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第二章 クソボケ大魔王と魔法スキルと
女は本性を隠してこそだよね
しおりを挟む※グロ注意です。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
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跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
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