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第三章-⑶ ジェームズとコタロウ
まさかの突然の暴力
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「ほら、お互いに悪い部分があったってわかったなら、謝りな」
気を取り直したように、ゾーイはコタロウとジェームズにそう言い放った。
お互いに非があったことが、改めて理解できたのだから、ゾーイの言ってることは正論だ。
けど……散々、好き勝手言いまくった後で、謝るというのはすごく勇気がいると俺は思う。
きっと、コタロウとジェームズも俺と思うことは同じなのだろう。
その証拠に、今まさに二人はお互いに様子を探るような感じだ……
相手がどう出て来るのかを、恐る恐る伺っているのだろう。
おかげで、今の話題の中心人物である二人が喋らないからその場には長い変な沈黙が流れることになり……
「ねえ、いつまで待たせる気なの?」
明らかにイラついてますという態度を隠しもせず、ゾーイは問う。
「ご、ごめん……ゾーイ!」
「少し待ってろ! 今考えてんだ!」
それを受けてビクリとなりながら謝るジェームズと、大きな体に似合わず煮え切らない態度のコタロウ。
「……無理。間に合わんわ」
しかし、その停滞真っ只中な状況に耐えられなくなったゾーイが一番に動く。
うん、すっごく予想通りの展開。
「ぞ、ゾーイ?」
「真由、やめとけよ。今はあいつに任せとけ。確かに話が進まねえからな」
隣にいる真由と望から、そんな言葉が聞こえてきた。
けど、まあ確かに埒が明かないし、ここはゾーイに任せよう。
多分、全員がそう思ったのか、特にゾーイを止める者はおらず、俺達はその事の成り行きを見守ることにした。
すると、まずゾーイはおもむろにジェームズに近付くと……
「じゃあ、最初はジェームズからね?」
「え? 何が……うおわっ!?」
ゾーイがジェームズの頭を掴んだかと思えば、あっという間にジェームズのことをそのまま砂浜に沈めたのだ。
「望、今何がどうなった?」
「……あれだ、早すぎて見えなかった」
思わず、真顔で望に聞いた俺の行動は何もおかしくなかったと思う。
え、待って? 俺達は今、目の前で何を見せられたんだ?
砂浜とは思えない音がしたような……
あまりに一瞬の出来事で、その場の空気はあっという間に凍りついた。
突然すぎて、ジェームズも抵抗をする暇がなかったようで……
「ほわああ!? のぬなああな!?」
今ジェームズはゾーイに頭を掴まれたまま砂浜に頭が埋まっており、土下座のような状態となっている。
今のこれをどういうことか、誰一人として理解できないまま……
「ジェームズは言っております。食料を盗み食いしてごめんなさいと」
砂浜に埋まったジェームズの頭をポンポンと軽く叩き、ゾーイは言い放った。
「いや、言えてねえどころか、そんな埋まってたら息できねえだろよ……」
すかさず、ド正論の指摘がドン引きのコタロウからゾーイに伝えられる。
けど、本当にその通りで、ジェームズは今も何か言葉を話そうとしてるけど、砂に埋まってて何を言っているのか多分誰もわかってはいないと思う。
というか、ジェームズ、砂浜に顔が埋まって抜けないんじゃないかな……
「さて、それじゃ、次はコタロウね?」
「ま、待て! 俺は……どおわっ!?」
まあ、安定して話を聞かないゾーイはジェームズを砂浜に埋めたまま、今度はコタロウを砂浜に沈めた。
けど、その手法は謎に鮮やかで……
素早くコタロウの背後に回ったゾーイは、コタロウの両方の裏膝を蹴った。
とっさだったのと、予想外の攻撃に対処が遅れたコタロウは、そのまま膝をカクっと曲げられ、砂浜に沈んだ。
まあ、言わばそれは乱暴な膝カックンという手法だった……
少しというか、かなり不憫だった。
その証拠に砂浜に埋まったからというより、コタロウは醜態を晒したことが情けなくて顔を上げられないでいる。
まあ、そんな凍りついてる状況なんて関係ないゾーイは、砂浜に沈めたコタロウの頭も軽くポンポンと叩き……
「コタロウは言っております。寒いのに檻に入れてごめんなさいと」
これまた元気よく、満足げにゾーイは笑顔で言い放つのだった。
まったく、言えてないよね!?!?
