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ラグトの誕生日
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「今日はずっと一緒だね…」
「はい…」
ラグトさんと手を取り見つめ合う…
「おい、ラグトちょっと来い」
「えっ」
「サキちゃんー!遅くなってごめん!」
「ラグトさん、お疲れ様です」
「はぁ…浮かれて誤字ってた…」
ラグトさんの誕生日。
朝から一緒に居る予定だったがミスカさんから書類の修正を求められ引っ張られていった。
「先輩が早く終われるようにしてくれてさ…。「邪魔が入った時の気持ちは分かる」って言ってたけど、先輩も何かあったのかな」
「それは多分…」
ミスカさん、誕生日の時のことちょっと気にしてたんだな…。
「材料は先に用意しておきましたよ!」
「ありがとう!早速作ろ!」
ラグトさんの希望により一緒にパンケーキを作ることになった。
「最初会った時のパンケーキを思い出すなぁ」
「はい!懐かしいですね」
何気なく作ったパンケーキがこんな思い出深いものになるなんてね。
「そのウィーンってするやつ俺もやりたい」
「ハンドミキサーですか?良いですよ」
やり方を説明してやってみて貰うと…
「ラグトさん上手ですね…!」
「角度が分かれば難しくは無いかな」
ヴェルくんが拗ねそうだから言わないでおこう…。
あの時のものを再現したパンケーキが完成し、隣に並んで座り早速頂く。
「ふわふわですね!」
「うん、美味しい!でもちょっと焦げちゃってごめん…」
「このくらいなら全然気にならないですよ」
こんがりしたパンケーキも良いかもしれない。
「誕生日にケーキっていうのは決まってるの?団長からちょっと聞いたけど」
そういえば誕生日ケーキの話ハインツさんにしたなぁ。だからヴェルくんも用意してくれたんだね。
「全然決まっている訳では無いんですけど定番なので。普段より豪華な特別感が味わえるのがケーキ…だからなのかもしれません」
個人によるから、好きなものを食べて幸せになれれば良い誕生日になるよね。
「サキちゃんのパンケーキ大好きだから特別な日に食べれて嬉しいな」
「私も一緒に食べれて嬉しいです。でも今日は二人の、ですよ」
「はは、そうだったね!」
ラグトさんはチラッと私の顔を覗き込んだ。
「今日はサキちゃんに食べさせても良い?」
「!…い…良いですよ…」
私のフォークを取ったラグトさんが小さめに切ったものを私の口元に差し出す。
「あーん」
「…ん……何だかくすぐったいです」
「ソワソワする感じ?」
「うん…」
口に運ばれ咀嚼する様子を楽しそうに眺められ、やっぱり落ち着かない。
「ごめん、生クリーム付いちゃった」
「っ…」
唇の端に付いたクリームを親指でそっと拭う。
あの時と同じなのにラグトさんは笑って余裕そう。
「……ラグトさん最近照れてくれないですね」
「えっ、そりゃあ…まあ…俺も男として成長したってことかな!」
「むぅ…」
ラグトさんはふふんと誇らしげにしている。
男らしい彼もカッコよくて好きだけど照れる姿を見ていたいのだ。
「はい、フルーツも」
「ん…」
「俺が切ったやつ!」
「…美味しいです」
もう…こういうところを可愛いって思っちゃうから弱いんだよなぁ…。
私に食べさせながらラグトさんも綺麗に食べ切り、満たされたお腹を撫でる。
「そういえば「お願い」今日教えてくれるって言ってましたよね!」
先日事前調査に伺った際、「当日に言うね」とはぐらかされてしまった。
「いや…それはまた後で…」
「えー」
いつでもやる気満々なのに…。
「そろそろ俺の部屋行こっか!服選んでくれるんでしょ?」
「はい!行きましょう!」
「お願い」はサラッと流され、連れ立って彼の部屋に向かう。ラグトさんは言っていた通り私の傍に居る時は寮内でもお洒落してくれるそうだ。
これに関しては私へのご褒美なのだが彼も楽しそうなので許して欲しい。
「この前のズボンと…今日はこれが良いです!」
「じゃあ着替え……見る?」
「み、見ません!私も着替えて来ますから」
彼の下着を見る前に慌てて部屋を出る。
そんな意図して見るものじゃないし!
