美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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想い出を振り返る誕生日

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 誕生日なのでせっかくならデートだけでなくて何かプレゼントもしたい。

「ヴェルくんは何か欲しいもの無い?」

 そう聞くと、彼は少し照れながら私の髪を留めている飾りに触れる。

「その……この髪飾りの代わりでは無いんですけど、身につけられる物が欲しくて」
「そうだね!似たようなデザインが良いかな?」
「はい……!一緒に付けても合うものがあれば嬉しいです!」

 私と見て決めたいと思っていてくれたみたいで、早速アクセサリーを見に行くことにした。

「また髪も伸ばすの?」
「ええ、今度は……長くしてみようかなと」

 長髪のヴェルくん……!?そんなの美しすぎる……!

「凄く楽しみ!アレクさんくらい伸ばす?」
「それも良いですね、リュークさんみたいに結べたらとは思っていましたけど」

 下で緩く結んでも上で高くポニーテールにしても似合う……想像ですでに似合ってる……。

「今までは伸ばさなかったの?そのほうが楽だったんじゃない?」

 無理に自分で切る必要は無かったのかなって考えちゃうけど。

「……この白い髪が伸びてくるのが嫌だったんです。少しでも短くしたくて」
「そっか……」
「でもサキさんが僕の髪を綺麗だと言ってくれたから。短くしたり長くしたり、もっと楽しめたらこの髪の意味も増えていくんじゃないかと」

 白髪はヴェルくんの個性だから、それを受け入れて楽しみたいと前向きに思ってくれている。

「ヴェルくん……ありがとう……」
「どうして……サキさんがお礼を言うんですか?」
「今まで私がヴェルくんに思っていた事が、ちゃんと伝わってたんだなって……」

 思わず涙ぐんでしまった私の頬を彼の手が撫でる。

「……全部伝わっています。最初は信じられない気持ちもありましたけど、常に誠実で真っ直ぐ僕を見てくれる貴女のかけてくれる言葉が僕の全てを救ってくれました」
「救った……?」
「はい。僕の見た目も過去も今も認めてくれて。だから僕はあの日告白したんです」

「みっともなく失敗してしまいましたけど」と、ヴェルくんは恥ずかしそうに笑った。

「ううん……本当にありがとう。ヴェルくんが告白してくれなかったら……私、ずっと好きって気持ちに気づかないで自分から逃げてたと思う」

 未来のことを考えずにただ黒騎士団という場所に甘えて過ごしていたら、きっといつか後悔していた。
 どうして帰りたくないのか、何が一番大切なのか、それに向き合うきっかけをくれたのはヴェルくんが勇気を出したその行動だ。

「……ちょっとしんみりしちゃったね!ごめんね」
「いえ、こうして貴女との思い出を振り返ると…色々な事があったなと、そのどれもが色づいているのだと気づけます」
「うん……!来年のお誕生日までにまたいっぱい思い出作ろう!」

 その後もこれまであった事、その時の想いを伝え合い、それが何よりも幸せな時間だった。
 話に花が咲きすぎてうっかり店を通り過ぎてしまいそうになったが、十歩進んだところでなんとか戻った。
 こういうお店に入るのが初めてなのかヴェルくんは興味深そうに周りを見る。

「これはどういう物なんでしょうか」

 ヴェルくんが見つけたのは小さな宝石のようなデザインのピアス。

「ピアスって言って耳に穴を開けて通してつけるんだよ」
「耳に穴を……ラグトさんが付けている物とは違うんですね」
「うん、あれは穴を開けなくてもいい物だから。でもこういうデザインはピアスじゃないと無いから憧れはあるんだよね……」

「私は怖いから開けられない」と言うとヴェルくんは少し考えてから私に聞く。

「……僕に似合いますかね」
「えっ!?ヴェルくんピアスつけたいの!?」
「ラグトさんが羨ましかったので……同じものは嫌ですし」
「そ、そっか……ヴェルくんが大丈夫なら、そうしようか……」