多分だけど、この時の俺達の心の声は揃っていたと思う。
気を取り直したように、ゾーイはコタロウとジェームズにそう言い放った。
お互いに非があったことが、改めて理解できたのだから、ゾーイの言ってることは正論だ。
けど……散々、好き勝手言いまくった後で、謝るというのはすごく勇気がいると俺は思う。
きっと、コタロウとジェームズも俺と思うことは同じなのだろう。
その証拠に、今まさに二人はお互いに様子を探るような感じだ……
相手がどう出て来るのかを、恐る恐る伺っているのだろう。
おかげで、今の話題の中心人物である二人が喋らないからその場には長い変な沈黙が流れることになり……
「ねえ、いつまで待たせる気なの?」
明らかにイラついてますという態度を隠しもせず、ゾーイは問う。
「ご、ごめん……ゾーイ!」
「少し待ってろ! 今考えてんだ!」
それを受けてビクリとなりながら謝るジェームズと、大きな体に似合わず煮え切らない態度のコタロウ。
「……無理。間に合わんわ」
しかし、その停滞真っ只中な状況に耐えられなくなったゾーイが一番に動く。
うん、すっごく予想通りの展開。
「ぞ、ゾーイ?」
「真由、やめとけよ。今はあいつに任せとけ。確かに話が進まねえからな」
隣にいる真由と望から、そんな言葉が聞こえてきた。
けど、まあ確かに埒が明かないし、ここはゾーイに任せよう。
多分、全員がそう思ったのか、特にゾーイを止める者はおらず、俺達はその事の成り行きを見守ることにした。
すると、まずゾーイはおもむろにジェームズに近付くと……
「じゃあ、最初はジェームズからね?」
「え? 何が……うおわっ!?」
ゾーイがジェームズの頭を掴んだかと思えば、あっという間にジェームズのことをそのまま砂浜に沈めたのだ。
「望、今何がどうなった?」
「……あれだ、早すぎて見えなかった」
思わず、真顔で望に聞いた俺の行動は何もおかしくなかったと思う。
え、待って? 俺達は今、目の前で何を見せられたんだ?
砂浜とは思えない音がしたような……
あまりに一瞬の出来事で、その場の空気はあっという間に凍りついた。
突然すぎて、ジェームズも抵抗をする暇がなかったようで……
「ほわああ!? のぬなああな!?」
今ジェームズはゾーイに頭を掴まれたまま砂浜に頭が埋まっており、土下座のような状態となっている。
今のこれをどういうことか、誰一人として理解できないまま……
「ジェームズは言っております。食料を盗み食いしてごめんなさいと」
砂浜に埋まったジェームズの頭をポンポンと軽く叩き、ゾーイは言い放った。
「いや、言えてねえどころか、そんな埋まってたら息できねえだろよ……」
すかさず、ド正論の指摘がドン引きのコタロウからゾーイに伝えられる。
けど、本当にその通りで、ジェームズは今も何か言葉を話そうとしてるけど、砂に埋まってて何を言っているのか多分誰もわかってはいないと思う。
というか、ジェームズ、砂浜に顔が埋まって抜けないんじゃないかな……
「さて、それじゃ、次はコタロウね?」
「ま、待て! 俺は……どおわっ!?」
まあ、安定して話を聞かないゾーイはジェームズを砂浜に埋めたまま、今度はコタロウを砂浜に沈めた。
けど、その手法は謎に鮮やかで……
素早くコタロウの背後に回ったゾーイは、コタロウの両方の裏膝を蹴った。
とっさだったのと、予想外の攻撃に対処が遅れたコタロウは、そのまま膝をカクっと曲げられ、砂浜に沈んだ。
まあ、言わばそれは乱暴な膝カックンという手法だった……
少しというか、かなり不憫だった。
その証拠に砂浜に埋まったからというより、コタロウは醜態を晒したことが情けなくて顔を上げられないでいる。
まあ、そんな凍りついてる状況なんて関係ないゾーイは、砂浜に沈めたコタロウの頭も軽くポンポンと叩き……
「コタロウは言っております。寒いのに檻に入れてごめんなさいと」
これまた元気よく、満足げにゾーイは笑顔で言い放つのだった。
まったく、言えてないよね!?!?
多分だけど、この時の俺達の心の声は揃っていたと思う。
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