走って自分の部屋へ行き着替えた後、また合流した。
「カッコいいです…!」
「ありがと!なんか服変えるだけで気分も上がるね」
「ふふ、今日はお家デートなので!」
「お家デート…それいいね!」
私も控えめだがワンピースを着て彼女っぽく…つ、妻ですけど…。
「顔赤いけどどうしたの?」
「…ラグトさんの妻なんだって思ったら改めて照れてしまいました」
「つ、妻…!そうだね…まだ慣れないっていうか…サキちゃんが恋人だった時も信じられないくらいだったし」
二人で照れ照れしながら廊下を歩いていると通りすがる団員たちから声をかけられる。
「あれ、今日はどっか行くの?」
「行かないよー、お家デートしてるんだ」
「世の中にはそんなものがあるのか…ただ見せつけられてるだけじゃん。殴りたい」
リュークの言葉はあながち嘘では無かった…!
「サキさんに免じて許してやろう」
「あざす!」
手を合わせるラグトさんに私も続き事なきを得た。
「リュークに言われてたのについ気が抜けちゃって…すみません」
「皆も慣れてきてくれたから大丈夫だよ。でも…俺がもしサキちゃんと付き合えてなくて向こう側に居たら耐えられなかったかもしれないなぁ」
それを想像したのか、苦い顔をする彼に躊躇いながらも聞いてみる。
「ラグトさんは…出会った日に好きになってくれたんですか?」
「うん、めっちゃ軽薄だよね…」
「そんなことは無いと思いますけど…」
そういうことがどうしても気になっちゃう私の方が下世話で申し訳ない。
「最初は怖かったんだ。慣れてても冷たい反応をされるのはやっぱり辛いから。サキちゃんがここに居るのは少しの間だと思ってたし関わらなければ良いかなって」
「…そうですよね」
女性に対して不信感があるのにそれでも拒まず、あの時明るく迎えてくれたんだ。
「でもサキちゃんは全くそんなこと無くて、俺と話している時にもずっと笑っていてくれた。それが凄く凄く嬉しかった」
ラグトさんは隣を歩く私の頭を優しく撫でる。
「私も、ラグトさんが楽しそうに笑って話してくれるのが嬉しくて…それでいっぱい笑顔になったんです」
「同じこと思ってたんだね」
「本当ですね、お互いを笑顔にして笑顔になって…」
そんな関係が大切で愛おしかったから、どうしても離れたくないって、傍に居たいって思ったんだ。
「ラグトさん、私のこと好きになってくれてありがとうございます!」
「こちらこそありがとう!」
彼の腕にギュッと抱きついて、ゆったりと過ごすお家デートを楽しんだ。
「ラグトさんまだ脱がないで…」
「えー、でももう早くしたいよ」
「あと二十秒だけ…」
ラグトさんを引き留めて二十秒でその姿を堪能した。
「意外と二十秒って長いんだね…」
「あっという間でした…」
相反する意見を述べながら順番にシャワーを浴びる。
「ラグトさん!」
「あ、それ買ったやつ?」
「はい!欲しかったパジャマ!」
ベッドに座る彼に、ようやく届いた夜用のワンピースを自慢げにお披露目する。
「着心地良い感じ?」
「良い感じです!こっちの方が安心するので」
腕を広げてくれたラグトさんに駆け寄り抱きしめる。
「でもどうせ脱がせちゃうのに」
「…どうしても見せたかったんです」
「はは、すっごく可愛い。似合ってるよ」
まるで自分の事のように嬉しそうに笑って、彼は優しいキスをする。
ベッドに上り、せっかくだけれどパジャマのボタンは外された。首や胸元に口付けられると体が少し熱を持ち始める。
「ん……あぁ」
下着も無くなれば下に伸びた手が中を弄る。膝立ちさせられるとちょうど彼の顔に胸がきて、その先端も口に含まれた。
「っあん…!」
「ん…」
背中を手で押され胸を顔に押し付けてしまうと逃げ場が無くて、舐められる度に全身を震わせる。
同時に与えられる快感で中がいっぱい濡れて解れるとようやく離された。胸がジンジンと熱い。
小さいキスの後、ラグトさんは気まずそうに切り出す。
「ねぇサキちゃん、その…言ってたお願いなんだけど…」
「はい…!」
ラグトさんのお願い…!
