美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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真っ直ぐに

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「サキさん!」
「ヨルアノくん」

 勢いよく走ってきたヨルアノくんは私の前でストップする。 
 今日も何かあったのかな。

「今お時間良いですか?」
「うん!」

 チラッと周りを見て誰も居ないことを確認してから、ヨルアノくんは真剣な顔で口を開いた。

「俺、サキさんのことが好きです!」
「……えっ!?」

 何の前置きも無しに唐突に告白され、一瞬聞き間違えかと思った。

「好き……って……え?そういう…好き?」
「はい、恋愛的な好きです」

 未だ驚きは消えないがヨルアノくんの真っ直ぐな瞳は揺らぐことなく私を見ていて、嘘や冗談なんかでは無いと確信する。

「サキさん、俺と付き合ってください」

 ヨルアノくんのことは私も好きだと思う。でもそれは仲間として、人としての好意。

「気持ちは嬉しいけど……私はヨルアノくんにそういう好きは持っていないの。だからお付き合いは出来ません、ごめんなさい」
「そうですか……」

 少し寂しそうに笑う彼に私は何て声をかけたら良いんだろう。

「私……」
「あ、ヴェルストリア来たん?」
「え?」

 ヨルアノくんが言う通り、扉の所に息を切らしたヴェルくんが立っていた。

「まさかもう告白終わったの……?」
「うん」
「そ、そんなあっさり……」

 ヴェルくんは告白のことを知っていたようで、何だかガックリしているのかホッとしているのか分からない。
 ヴェルくんを見ていたヨルアノくんは私に向き直りニコッと笑う。

「サキさんありがとうございます。俺もサキさんみたいに人を笑顔に出来るよう頑張りますんで、これからもよろしくお願いします!」
「ヨルアノくん……。気持ちを伝えてくれてありがとう!こちらこそよろしくね」

 ヨルアノくんが手を差し出したので私もまた返そうとすると、間にヴェルくんが入り込む。

「ちょ、最後に握手くらいさせてや!」
「もう諦めたんでしょ!?」
「付き合うんは望まんでも初恋はそう簡単に捨てきれんねん!」
「捨てきれるまでサキさんと話す時は2m離れて」
「なんやその縛り!」

 ポカンとする私の目の前で二人の子供っぽい言い争いは続く。
 私さっき告白されて振ったはずなのに雰囲気全然無いな……。
 展開が速すぎてよく分からなくなってきた。
 でも二人がこんなに仲良くなっていたなんて。それが凄く嬉しくてつい笑ってしまう。

「ふふ、ヴェルくん良かったね」
「!」
「ヨルアノくん、ヴェルくんのことよろしくね」
「はい!」

 私はヨルアノくんの想いには応えられないけど、それでも真っ直ぐに伝えてくれたことが嬉しかった。
 彼が黒騎士団に入ってきてくれて良かったと改めて思ったのだった。
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