美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

文字の大きさ
上 下
125 / 184

念願のお風呂

しおりを挟む
 我が家の準備が整い、今日から新居で暮らすことになった。
 楽しみ過ぎて仕事が終わってすぐに、残りの荷物を持ってくる。

「サキ、もう行くのか」
「はい!」
「はしゃいで転ばないようにな」
「気をつけます…」

 ミスカさんに念を押された後、早歩きは止めてゆっくり歩いて家に向かった。
 夕食が終わったばかりなので皆はまだ仕事があるのだろう。誰も帰ってきていないようだ。
 自分の部屋に入ると、例の三人ベッドが設置されていた。

「ベッドだ!わーい!」

 ふかふかの新品のマットレスに飛び込む。
 今日からここで寝るんだなぁ…ふふ、ちゃんと寝れるかな?
 しばらく横になっていたがどうにもソワソワしてしまう。早く来ても特にやることは考えていなかった。
 家の中をグルグル歩き回り…せっかくなので一番にお風呂に入ることにした。
 お湯を張ってー、パジャマ用意してー。
 鼻歌混じりで服を脱ぎ広い浴室へ入る。

「あれ、シャワー…どうだっけ?」

 先日教えて貰ったのにもう忘れてしまった。
 右か左か…ん?もう一個レバーが…。
 色々試しているとなんと勢いよく水が出てきた。

「きゃぁっ!!」

 冷たい水を勢いよく被って思わず声を上げる。
 ど、どうやって止めれば…どうしよう…。
 水の勢いが怖くて手を出せないでいると、外からバタバタと音が聞こえてきて戸が開いた。

「サキ!どうしたんだ!」
「ハインツさん…!シャワー止めてくださいぃ…」

 ちょうど帰ってきたハインツさんが私の悲鳴を聞いて駆けつけてくれたので何とかなった。

「ここは下にしてからこっちをひねるんだよ」
「あ、そっちか!ありがとうございま…」

 随分焦っていて今、自分が全裸であることを忘れていた。

「!ごめんなさい…!!」

 慌てて手で隠すと彼は何故かニッコリ笑った。

「私も濡れてしまったし、一緒に入ろうか」
「えっ」

 そうして私は椅子に座り、ハインツさんに髪を洗われていた。

「痛くない?」
「大丈夫です…」

 気持ちいい…美容師さんレベルだ…。 
 若干ウトウトしながらトリートメントまでして貰う。

「今度は私がやりますね」
「自分でやるから大丈夫だよ」
「えー…」
「…じゃあお願いしようか」
「はい!」

 ハインツさんを座らせてシャンプーを泡立てる。
 髪が短いとやりやすいなぁ…。
 羨ましく思いながらもここまで短髪にする勇気は無いので大人しく毎日頑張ろう。

「泡流しますね」
「ああ」

 シャワーでお湯をかけながら、彼の大きな背中を見る。筋肉のついた逞しい体はやっぱり男らしくてドキドキしてしまう。

「終わりました!」
「ありがとう。サキは上手だね」
「ハインツさんの方が…」

 立ち上がり振り返った彼の下に気づいて目を逸らした。そっと抱き寄せられてアレがお腹に当たる。

「まだ何もしてないじゃないですか…」
「サキの裸を見たら誰でも勃ってしまうだろう」

 ハインツさんは泡を取り私の体を撫でる。私も負けじと彼の体を洗うが当たり前に手が届かない。
 背中にあった彼の手は前へと移動し胸を揉み始める。

「んっ…やだ、そこばっかり…」

 先端をクリクリと押され甘い息が漏れる。

「っ…あ……ハインツさん…」
「立っていると入れれないのが悩みだな…」
「?」

 ボソッと呟いたハインツさんは何事も無かったかのように丁寧に私の全身を洗う。

「足上げて」
「そこは自分でやりますから…!」

 足の裏まで触られてくすぐったくて仕方がない。
 やっと解放され、私が洗顔している間に彼もさっぱりしたらしい。

「サキはいつも化粧をしているのかい?」
「少しはしてますよ。ビアンさんに色々頂いたものがあるので」

 出会って次の日にすっぴん見られてるから大して気にしてないし、してない時もあるけど。

「も、もしかして…毎日しっかりしてた方が良かったですか…?すみません適当で…」

 化粧してるか分からないくらいだから手を抜いていると思われたかもしれない。

「そうではないよ。この前出かけた時の姿は勿論可愛かったけれど、何もしていない素の君もとても魅力的だから」
「ありがとうございます…」

 これは全女子が求める理想の答えでは無いだろうか。いや、個人差あるので発言に対して責任は負いませんが。
 私自身はとっても満足して、しかし恥ずかしかったので、赤くなった顔をお湯のせいにする為に意味もなく顔をもう一度ゆすいだ。
 ようやく念願の入浴が出来るので、ハインツさんを置いて一人で入り肩まで浸かる。