「この前みたいに上に乗って欲しい…」
「…えっ」
上に…乗る…。
「本当にあれ嬉しかったんですか!?」
「そう言ったじゃん!あの時のサキちゃんめちゃくちゃエロくて可愛かったんだから…」
自分じゃ分からないというかあんまり覚えていない。
「えっちなの…好きですか?」
「好き…だけど、違うから!えっちなサキちゃんが好きなんであって決してエロければ何でも良いという訳では無いから!」
「わ、分かりました…」
そんなに熱弁されると余計恥ずかしい…。
「頑張ります…ね」
「ありがとう…!」
期待の目で見られ高くなったハードルを感じながら横になった彼の上に跨る。
これ恥ずかしい…意識すると駄目だ…。
羞恥心を頭の隅に押しやって、アソコに入れようとするけどなんだか上手くいかない。
「あれ…どこ…?」
「…かわ…い…」
口を噤んで何かを噛み締めるラグトさんに救いを求める。
「ラグトさん…入らない…」
「っ……うん、ちょっと待ってね」
結局やってもらってしまった。
ここからは頑張らなければ…!
「んっ…」
手をベッドにつき腰を上げるがなかなか大変で、とてもゆっくりになってしまう。
「はぁ…ん…」
あ…深いとこ入るの好き…。
ピッタリ合わせた状態で腰を揺らすのが気持ち良くて、つい無意識に動かす。
「ヤバ…」
「あぁ…っ、は…」
しかし自分から気持ちいいところ当てていたせいで段々体から力が抜けてしまっていき…
「ラグトさんごめんなさい…」
「?」
「…腰、立たなくなっちゃった…」
正直に言うと彼はブワッと顔を真っ赤にして手で顔を覆った。
「かっ…わいぃ……」
「う、動けないから抜けないです…どうしましょう…」
「いや、かわいすぎ…」
しばらく悶えていたラグトさんは深呼吸をして落ち着いたみたいだった。
「体、前に倒せる?」
「はい…」
支えて貰いながら彼の上に体を乗せると、ラグトさんは私を抱きしめながらそのまま起き上がって座る。
キスをして頭を撫でてくれた。
「頑張ってくれてありがとう」
「…ちゃんと出来なくてごめんなさい」
「ううん、めっちゃ満足。最高。天使」
「…?ありがとうございます…」
ニコニコのラグトさんにとりあえず安心しながら、やっぱり彼に動いて貰い肩に縋り付く。
「はぁ…あっ…」
「体痛くない?」
「だいじょうぶ…」
トントンとゆっくり中を突かれ、先程から緩やかに溜まっていた熱がまた大きくなっていく。
「ラグトさん…きもちい…」
「速く…していい?」
「ん……して…ください」
速くなる動きに息を荒くした私の口は塞がれ、上も下も繋がった状態で快感が高まっていく。
舌を絡めながら角度を変えお互い食べ合うように唇を求める。
「ん…もう出すね」
「…んん……っ、あぁっ!」
奥に熱いものを流し込まれ、彼を抱きしめながら体を震わせた。
長いキスの末にようやく満足した二人は繋がりを解く。
座り込む私にラグトさんは水を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「うん、飲み終わったらそっち置いておこっか」
冷たい水が喉を通り全身の熱も引いていった。空のコップを彼に渡し、先程を思い出す。
なんであの時出来たんだろ…?