 意外とこういうことなら怖いもの知らずなんだなぁ。

「これはどうかな。髪飾りと同じ色だし」
「はい!ぴったりです!……これは、両耳付けるんですよね?」
「片方だけでも良いと思うよ。左右違う物にしても良いし」

 どうやら気になっている物があるようだ。

「この色が指輪と似ているので……」
「確かに……!どっちにも合うね!」

 二人で話し合い、小さく控えめなエメラルド色と白色のピアスを買うことにした。

「この店で穴も開けてもらえるそうです」

 私には読めない張り紙に書いてあるみたいだ。

「すみません、彼にピアスの穴を開けてもらいたくて」
「え、あーえっと……」

 これは……駄目な感じかな……。
 ヴェルくんが困ったように笑う。

「サキさん、やっぱり他の物に……」
「俺手伝いだから出来ないんすよ。ちょっと店長呼んできますね」
「えっ、あ、お願いします!」

 店長さんが来て快く了解してくれた。

「良かったね!」
「はい……!」

 椅子に座ったヴェルくんの傍で針が用意される。

「ヴェルくん手握って……」
「大丈夫ですよ。これくらい怖くない……」
「私が怖いの!」

 穴を開けるところを見るというだけでガクブルしてしまう私に、ヴェルくんは吹き出した。

「ふ、ふふ……無理に見なくてもいいんじゃないですか?」
「ヴェルくんの初めてはちゃんと見ておかないと……」
「本当に……可愛い人ですね……。じゃあ、あまり動かさないようにしてくださいね」
「う、うん!」

 ぎゅぅっと手に力を込めながらヴェルくんの耳をガン見して、なんとか両方を終えた。

「痛くない?腫れてない?」
「今のところは大丈夫ですよ」

 心配しながらも両耳に付けたピアスに引き立てられた彼に見惚れる。
 ヴェルくんは美人だからキラキラした装飾が似合うよね。

「金貨二枚っす」
「はい」
「……え、お姉さんが払うんすか」
「彼へのプレゼントなので」

 店員さんは驚いて口を開けながらもコクコクと頷いていた。

「サキさん、ありがとうございます」
「どういたしまして!……やっぱり凄くカッコいいなぁ……」
「……何だかラグトさんがお洒落をする理由が分かった気がします」
「ヴェルくんも今度お洋服買う?」
「そうですね。サキさんと出かける時は隣に居るのに相応しい格好をしないと」

 随分真面目な理由で、嬉しいけれど少し笑ってしまった。
 お店を出た頃には日が沈みかけて夜が近づいていた。

「そろそろ宿に行きましょうか」
「そうだね」
「「……」」

 お互い繋いだ手を一度離し、再び強く繋ぎ直した。
 少し歩いた町外れにある中々しっかりとした宿。こういうところを適当にしないのがハインツさんだよね。
 私たちが泊まるのは一番上の奥の部屋。

「お疲れ様です!」
「お疲れ様です」
「おー、ヴェルストリア、だいぶキツイから明日頑張れよ……」
「了解です……」

 すれ違う団員に挨拶しながら部屋に向かい、誰も居なくなると少し足早になっていった。
 何も言わずに鍵を開け、ヴェルくんは私の手を引き部屋に入る。
 扉を閉めた途端、激しくキスをされた。

「っん…<」

 扉に押さえつけられるように唇を奪われ、彼は急くように私のスカートとショーツを下ろす。

「ヴェル…く……」
「もう我慢出来ません」
「あっ……っは、ん」

 期待で濡れていたアソコを角張った指がなぞり中を弄り始める。

「今日ずっと貴女を求めていた」

 私の片脚を持ち上げるとズボンから取り出したそれを股の間にグッと入れた。

「あぁっ!」
「はぁ……サキさん……」

 いつものような余裕は無く激しく私を求めるその姿に引き寄せられて、私も彼の首に手を回しキスをする。

「んっ、あっ!んん」
「可愛い…」

 扉の前でこんなにしているというのに、それを考えることも出来ないくらい幸せで気持ちよかった。

「抱くどころかキスも出来ないなんて……。あんなに可愛い笑顔を見せて、時々熱い視線も送ってきて…耐えるのに必死だったんですよ」
「はぁ……あんっ、だってぇ……したかった…っから…」
「っ……ほんとうに……」
「イ…っちゃ……っあ!」

