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第一章 物語は落下して始まった
コックピットには先客がいた
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「そういえば、コックピットの場所とか知ってるのか⁉︎」
「はあ⁉︎ お前、知らないでこんなに必死こいて走ってんのかよ⁉︎」
「普通空島のコックピットの場所なんて知らないだろ‼︎」
「まあまあ、とにかく! 兄弟喧嘩はそのくらいにしとこう!」
「あ、大丈夫よ~、あたしちゃんと場所知ってるから!」
その突拍子もない発言にさえ納得せずにはいられないほど、ゾーイの走りにはまるで迷いがなかった。
裏口から外に出て、森の奥の大きな岩を片手で動かした時は目を見張った。
けど、触ってみるとその岩が偽物だとわかって、少し安心する。
偽物の岩の下はハッチがあり、下へと続く梯子がとても長く続いていた。
まったく躊躇なくゾーイは下りて行くので、俺達もそれに続く。
とても長く、暗くて、狭く、この空間は息が詰まるようだった。
「もうすぐ、着くよ~」
ゾーイのその言葉通りに俺達は無事に長い梯子を下りれたようだ。
目の前の光景は、言うなればロボットのお腹の中はきっとこんな感じだ。
あちこちによくわからない機械の管が張り巡らされていて、電子音が鳴り響く薄暗い通路だった。
ゾーイがこっちと言うので、俺達はそれについて走り出す。
俺の頭に浮かぶ疑問は、警報の原因とこのゾーイという少女は一体何者なのだろうかということだけだった。
すると、ゾーイは急に足を止める。
「おっと、どうかした?」
「コックピットはここなのよ」
「え? あ、そうなんだ……」
「人の声が聞こえない?」
「コックピットだろ? 操縦士がいるに決まってんだろ」
「普段ならね? けれど、今日は空島会議で操縦士は必ず出席だから自動操縦モードにしてるはずなのよ……」
「それもそうだし、何人いるよ? 軽く十人分の話し声じゃないか?」
サトルに言われて、俺はドアに耳を押し当てる。
確かに何人もの話し声が混じり合ってというか、何か喧嘩してないか?
コックピットの中があまりいい雰囲気じゃないかもしれないということも相まって、ゾーイに何でそんなことを知ってるんだと聞ける雰囲気ではなかった。
「どうすんだよ? お前だろ、ここに俺達を連れて来たのは」
「え? あたし一回もついて来てなんて頼んでないけど?」
「はあ⁉︎」
「望、静かにしろ‼︎」
「ゾーイは間違ってない! 僕達が勝手について来たんだから!」
「命令すんな‼︎ フォローすんな‼︎」
「どうしろってんだ‼︎」
「どうでもいいけど、三人ともちょっとそこどいてて」
望の隣にいたはずなのに、ゾーイは俺達の後ろにいつの間にか移動していた。
そして、何やらブーツを脱ぎ始めたゾーイを見ながら、ドアの向こうの騒がしさがなくなってることに気付く。
どうやら、さっきまで俺達がうるさくしすぎたせいで、向こうは俺達の存在に気付いてしまったようだ。
「ゾーイ、何するの⁉︎」
「大丈夫だよ、三人は後方からあたしのフォローよろしく」
「フォローだあ⁉︎ 女は引っ込め‼︎」
「女性蔑視発言はかなり時代遅れよ、望くんとやら?」
「まあ、確かにね……それより、ゾーイ! 向こうが黙ってる間に……⁉︎」
サトルの言葉が終わる前に勢いよくドアが開いて、人影が突っ込んで来た。
しかし、ゾーイは軽く受け流したかと思えば相手の腕を掴んで、背中から床に投げ飛ばした……あ、確かこれって大昔の映像で見たことあるやつだ。
カラテ? あれ、ジュウドウだっけ?