以前出来て今日出来なかったのが納得いかない。
ここをこうして…もっと前屈みだったかな…。
真剣に手を動かしてシュミレーションする私にラグトさんは笑う。
「サキちゃんは真面目だね。そんなに気にしなくてもいいのに」
「いえ、次こそはちゃんと…」
「え、またしてくれるの」
……本当だ…すること前提で考えてた…。
途端に恥ずかしくなって布団に潜る。
「意識してなかったの?」
「はい…」
「もう…可愛いなぁ…」
布団がめくられたかと思うとラグトさんが中に入ってきた。
二人とも頭から被った状態で抱き寄せられる。
「誕生日ってやっぱ特別なんだね…」
「…喜んで貰えましたか?」
「うん!俺の希望以上にサキちゃんがえ…可愛くて幸せ!」
彼の明るい笑顔で私も幸せだ。
「それなら良かったです!」
でも、言ってしまえばこれは「プレゼントは私♡」っていうやつだよね。
一回言ってみたいな…ラグトさん照れてくれそう…。
布団の中で彼と戯れていた私は上機嫌で、ついつい出来心でそう思った。
「ラグトさん、お誕生日おめでとうございます」
彼の口元にキスをして見上げる。
「誕生日プレゼントは…わ、た、し」
「えっ」
「貰ってくれますか?」
予想通り真っ赤な顔でポカンとするラグトさんにクスクスと笑う。
「なんて…ごめんなさい。冗談です」
上手くいって満足した私だったが、急に布団が剥がされ戸惑う。体を起こし覆いかぶさってきた彼の表情は見えない。
「あ、あの…怒ってます…?」
「ううん、全然。でも…」
ラグトさんは据わった目で私に熱い視線を送る。
「貰っていいんだよね?」
「え…ええと…」
まさか反撃がくるとは思わず焦る私に彼は顔を近づけてチュッとキスをした。
「くれないの?」
「あげます…」
至近距離での真剣な眼差しにあっさり陥落した私は、本日の主役に身を捧げるのだった。
「はい…」
ラグトさんと手を取り見つめ合う…
「おい、ラグトちょっと来い」
「えっ」
「サキちゃんー!遅くなってごめん!」
「ラグトさん、お疲れ様です」
「はぁ…浮かれて誤字ってた…」
ラグトさんの誕生日。
朝から一緒に居る予定だったがミスカさんから書類の修正を求められ引っ張られていった。
「先輩が早く終われるようにしてくれてさ…。「邪魔が入った時の気持ちは分かる」って言ってたけど、先輩も何かあったのかな」
「それは多分…」
ミスカさん、誕生日の時のことちょっと気にしてたんだな…。
「材料は先に用意しておきましたよ!」
「ありがとう!早速作ろ!」
ラグトさんの希望により一緒にパンケーキを作ることになった。
「最初会った時のパンケーキを思い出すなぁ」
「はい!懐かしいですね」
何気なく作ったパンケーキがこんな思い出深いものになるなんてね。
「そのウィーンってするやつ俺もやりたい」
「ハンドミキサーですか?良いですよ」
やり方を説明してやってみて貰うと…
「ラグトさん上手ですね…!」
「角度が分かれば難しくは無いかな」
ヴェルくんが拗ねそうだから言わないでおこう…。
あの時のものを再現したパンケーキが完成し、隣に並んで座り早速頂く。
「ふわふわですね!」
「うん、美味しい!でもちょっと焦げちゃってごめん…」
「このくらいなら全然気にならないですよ」
こんがりしたパンケーキも良いかもしれない。