 ようやく与えられた快感に耐えきれずヴェルくんと共に果てる。中から抜かれると出されたものが一筋垂れて床に落ちたショーツに付いた。
 勿論これで終わる訳もなく、ベッドに行けば服は全部脱ぎ捨てられ二人とも生まれたままの姿で抱きしめ合う。
 座った彼の上で下から打ち付けられていた。

「ヴェル…くんっ、あっ……!」
「気持ちいいですね」
「きもちい……っ」

 キスをし唾液が混じり合う。時々舌を甘噛みされるその刺激と絡め合う柔らかさで緩急をつけられ、キスだけで意識が飛んでしまいそうだった。

「んん…はぁ……っあぁ!」

 唇が離れるとベッドに押し倒され抽挿が速くなる。

「はや…いのっ……!」
「もっとですよ」
「あ、っ!もっと……してっ」

 お互いが相手を求め続ける。私がもっととせがむ度その勢いは増していった

「ん、ぁ…っあ、も……っ!」
「……っ、はぁ……」

 二人で体を震わせ息を荒らげる。

「体洗いましょうか」
「うん……」

 私を抱えヴェルくんはシャワールームへ向かった。
 
「ふぅ……んっ、ぁ」

 泡にまみれた裸で抱きしめ合い、キスをしながら彼の手は私の体を撫でる。

「後ろ向いてください」
「ん……」

 壁に手を付けば腰を掴まれ後ろから挿入される。

「あっ、あっ…んっ」
「泡流しますね」

 ヴェルくんはリズム良く中を突きながら器用にシャワーのお湯を体にかける。
 繋がったところから全身に熱が広がったせいか、肌に当たるお湯が少しぬるいような気がした。

「は…っ!あんっ!」

 動きはどんどん強くなって、打ち付ける時の流れるお湯なのか愛液なのか分からない水音をぼんやり聞きながら喘ぎ声を狭い空間に響かせていた。

「あぁ!ん、いく…」
「僕も……っ」

 中を痙攣させ、出されるのも感じる。

「はぁ…っ…ん…」
「…サキさん」
「ヴェルくん…」

 名前を呼び合い幸福感に満たされながらもキスを止めることは出来なかった。

 ベッドに入って一気に体力の限界を感じる。
 ヴェルくんとはいつも一回だけだから変な感じ…。いや、駄目とかでは無くて……ハインツさんとかいつも最低三回だし。

「無理させてしまってすみません」
「ううん…ヴェルくんこそ明日仕事なのに、疲れてない?」
「僕は全然平気です」

 普段通りの爽やかな笑顔…むしろ何だかスッキリしてそうな…。

「いつもはその…我慢させてたり…」
「そういう訳ではありませんので気にしないでください。今日は入れたい気分だっただけです」

 ん?じゃあいつもは何の気分なの…?

「朝はまた早いですから、もう寝ましょう。サキさんも合わせて貰って申し訳無いですが」
「ちゃんとお見送りしたいもの。もし起きてなかったら起こしてね」
「ふふ、分かりました」

 隣に横になるヴェルくんの頭をそっと撫でる。

「お誕生日おめでとう、ヴェルくん」
「ありがとうございます…こんなに幸せで良いのかと疑ってしまうくらいです」
「良いんだよ!私は毎日ヴェルくんに幸せを貰ってるんだから、お返ししたかったの」
「僕が貴女を幸せに出来ているのなら、それが僕の生まれた意味ですね」

 今日、いっぱい楽しめて、いっぱい想いを伝えあえて良かった。
 二人で手を繋ぎぐっすり眠って、早朝。
 お仕事に向かうヴェルくんと一緒に宿を出た。

「いってらっしゃい」
「いってきます」

 薄暗い中、手を振る彼の白い髪とエメラルド色のピアスが輝いていた。

「俺たちも出ましょうか」
「はい!お願いします」

 馬車に揺られながら一人で楽しかったデートを思い返し笑顔になる。
 また私は黒騎士団寮で彼の帰りを待つのだった。
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