え……俺、マジで?」
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