「誕生日にケーキっていうのは決まってるの?団長からちょっと聞いたけど」
そういえば誕生日ケーキの話ハインツさんにしたなぁ。だからヴェルくんも用意してくれたんだね。
「全然決まっている訳では無いんですけど定番なので。普段より豪華な特別感が味わえるのがケーキ…だからなのかもしれません」
個人によるから、好きなものを食べて幸せになれれば良い誕生日になるよね。
「サキちゃんのパンケーキ大好きだから特別な日に食べれて嬉しいな」
「私も一緒に食べれて嬉しいです。でも今日は二人の、ですよ」
「はは、そうだったね!」
ラグトさんはチラッと私の顔を覗き込んだ。
「今日はサキちゃんに食べさせても良い?」
「!…い…良いですよ…」
私のフォークを取ったラグトさんが小さめに切ったものを私の口元に差し出す。
「あーん」
「…ん……何だかくすぐったいです」
「ソワソワする感じ?」
「うん…」
口に運ばれ咀嚼する様子を楽しそうに眺められ、やっぱり落ち着かない。
「ごめん、生クリーム付いちゃった」
「っ…」
唇の端に付いたクリームを親指でそっと拭う。
あの時と同じなのにラグトさんは笑って余裕そう。
「……ラグトさん最近照れてくれないですね」
「えっ、そりゃあ…まあ…俺も男として成長したってことかな!」
「むぅ…」
ラグトさんはふふんと誇らしげにしている。
男らしい彼もカッコよくて好きだけど照れる姿を見ていたいのだ。
「はい、フルーツも」
「ん…」
「俺が切ったやつ!」
「…美味しいです」
もう…こういうところを可愛いって思っちゃうから弱いんだよなぁ…。
私に食べさせながらラグトさんも綺麗に食べ切り、満たされたお腹を撫でる。
「そういえば「お願い」今日教えてくれるって言ってましたよね!」
先日事前調査に伺った際、「当日に言うね」とはぐらかされてしまった。
「いや…それはまた後で…」
「えー」
いつでもやる気満々なのに…。
「そろそろ俺の部屋行こっか!服選んでくれるんでしょ?」
「はい!行きましょう!」
「お願い」はサラッと流され、連れ立って彼の部屋に向かう。ラグトさんは言っていた通り私の傍に居る時は寮内でもお洒落してくれるそうだ。
これに関しては私へのご褒美なのだが彼も楽しそうなので許して欲しい。
「この前のズボンと…今日はこれが良いです!」
「じゃあ着替え……見る?」
「み、見ません!私も着替えて来ますから」
彼の下着を見る前に慌てて部屋を出る。
そんな意図して見るものじゃないし!
走って自分の部屋へ行き着替えた後、また合流した。
「カッコいいです…!」
「ありがと!なんか服変えるだけで気分も上がるね」
「ふふ、今日はお家デートなので!」
「お家デート…それいいね!」
私も控えめだがワンピースを着て彼女っぽく…つ、妻ですけど…。
「顔赤いけどどうしたの?」
「…ラグトさんの妻なんだって思ったら改めて照れてしまいました」
「つ、妻…!そうだね…まだ慣れないっていうか…サキちゃんが恋人だった時も信じられないくらいだったし」
二人で照れ照れしながら廊下を歩いていると通りすがる団員たちから声をかけられる。
「あれ、今日はどっか行くの?」
「行かないよー、お家デートしてるんだ」
「世の中にはそんなものがあるのか…ただ見せつけられてるだけじゃん。殴りたい」
リュークの言葉はあながち嘘では無かった…!
