美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

一週間

　子供を作ることになって、私は今薬を飲んでいない。
　あの日、意識を失って目が覚めてからは体調も特に問題無かったのだけれど…。

「仕事なんてまだしなくていい。もう少し休んでいなさい」
「ハインツさん…」

　やっぱり過保護な夫たちにベッドに居るように言われ、もう四日。
　流石に…うん、精神的に辛い。
　それに彼らからあまり触れて貰えていないのだ。手を握ったり頭を撫でたりはしてくれるけどやっぱり足りなくて。
　薬飲んでなくてもしなかったら一緒じゃない…。いや、色々と準備は必要だしまだ早いんだ、きっと。
　まる二日も倒れていたのだからこれだけ心配して当たり前だ。今ばっかりはちゃんと彼らの言うことを聞こう。

　そう思っていたら三日経った。
　会話に子供の「こ」の字も出てこなかった…。
　ベッドからは解放されたが相変わらず家の中。
　もしかして忘れられてる？でも皆あんなに嬉しそうにしてくれてたし…。
　一人でリビングをグルグル歩き回っているとハインツさんが帰ってきた。

「サキ？何か必要なものがあるなら持っていくから部屋に…」
「ハインツさん…私もう無理！」
「！？」


　その夜リビングに全員が集まった。
　私はずっとハインツさんに抱きついている。

「皆全然触れてくれないんだもん！赤ちゃんの話もしてくれないし！」
「ご、ごめんねサキちゃん…」
「サキの体が心配で…そういう話は後にしようと…」
「後っていつですかぁ…いっぱい待ってたのに…」

　ラグトさんとミスカさんをペシペシ叩きながら嘆く。

「何でも体を安静にしてれば良いって訳じゃないんです！精神的な問題もあるんです！」
「そうだな、すまなかった…サキ」

　頭を撫でるハインツさんに足りないと文句を言って抱きしめて貰う。

「僕たちも…その、子供の事については話してて…」
「私抜きで？」
「…すみません」

　いつまでも怒っていても仕方が無いのでとりあえずその話を聞くことにした。

「子供はいつでも迎えられるよ。そういう準備は私たちがきちんとするから大丈夫」
「一番大変なのはサキだから、時期とかも考えて…」
「それまではずっとしないってこと？」

　リュークの言葉に私が返すと皆一瞬無言になる。
　ハインツさんが咳払いで仕切り直した。

「期間が長ければまた薬を飲めば良いし、行為後すぐ飲むものもある。全員の子供が出来るまではそうしようとも思っていたが」

　男性用の避妊道具は無いんだね…。薬はほぼ１００％大丈夫らしいけど。

「私が子供欲しいって言ったのは勢い任せじゃないよ。ずっと考えてたし覚悟も出来てる。勿論皆も大変で全員で向き合うことだから、その気持ちが決まるのを待ってたの」

　私の真剣さが伝わったようで、ここで全員の意見が一致した。

「ちなみにサキさんは、誰の子が一番に欲しいとかは無いですか？」
「全然無いよ。産まれてくるまで分からないんだよね？」
「そうですね。男の子か女の子かも分からないですし」
「じゃあいっぱい名前考えておかないとだね！」
「「！」」

　顔を見合わせた彼らは嬉しそうに大きく頷く。

「俺の子だったら似てる名前が良いな！」
「ルークくんとはちょっと離さないと」
「あはは！余計分からなくなっちゃう！」

　こうして無事話し合いが終わり、私の一週間の悩みも解決…

「その前に、今まで触れてくれなかった分抱きしめてくれないと嫌」
「サキ…悪かった」
「ミスカさんは抱きしめてくれてたもん。一番はハインツさんですよ」
「いや…あまり触れてしまったら止まらなくなりそうで…」
「別に…駄目だなんて言ってないじゃないですか」

　ハインツさんの胸に顔を埋めながらモゴモゴと言うと、急に彼は私を抱えたまま立ち上がる。

「今からしよう」
「ハインツさん…！」

　ようやく待ち望んだ触れ合いに私が喜ぶと、他の皆も勢いよく立ち上がる。

「サキそんなにえっちしたかったの～！可愛い～いっぱいしよ！」
「ちゃんと順番決めましょう！僕が一番に…」
「前もヴェルストリアだったじゃん」

　ミスカさん以外の三人がわいわいしてる。

「あの…そんなに一気にしなくても大丈夫だよ…？明日とかでも…」

　私の声は聞こえていないようだ。

「あいつらは置いておこう」
「一週間分をしないとね」
「ハインツさんの一週間分は辛いです」

　先に二人と部屋に向かった。

「あ、ちょっと！置いてくのは酷いっすよ！」

　すぐに三人も来た。
　自分から言い出しておいてなんだけど、全員とするのは…体力が持つか不安だ。
　しかしまたヘロヘロになって皆に心配をかけるのもあれなので、出来る限り頑張ろうと心の中で思った。