美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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上手くいかない営み

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 昨夜の記憶がすっぽり抜けるなんて都合のいいことは起きず。

「すみませんでした!」

 目が覚めて早々ラグトさんに頭を下げた。

「いやいや!怒ってもないし嫌がってもないし、むしろ嬉しすぎて飛んでっちゃいそうだもん」
「う、嬉しい…んですか…?」
「うん、めちゃくちゃ」
「…ありがとうございます…?」
「うん、こちらこそありがとう」

 シャワーを浴びた後、支度をしながらため息をつく。

「なんか私…最近えっちになっていってる気がする…」
「え、大歓迎」
「ラグトさん…私変じゃないですかね…」
「……全然!」
「今、だいぶ間があったような…」

 嘘が付けない彼は目を逸らしている。

「変ですよね…そうですよね…」
「ち、違くて!ほら、物が欲しいとかじゃなくて、昨日は俺が欲しいって思ってくれたんでしょ?それも我儘っていうか、皆がして欲しいことなんだよ!」
「我儘…!皆喜んでくれる…!」
「うん!サキちゃんがえっちだと皆幸せだから!」
「語弊がありそうな言い方だけど…分かりました!」

 皆が良いって言ってくれるなら気にしないでいっか!

「昨日買ったパン、皆と食べに行こ!」
「はい!」

 その時はパンに惹かれてすぐに気が変わってしまったのだが、そう上手くはいかず悩むことになる。

 数日後のある日。
 今日は午後からミスカさんと過ごしていて、夜にそういう展開になるのも自然なことだった。

「んん…っ…あ」
「辛くないか」
「大丈夫です…」

 大きいアレは以前よりだいぶ入って動かすことが出来るようになり、私も痛み無く順調…と言うか、むしろ私が気持ちよくなり過ぎている気がする。

「んっ!…っきもち…い」

 やっぱりえっちな体になってしまったからだろうか。恥じらうこと無く快楽を受け入れてしまう。

「あっ、んん!」

 ミスカさんの大きなモノでずりゅっと中を擦られると頭がおかしくなっちゃいそう。

「みすかさぁ…イっちゃう…」
「ああ」
「は……っあ…んん!」

 彼の手を強く握って絶頂する。ミスカさんは優しく頭を撫でてくれた。

「…少しシャワーを浴びてくる」
「…?はい…」

 ふわふわした気持ちよさの中そのまま目を閉じてしまった。

 あれ…ちょっと寝ちゃってた…?
 疲れきって少しの間眠ってしまったようだ。まだ外も暗い。隣の彼は横になっていなくてベッドに座っていた。
 ミスカさん寝てなかったの……何かしてるのかな…。
 ぼんやりしながら近づくと、彼の呼吸が少し荒いことに気づく。
 バッとこちらを向いたミスカさんの手元を見ると…自身のものを握っていた。

「あ、え…っ」

 思わず頭から布団を被った。見てはいけないものを見てしまった感じ。
 あれは…自分で慰めていたということなのか。

「いや、サキこれは…」
「ミスカさん……」

 布団から少し頭だけ出して彼を見る。隠してはいるがそれはまだ大きく反り返っていて。

「気持ちよく…無かったですか…?」
「えっ」
「私だけいつもすぐにその…イッちゃって、何も出来てないから…」
「そ、そうじゃない。ちゃんと気持ち良くなっている」

 焦ったようにそう言うが、実際今日ミスカさんは一度も出していない。

「どうしたらいいですか?」

 私は布団から出て、生まれたままの姿で彼と手を重ねる。

「…サキ」
「頑張って、気持ちよくしますから…」

 ミスカさんの隠していた手を退け、それにそっと触れる。

「…っ!」

 熱くて硬くて、片手だと収まりきらない太さのものが今まで私の中に入っていたのだと思うとどういう仕組みなのか不思議で仕方がない。
 分からないながらもとりあえず全体を両手で包んで上下に擦ってみる。
 先端から何かヌルヌルとしたものが出ていて、それが潤滑油になってスムーズに動かせる。

「サキ、そんなこと…しなくていい」

 ミスカさんは止めようとするが、顔を赤らめて感じている様子の彼を見て私はもっと速く動かしてみる。先端を撫でればピクっと体が反応して。
 それが嬉しくて、もっと喜んで欲しくて、ふと思い出す。
 これ…口に入れたりもするんだよね…?
 曖昧な知識の中にそんなものがあった気がする。
 ちょっと怖いけど…ミスカさんの為に頑張らなきゃ。
 思い切ってその大きな先端を口に含んだ。

