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女性として
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一月から建設が進められている我が家は着々と工事が進んでおり、見た限り半分は完成している気がする。
こんなにフルスピードで行われている理由が私の「お家楽しみ!早く住みたい!」という言葉では無いことを願っている。
ちなみに新しい寮はその隣に、屋内訓練場は北館の後ろに建てられる。
沢山の人が出入りしている為近くには寄らないように、と念を押された。
まあ全然遠いし、大丈夫…
「あのー、誰か居ますか?」
「は、はい!」
門の外から声をかけられ思わず返事をしてしまった。
「工事のことで確認が……えっ、かわい…」
工事の人!?ど、どうしよう…。
「お、お名前聞いてもいいですか!」
「いや…その…」
お名前は言わない方がいいよね…。
「何かご用でしたか…?」
「あ、えと…建物の補強について…」
「では伝えてきますね!」
「え」
逃げるように門から離れ、近くに居た団員さんに駆け寄る。
「サキさん?どうかしました?」
「門のところに工事の方がいらっしゃってて…建物の補強なんとかで…」
「マジすか、団長呼んできます!サキさんは戻らなくて良いですからね!」
「ありがとうございます…」
すぐにハインツさんが来て対応してくれたので私の出番は無くなった。
焦ったぁ…知らない人に近づいちゃ駄目、話しかけられても無視しろって夫たちに言われてるから…。
……なんか私子供だと思われてない?
今更気づきモヤモヤしていると後ろから大きな体に抱きしめられた。
「サキ、大丈夫だったかい?」
「ハインツさん!はい、ありがとうございます」
向き合うと優しく頭を撫でられた。
「ちゃんと助けを呼べて偉かったね」
「あの…別にあの人は悪い人でも無いし、助けというのは…」
変質者か犯罪者みたいな扱いになってる気がする…。
「いや、サキについてしつこく聞かれたからあれは悪い人だ」
「えぇ……というか、皆私に対して過保護過ぎませんか?」
「一度あんなことがあったのだから当たり前だろう」
「…そうですけど……」
攫われた時のことを思えば皆がこれだけ心配してくれるのは当然なのかもしれないけど…。
「子供扱いされてるみたいで…ちょっと悲しいんです」
「!……」
私だってこのくらいは…と思うのは反抗期だろうか。このレベルだと第一次反抗期と同じかもしれない。
やっぱり精神が子供なんだ…うぅ…。
「サキ、一緒に行こうか」
「?はい」
笑顔のハインツさんに手を引かれ建物の中へ入る。
誰も居ない部屋で抱きしめられた…かと思うと彼の手は私のお尻に触れた。
「は、ハインツさん…!」
「子供相手にこんな事はしないだろう?」
服の上から胸を撫で揉まれる。
「ひゃっ!?」
「女性として魅力的だから心配してるんだ」
「わ、分かりましたから!」
「本当に?」
「本当です!」
「それなら良かった」と離してくれた。
「門にはあまり近づいては駄目だよ」
「気をつけます…」
でも女性として…なんて言われて嬉しくなってしまう。
部屋から出る前に少しハインツさんの袖を引いた。
「…今夜一緒に居たいです」
「え、ああ、良いよ」
「ありがとうございます。…そ、それでは!」
今日は逃げてばっかりだ。未だ誘うことに慣れない私は熱くなった顔を手で扇いだ。
迂闊に触れるんじゃなかった…。
サキは普段あんなに恥ずかしがっているのに、誘う時は雰囲気でとかでは無くてちゃんと言葉にしてくる。
律儀で真面目で……あぁ…可愛い…。
先程の余裕ぶった格好などどっかへ飛んで行き、みっともなく赤くなった顔を手で隠した。
こんなにフルスピードで行われている理由が私の「お家楽しみ!早く住みたい!」という言葉では無いことを願っている。
ちなみに新しい寮はその隣に、屋内訓練場は北館の後ろに建てられる。
沢山の人が出入りしている為近くには寄らないように、と念を押された。
まあ全然遠いし、大丈夫…
「あのー、誰か居ますか?」
「は、はい!」
門の外から声をかけられ思わず返事をしてしまった。
「工事のことで確認が……えっ、かわい…」
工事の人!?ど、どうしよう…。
「お、お名前聞いてもいいですか!」
「いや…その…」
お名前は言わない方がいいよね…。
「何かご用でしたか…?」
「あ、えと…建物の補強について…」
「では伝えてきますね!」
「え」
逃げるように門から離れ、近くに居た団員さんに駆け寄る。
「サキさん?どうかしました?」
「門のところに工事の方がいらっしゃってて…建物の補強なんとかで…」
「マジすか、団長呼んできます!サキさんは戻らなくて良いですからね!」
「ありがとうございます…」
すぐにハインツさんが来て対応してくれたので私の出番は無くなった。
焦ったぁ…知らない人に近づいちゃ駄目、話しかけられても無視しろって夫たちに言われてるから…。
……なんか私子供だと思われてない?
今更気づきモヤモヤしていると後ろから大きな体に抱きしめられた。
「サキ、大丈夫だったかい?」
「ハインツさん!はい、ありがとうございます」
向き合うと優しく頭を撫でられた。
「ちゃんと助けを呼べて偉かったね」
「あの…別にあの人は悪い人でも無いし、助けというのは…」
変質者か犯罪者みたいな扱いになってる気がする…。
「いや、サキについてしつこく聞かれたからあれは悪い人だ」
「えぇ……というか、皆私に対して過保護過ぎませんか?」
「一度あんなことがあったのだから当たり前だろう」
「…そうですけど……」
攫われた時のことを思えば皆がこれだけ心配してくれるのは当然なのかもしれないけど…。
「子供扱いされてるみたいで…ちょっと悲しいんです」
「!……」
私だってこのくらいは…と思うのは反抗期だろうか。このレベルだと第一次反抗期と同じかもしれない。
やっぱり精神が子供なんだ…うぅ…。
「サキ、一緒に行こうか」
「?はい」
笑顔のハインツさんに手を引かれ建物の中へ入る。
誰も居ない部屋で抱きしめられた…かと思うと彼の手は私のお尻に触れた。
「は、ハインツさん…!」
「子供相手にこんな事はしないだろう?」
服の上から胸を撫で揉まれる。
「ひゃっ!?」
「女性として魅力的だから心配してるんだ」
「わ、分かりましたから!」
「本当に?」
「本当です!」
「それなら良かった」と離してくれた。
「門にはあまり近づいては駄目だよ」
「気をつけます…」
でも女性として…なんて言われて嬉しくなってしまう。
部屋から出る前に少しハインツさんの袖を引いた。
「…今夜一緒に居たいです」
「え、ああ、良いよ」
「ありがとうございます。…そ、それでは!」
今日は逃げてばっかりだ。未だ誘うことに慣れない私は熱くなった顔を手で扇いだ。
迂闊に触れるんじゃなかった…。
サキは普段あんなに恥ずかしがっているのに、誘う時は雰囲気でとかでは無くてちゃんと言葉にしてくる。
律儀で真面目で……あぁ…可愛い…。
先程の余裕ぶった格好などどっかへ飛んで行き、みっともなく赤くなった顔を手で隠した。
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