「あったかーい…」

 続いてハインツさんも入ったが、湯船もだいぶ広い為二人でも全然余裕がある。

「ふふ、気持ちいい~」

 お風呂の有難みを感じながらのんびりしていると、近づいてきたハインツさんに壁まで追い詰められた。

「もっと気持ちいいことをしようか」
「いえ…今とても良いところでして…もう少しこの喜びに浸っていた……」

 結局駄目だった。

「は…あっん……!」
「気持ちいい?」
「きもちいいの…いみがちがう…っ」

 座る彼に乗り上下に動くせいでお湯が波打つ。広い浴室に自分の声が反響するのが恥ずかしい。

「あぁ…は…っ」

 舌を絡めるキスがまた緩やかな快感となる。

「んん…はぁ、おゆ…こぼれちゃう…」
「大丈夫」
「みんな…んっ……入るでしょ…?」
「入らないよ」

 もう!適当に返事しちゃって!!
 しかし文句を言う前に彼がグッと奥に押し込んできて、頭が真っ白になった。

「あぁっイク…!」
「っ…」

 中も外も熱い…。

「のぼせてしまうね。もうあがろうか」

 ぐったりとした私をハインツさんは抱き上げ外に出た。体も拭いて髪も乾かす。

「あの…服着たいんですが…」
「どうせ脱いでしまうだろう」

 部屋に戻ってもする気だ…。
 タオルで巻かれお姫様抱っこで部屋に連行される途中で、帰ってきていたミスカさんに出くわした。

「ミスカさんおかえりなさい…」
「ただいま…。…まだ初日だが」

 ですよね…なんでこうなった…。

「今日は私の番だ。他の皆に言っておいてくれ」
「…分かりましたよ…」

 こうして私の新しい性か…生活が始まった。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

異世界の美醜と私の認識について

佐藤 ちな
恋愛
 ある日気づくと、美玲は異世界に落ちた。  そこまでならラノベなら良くある話だが、更にその世界は女性が少ない上に、美醜感覚が美玲とは激しく異なるという不思議な世界だった。  そんな世界で稀人として特別扱いされる醜女(この世界では超美人)の美玲と、咎人として忌み嫌われる醜男(美玲がいた世界では超美青年)のルークが出会う。  不遇の扱いを受けるルークを、幸せにしてあげたい!そして出来ることなら、私も幸せに!  美醜逆転・一妻多夫の異世界で、美玲の迷走が始まる。 * 話の展開に伴い、あらすじを変更させて頂きました。

美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です

花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。 けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。 そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。 醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。 多分短い話になると思われます。 サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。

4度目の転生、メイドになった貧乏子爵令嬢は『今度こそ恋をする!』と決意したのに次期公爵様の溺愛に気づけない?!

六花心碧
恋愛
恋に落ちたらEND。 そんな人生を3回も繰り返してきたアリシア。 『今度こそ私、恋をします!』 そう心に決めて新たな人生をスタートしたものの、(アリシアが勝手に)恋をするお相手の次期公爵様は極度な女嫌いだった。 恋するときめきを味わいたい。 果たしてアリシアの平凡な願いは叶うのか……?! (外部URLで登録していたものを改めて登録しました! ◇他サイト様でも公開中です)

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

ただ貴方の傍にいたい〜醜いイケメン騎士と異世界の稀人

花野はる
恋愛
日本で暮らす相川花純は、成人の思い出として、振袖姿を残そうと写真館へやって来た。 そこで着飾り、いざ撮影室へ足を踏み入れたら異世界へ転移した。 森の中で困っていると、仮面の騎士が助けてくれた。その騎士は騎士団の団長様で、すごく素敵なのに醜くて仮面を被っていると言う。 孤独な騎士と異世界でひとりぼっちになった花純の一途な恋愛ストーリー。 初投稿です。よろしくお願いします。

異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜

野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。 生まれ変わった?ここって異世界!? しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!? えっ、絶世の美女?黒は美人の証? いやいや、この世界の人って目悪いの? 前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。 しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜

朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。 (この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??) これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。 所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。 暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。 ※休載中 (4月5日前後から投稿再開予定です)

処理中です...