「サキさんに免じて許してやろう」
「あざす!」
手を合わせるラグトさんに私も続き事なきを得た。
「リュークに言われてたのについ気が抜けちゃって…すみません」
「皆も慣れてきてくれたから大丈夫だよ。でも…俺がもしサキちゃんと付き合えてなくて向こう側に居たら耐えられなかったかもしれないなぁ」
それを想像したのか、苦い顔をする彼に躊躇いながらも聞いてみる。
「ラグトさんは…出会った日に好きになってくれたんですか?」
「うん、めっちゃ軽薄だよね…」
「そんなことは無いと思いますけど…」
そういうことがどうしても気になっちゃう私の方が下世話で申し訳ない。
「最初は怖かったんだ。慣れてても冷たい反応をされるのはやっぱり辛いから。サキちゃんがここに居るのは少しの間だと思ってたし関わらなければ良いかなって」
「…そうですよね」
女性に対して不信感があるのにそれでも拒まず、あの時明るく迎えてくれたんだ。
「でもサキちゃんは全くそんなこと無くて、俺と話している時にもずっと笑っていてくれた。それが凄く凄く嬉しかった」
ラグトさんは隣を歩く私の頭を優しく撫でる。
「私も、ラグトさんが楽しそうに笑って話してくれるのが嬉しくて…それでいっぱい笑顔になったんです」
「同じこと思ってたんだね」
「本当ですね、お互いを笑顔にして笑顔になって…」
そんな関係が大切で愛おしかったから、どうしても離れたくないって、傍に居たいって思ったんだ。
「ラグトさん、私のこと好きになってくれてありがとうございます!」
「こちらこそありがとう!」
彼の腕にギュッと抱きついて、ゆったりと過ごすお家デートを楽しんだ。
「ラグトさんまだ脱がないで…」
「えー、でももう早くしたいよ」
「あと二十秒だけ…」
ラグトさんを引き留めて二十秒でその姿を堪能した。
「意外と二十秒って長いんだね…」
「あっという間でした…」
相反する意見を述べながら順番にシャワーを浴びる。
「ラグトさん!」
「あ、それ買ったやつ?」
「はい!欲しかったパジャマ!」
ベッドに座る彼に、ようやく届いた夜用のワンピースを自慢げにお披露目する。
「着心地良い感じ?」
「良い感じです!こっちの方が安心するので」
腕を広げてくれたラグトさんに駆け寄り抱きしめる。
「でもどうせ脱がせちゃうのに」
「…どうしても見せたかったんです」
「はは、すっごく可愛い。似合ってるよ」
まるで自分の事のように嬉しそうに笑って、彼は優しいキスをする。
ベッドに上り、せっかくだけれどパジャマのボタンは外された。首や胸元に口付けられると体が少し熱を持ち始める。
「ん……あぁ」
下着も無くなれば下に伸びた手が中を弄る。膝立ちさせられるとちょうど彼の顔に胸がきて、その先端も口に含まれた。
「っあん…!」
「ん…」
背中を手で押され胸を顔に押し付けてしまうと逃げ場が無くて、舐められる度に全身を震わせる。
同時に与えられる快感で中がいっぱい濡れて解れるとようやく離された。胸がジンジンと熱い。
小さいキスの後、ラグトさんは気まずそうに切り出す。
「ねぇサキちゃん、その…言ってたお願いなんだけど…」
「はい…!」
ラグトさんのお願い…!
「この前みたいに上に乗って欲しい…」
「…えっ」
上に…乗る…。
「本当にあれ嬉しかったんですか!?」
「そう言ったじゃん!あの時のサキちゃんめちゃくちゃエロくて可愛かったんだから…」
自分じゃ分からないというかあんまり覚えていない。
「えっちなの…好きですか?」
「好き…だけど、違うから!えっちなサキちゃんが好きなんであって決してエロければ何でも良いという訳では無いから!」
「わ、分かりました…」
そんなに熱弁されると余計恥ずかしい…。
「頑張ります…ね」
「ありがとう…!」
期待の目で見られ高くなったハードルを感じながら横になった彼の上に跨る。
これ恥ずかしい…意識すると駄目だ…。
羞恥心を頭の隅に押しやって、アソコに入れようとするけどなんだか上手くいかない。
「あれ…どこ…?」
「…かわ…い…」
口を噤んで何かを噛み締めるラグトさんに救いを求める。
「ラグトさん…入らない…」
「っ……うん、ちょっと待ってね」
結局やってもらってしまった。
ここからは頑張らなければ…!
