美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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クマちゃんは知っている

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「もふもふ…」

 誰も居ない夜はリュークから貰ったクマちゃんと一緒に寝ている。
 大きくも小さくもなく重くもない、この何とも言えないフィット感が寝る時には最適なのだ。
 勿論皆から貰ったプレゼントはどれも大切に保管し使わせて貰っている。
 ハインツさんの花束はどうしても長くは保てないので、ミスカさんに聞いて押し花にした。フレームに入れて飾り素敵なインテリアになっている。
 ヴェルくんのケーキは心の中で…もあるけれど、たまに作ってくれるのであの日を思い出しながら彼と一緒に味わっている。
 でもクマちゃん、最近出番が少なくなってきたんだよなぁ…。皆と一緒に居る時間が増えるのは嬉しいから…ごめんね。
 そう思いながら共にベッドに潜る彼(彼女?)の頭を撫でた。

 次の日、私は二番隊の練習場での様子を見学させて貰っていた。
 リーダーになったミスカさんが立ち会うということで彼が終わるのを待つ間だ。
 今年リュークが隊長になったので彼が先頭に立ち指示を出している…といっても、元々アレクさんが居ることが少なかったのでそう対して変わっていないらしい。

「あ、ヨルアノくんだ」

 二番隊に入隊した彼は、先輩に教わりながら弓の練習をしているようだった。
 経験のあるヨルアノくんは剣も弓も上達が速く団員たちが褒めているのをよく耳にする。しかしそれに付随して言われるのが書類関係は滅法弱いということ。武術が秀でていれば多少筆記が出来ずとも合格になることがあるらしい。

「サキ、待たせてすまない」
「ミスカさん!お疲れ様です」

 仕事が終わったミスカさんは駆け寄って頭を撫でてくれる。

「明日から…リュークたち大丈夫そうですか?」
「ああ、あいつらは強いから。そんなに心配するな」

 二番隊が遠征に行くというのでミスカさんも確認していたそう。

「一週間程で戻ってくる予定だ。後でリュークが泣きついてくるだろうから相手してやってくれ」
「ふふ、分かりました」

 二人で手を繋ぎ裏庭に向かう前に、遠くからこちらを見るリュークに手を振ると凄く大きく振り返してくれた。


「もうすぐで咲きそうだな」
「はい!ミスカさんに教えて貰った肥料のお陰でどれも大きく育ってくれて」

 ミスカさんは楽しそうに花を愛でる。私は彼から貰って愛用しているものを持ってきた。

「このジョウロとっても使いやすいです!広い範囲に水がかけれて」
「ジョウロも色々種類があるからな。気に入ってくれたのなら良かった」

 でもとっても気に入ってるからこそ…。

「錆び付いたりしないか心配で…毎日乾かしてはいるんですけど…」
「材質だから錆るのはどうしようも無い」

 やっぱりそうだよね…。

「しかし、その錆びた見た目が年季を感じさせて良いと言う人もいる」
「!」
「俺はサキがそれを長く使ってくれたら嬉しい」
「ミスカさん…」

 このジョウロが錆びた分だけミスカさんと年を重ねたってことだよね。

「大事にずっと使います!」
「ありがとう」

 何年先でもミスカさんとこうしてお花を眺められる…素敵だなぁ。
 ジョウロは置いてミスカさんに抱きつくと、抱っこして目線を合わせてくれた。

「ミスカさんに抱えて貰うの好きです」
「そうか」
「顔が近くて…キス出来るから」

 ゆっくりと唇を重ねる。
 身長差がありすぎてキスしようと彼が屈むと中腰のだいぶ大変な体勢になってしまうので、私が上に上がったほうが楽なのだ。

「あと、ミスカさんを独占出来るから」
「?」
「私だけの為に両手を使ってくれる…ので」

 何だか分かりにくいことを言ってしまって恥ずかしくなる。しかし彼には伝わったようで面白そうに笑った。

「片手でも持てるぞ」
「…両手でお願いします」

 要望通り両手で抱きしめるようにしてくれて満足しながら彼との時間を過ごした。


「ミスカ!夜は俺がサキと一緒に居るんだから!」
「分かったから大声を出すな」

 夕食の後、私はリュークにさっさと部屋へ連れて行かれる。

「ミスカさんおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」

 やっぱり泣きついてきたリュークは私にピッタリくっついて離れようとしなかった。

「サキぃ…離れちゃ嫌だよぉ…」
「どちらかというと離れるのはリュークでは…?」

 二人でベッドに寝転がり、私の胸に顔を埋めるリュークの長い髪を弄る。

「サキって胸大きいよね」
「なっ…なに?急に…。そうかな…」

 平均よりは大きいけれど、あのふわふわには及ばない。

「大きいほうが好きなの?」
「他と比較している訳では無くサキの全身から考えて比率的に大きいという意味で結果好きなのはサキの胸だよ」
「…ありがとう」

 長くて聞き取れなかったけど多分良い感じのことを言われたのだと思う。
 昨日ベッドに置いてそのままだったクマちゃんに気づき、手に取りその可愛い顔をリュークに見せる。

「ねぇ、このクマちゃんの性別どっちだと思う?」

 私的にはリュークに似てるから男の子だと思っている。

「絶対女の子」

 即答された。

「なんで?」
「男がずっとサキの部屋に居て抱きしめて貰ってるなんて許せない」
「えぇ…ぬいぐるみだよ?」
「駄目」

 嫉妬する対象が広すぎない?
 リュークはクマちゃんを棚の上に戻してきて私にキスをする。

「ん…まって…」
「待てない、会えない分いっぱいしないと」
「そうじゃな……っあ」

 リュークは私の制止の声も聞かずえっちを始めてしまった。

「はぁ、や…」
「サキ可愛い…ここ気持ちいいよね、もっと…」
「っ…いやなの…!」
「えっ 」

 ピタリと動きが止まる。

「い、いや…?痛かった?ごめんね…サキ…」
「くまちゃんにみられてるのいや…」
「…クマちゃん?」

 棚からこちらをじっと見つめるクマちゃんの虚無な視線に耐えられなかった。

「いつもえっちするとき反対にしてるのに…」
「あ、そゆこと。ごめんてば…」

 納得したリュークだが動こうとしない。

「抜きたくないから直しに行けない」
「やだ、なおして」
「じゃあサキも一緒に行こ」
「へ?」

 彼は入れたまま私の体を抱き立ち上がった。

「きゃっ!」

 私は慌てて脚を彼の腰に絡めしがみつく。

「動くね」
「やっ、こわ……っあ!」

 支えられてはいるけれど自分の体重で下がってしまい奥にグリグリと先端が当てられる。歩く度その振動で突かれるからもっと堪らなくて、頭の中がパチパチと弾けてしまいそうだった。

「これっ、だめっ!は、ん…っ!」
「ほら、クマちゃん直したよ」
「あ…おろしてぇ…」

 そう言う私の様子を見てリュークは逆に目を輝かせ笑顔になる。

「蕩けちゃうサキ可愛い…!このまま掴まっててね」
「あっ!ふかいの…っ、むりぃ!」

 立ったまま、抱えられたまま突かれ続け、彼の首に手をかけながら喘ぐので精一杯だった。

「ね、下向かないで?俺の目見て」
「は…ぁ、りゅーく…っ」
「サキ…」

 最後はグッと腰を押し付けられキスをしながら果てた。
 リュークの気が済むまで夜は続き、私は翌朝クマちゃんと目を合わせるのが気まずかった。
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