「!?」
「んっ、んん」

 大きすぎて全然入らない!
 長さの五分の一にすら届いているか怪しいが、なるべく歯を当てないように舌で先っぽを舐めたりしてみる。
 苦い味が口内に広がりお世辞にも美味しいなどは言えないが、下から覗くミスカさんの顔も体も全てがカッコよくてそんなことは気にならなかった。

「ん…ぷはっ…ぁ」

 流石に苦しくなって口から出すと、ミスカさんに肩を掴まれ離されてしまった。

「っ…はぁ…もういい」
「!」

 息を吐いてそっぽを向いた彼は口をゆすいでくるよう促す。

「あ……」

 余計なこと…しちゃった…。
 小さなため息が聞こえて胸が苦しくなった。
 伸ばしかけた手を力無く下ろす。
 無言になった彼にこれ以上何も言えないまま、私は大人しく口と顔を洗いそっと布団に入ってその夜を過ごした。

 涙で枕を濡らしながら眠り、まだ日が昇るだいぶ前の暗い中で目を覚ました。隣に彼は居なかった。

「どう…しよう…」

 ミスカさんとすれ違うことすら無く午後になった。ずっと謝らなくちゃって思ってはいるけれど、結局出来ないままなのは変わらない。
 私…ミスカさんを気持ちよく出来てなくて…昨日は不慣れなくせに勝手に手を出してしまった。
 えっちなことも私に知識と技術が無ければ喜んで貰えないんじゃないだろうか。

「はぁ……」

 ミスカさんが私のことを愛してくれているのは信じているけど求められることも皆より少ないし…。
 それにその…自分でする時って何かえっちなの見たりするんだよね。
 ミスカさんが他の女性を見て…そんなの耐えられない…。

「サキ…あの…」

 考え込んでいた私にリュークがそっと声をかけてきた。

「ミスカと何かあった?」
「!…ミスカさん言ってたの?」
「そういう訳じゃないよ、何となく」

 幼なじみはやっぱり分かってしまうのだろうか。

「……喧嘩じゃないんだけど、ちょっと」
「そっか…ミスカ言葉足らずだから、ごめんね。でもサキに隠し事はしないと思うよ」
「うん…」

 隠し事では無いよね、ただ自分でしてるだけ…。

「さ、サキ!」
「あ……」

 知らぬ間に涙が少し出てしまっていた。

「そんなに辛いことだったの!?何でも言って!ミスカ蹴っ飛ばしてくるから!」
「ち、違うの…私が…」

 私が上手く出来てないから満足して貰えない…。

「私の問題だから、大丈夫。頭冷やしてくるね」

 笑ってリュークの元を離れる。頭を冷やすと言って、適当に部屋に入ってしまった。
 ここは会議室か…。
 椅子に座って机に突っ伏す。
 どうしようかと悩んでいるだけで、結局答えを探せていない。
 しばらくそうして、やっと立ち上がる。
 いつまでも気にしてたらキリがないよ、しっかりしなきゃ。深く考えたらもっと良くない方向に行っちゃうし。
 外に出ようと思ったのだが、ふと棚の間に不自然に挟まっている物が見える。
 なんだろう…。

「!!」

 こ、これは…えっちな本!
 思わず机の影に隠れる。
 誰かの…だよね…?
 しかし、このタイミングで見つけてしまってどうにも悪い方向へ考えてしまう。
 ページを捲りチラッと見てみると、裸の女性の絵がいっぱい載っていた。
 はわわ…えっちだ…。
 でもなんか…ふっくらした女性が多いよね…。細身の人はどこにも描かれていない。あ、この世界ではこれが普通なのか。

「でも、まさか……」

 ミスカさんもふっくらした人が好みなんじゃ…!?胸も大きいし……柔らかそう。
 身体的な好みについては皆それぞれだと思うししょうがないことだとは分かっているけれど。
 この本を見てまた疑いが強くなってしまった…もう駄目…ミスカさんに顔合わせれない…。
 本は元あった場所にそっと戻し、トボトボ歩きながら会議室を後にした。
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