「んっ…」
手をベッドにつき腰を上げるがなかなか大変で、とてもゆっくりになってしまう。
「はぁ…ん…」
あ…深いとこ入るの好き…。
ピッタリ合わせた状態で腰を揺らすのが気持ち良くて、つい無意識に動かす。
「ヤバ…」
「あぁ…っ、は…」
しかし自分から気持ちいいところ当てていたせいで段々体から力が抜けてしまっていき…
「ラグトさんごめんなさい…」
「?」
「…腰、立たなくなっちゃった…」
正直に言うと彼はブワッと顔を真っ赤にして手で顔を覆った。
「かっ…わいぃ……」
「う、動けないから抜けないです…どうしましょう…」
「いや、かわいすぎ…」
しばらく悶えていたラグトさんは深呼吸をして落ち着いたみたいだった。
「体、前に倒せる?」
「はい…」
支えて貰いながら彼の上に体を乗せると、ラグトさんは私を抱きしめながらそのまま起き上がって座る。
キスをして頭を撫でてくれた。
「頑張ってくれてありがとう」
「…ちゃんと出来なくてごめんなさい」
「ううん、めっちゃ満足。最高。天使」
「…?ありがとうございます…」
ニコニコのラグトさんにとりあえず安心しながら、やっぱり彼に動いて貰い肩に縋り付く。
「はぁ…あっ…」
「体痛くない?」
「だいじょうぶ…」
トントンとゆっくり中を突かれ、先程から緩やかに溜まっていた熱がまた大きくなっていく。
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「速く…していい?」
「ん……して…ください」
速くなる動きに息を荒くした私の口は塞がれ、上も下も繋がった状態で快感が高まっていく。
舌を絡めながら角度を変えお互い食べ合うように唇を求める。
「ん…もう出すね」
「…んん……っ、あぁっ!」
奥に熱いものを流し込まれ、彼を抱きしめながら体を震わせた。
長いキスの末にようやく満足した二人は繋がりを解く。
座り込む私にラグトさんは水を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「うん、飲み終わったらそっち置いておこっか」
冷たい水が喉を通り全身の熱も引いていった。空のコップを彼に渡し、先程を思い出す。
なんであの時出来たんだろ…?
以前出来て今日出来なかったのが納得いかない。
ここをこうして…もっと前屈みだったかな…。
真剣に手を動かしてシュミレーションする私にラグトさんは笑う。
「サキちゃんは真面目だね。そんなに気にしなくてもいいのに」
「いえ、次こそはちゃんと…」
「え、またしてくれるの」
……本当だ…すること前提で考えてた…。
途端に恥ずかしくなって布団に潜る。
「意識してなかったの?」
「はい…」
「もう…可愛いなぁ…」
布団がめくられたかと思うとラグトさんが中に入ってきた。
二人とも頭から被った状態で抱き寄せられる。
「誕生日ってやっぱ特別なんだね…」
「…喜んで貰えましたか?」
「うん!俺の希望以上にサキちゃんがえ…可愛くて幸せ!」
彼の明るい笑顔で私も幸せだ。
「それなら良かったです!」
でも、言ってしまえばこれは「プレゼントは私♡」っていうやつだよね。
一回言ってみたいな…ラグトさん照れてくれそう…。
布団の中で彼と戯れていた私は上機嫌で、ついつい出来心でそう思った。
「ラグトさん、お誕生日おめでとうございます」
彼の口元にキスをして見上げる。
「誕生日プレゼントは…わ、た、し」
「えっ」
「貰ってくれますか?」
予想通り真っ赤な顔でポカンとするラグトさんにクスクスと笑う。
「なんて…ごめんなさい。冗談です」
上手くいって満足した私だったが、急に布団が剥がされ戸惑う。体を起こし覆いかぶさってきた彼の表情は見えない。
「あ、あの…怒ってます…?」
「ううん、全然。でも…」
ラグトさんは据わった目で私に熱い視線を送る。
「貰っていいんだよね?」
「え…ええと…」
まさか反撃がくるとは思わず焦る私に彼は顔を近づけてチュッとキスをした。
「くれないの?」
「あげます…」
至近距離での真剣な眼差しにあっさり陥落した私は、本日の主役に身を捧げるのだった。
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