ゾーイはさも当たり前のような表情をしており、謎は深まるばかりだ。
俺は我に返ってすぐにドアの方に目を向けるが、そこには俺と同世代の男女で五、六人ほどがこっちを見ていた。
あれ、待てよ、あの服ってまさか……
「君って、もしかしてアーデルだったりする?」
「イッタタ……もしかして!? この制服を見て、君はわからないのか⁉︎」
「はあ⁉︎ お前、知らないでこんなに必死こいて走ってんのかよ⁉︎」
「普通空島のコックピットの場所なんて知らないだろ‼︎」
「まあまあ、とにかく! 兄弟喧嘩はそのくらいにしとこう!」
「あ、大丈夫よ~、あたしちゃんと場所知ってるから!」
その突拍子もない発言にさえ納得せずにはいられないほど、ゾーイの走りにはまるで迷いがなかった。
裏口から外に出て、森の奥の大きな岩を片手で動かした時は目を見張った。
けど、触ってみるとその岩が偽物だとわかって、少し安心する。
偽物の岩の下はハッチがあり、下へと続く梯子がとても長く続いていた。
まったく躊躇なくゾーイは下りて行くので、俺達もそれに続く。
とても長く、暗くて、狭く、この空間は息が詰まるようだった。
「もうすぐ、着くよ~」
ゾーイのその言葉通りに俺達は無事に長い梯子を下りれたようだ。
目の前の光景は、言うなればロボットのお腹の中はきっとこんな感じだ。
あちこちによくわからない機械の管が張り巡らされていて、電子音が鳴り響く薄暗い通路だった。
ゾーイがこっちと言うので、俺達はそれについて走り出す。
俺の頭に浮かぶ疑問は、警報の原因とこのゾーイという少女は一体何者なのだろうかということだけだった。
すると、ゾーイは急に足を止める。
「おっと、どうかした?」
「コックピットはここなのよ」
「え? あ、そうなんだ……」
「人の声が聞こえない?」
「コックピットだろ? 操縦士がいるに決まってんだろ」
「普段ならね? けれど、今日は空島会議で操縦士は必ず出席だから自動操縦モードにしてるはずなのよ……」
「それもそうだし、何人いるよ? 軽く十人分の話し声じゃないか?」
サトルに言われて、俺はドアに耳を押し当てる。
確かに何人もの話し声が混じり合ってというか、何か喧嘩してないか?
コックピットの中があまりいい雰囲気じゃないかもしれないということも相まって、ゾーイに何でそんなことを知ってるんだと聞ける雰囲気ではなかった。
「どうすんだよ? お前だろ、ここに俺達を連れて来たのは」
「え? あたし一回もついて来てなんて頼んでないけど?」
「はあ⁉︎」
「望、静かにしろ‼︎」
「ゾーイは間違ってない! 僕達が勝手について来たんだから!」
「命令すんな‼︎ フォローすんな‼︎」
「どうしろってんだ‼︎」
「どうでもいいけど、三人ともちょっとそこどいてて」
望の隣にいたはずなのに、ゾーイは俺達の後ろにいつの間にか移動していた。
そして、何やらブーツを脱ぎ始めたゾーイを見ながら、ドアの向こうの騒がしさがなくなってることに気付く。
どうやら、さっきまで俺達がうるさくしすぎたせいで、向こうは俺達の存在に気付いてしまったようだ。
「ゾーイ、何するの⁉︎」
「大丈夫だよ、三人は後方からあたしのフォローよろしく」
「フォローだあ⁉︎ 女は引っ込め‼︎」
「女性蔑視発言はかなり時代遅れよ、望くんとやら?」
「まあ、確かにね……それより、ゾーイ! 向こうが黙ってる間に……⁉︎」
サトルの言葉が終わる前に勢いよくドアが開いて、人影が突っ込んで来た。
しかし、ゾーイは軽く受け流したかと思えば相手の腕を掴んで、背中から床に投げ飛ばした……あ、確かこれって大昔の映像で見たことあるやつだ。
カラテ? あれ、ジュウドウだっけ?
ゾーイはさも当たり前のような表情をしており、謎は深まるばかりだ。
俺は我に返ってすぐにドアの方に目を向けるが、そこには俺と同世代の男女で五、六人ほどがこっちを見ていた。
あれ、待てよ、あの服ってまさか……
「君って、もしかしてアーデルだったりする?」
「イッタタ……もしかして!? この制服を見て、君はわからないのか⁉︎」
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