美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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理想のお家

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「家についても決めようと思っていてね」

 お家の間取りや設備など、それぞれの要望を纏め大工さんと相談するのだそう。

「何か希望はあるか?」

 リュークが手を挙げて質問する。

「団長、ちなみに何階建てなんですか?」
「二階か三階建てで良いかと思っているが。横にも広げることは出来るから、昇り降りが少ないほうがサキも楽だろう」

 確かに、階段は少ないほうが嬉しい。

「一番大事なのはサキの部屋だよね」
「そうだな」
「どのくらいの広さが良いんだろう」
「え、そんなに広くなくて良いよ?」

 リュークとミスカさんにそう伝えると普通に首を横に振られた。

「ベッドが大きいんですから、それが入る大きさにしないと」

 しれっとヴェルくんが言ったのを聞いて、また二人を見る。

「この前の六人ベッドと比べてどれくらい?」
「あれと同じくらいかな」
「そんなに要らないよ!?」

 そんな大きなベッドに一人で寝るの寂しすぎる!

「普通にシングルで良いです!」
「それだとヤリづらいじゃん」
「確かに……え、やる…こと前提…」

 リュークに流されそうになったが、また皆にも流されていく。

「セックスする部屋を作ってもいいが、それだとサキの部屋にベッドは要らなくなるな」
「ハインツさん…それは…」
「どうせするならサキさんの部屋が良いです」
「ねぇ、ヴェルくん…」
「小さいベッドだと三人以上入らないだろう」
「ミスカさ…」
「サキちゃん…大丈夫だよ…」
「ラグトさんん!」

 唯一の理解者であるラグトさんに縋り付く。

「皆が…毎日しようとしてる…複数人当たり前みたいに言う…」
「うん…でも俺もしたいなぁ…」
「したくない訳じゃないですよ…でも限度が…」
「俺は週一でも良いよ?」

 …多いのか少ないのか分からないけど…いや、待って。

「皆が週一でも私は週五になるじゃないですか!」
「あ、ほんとだ…。ま、まあ皆本気で言ってる訳じゃないよ!」
「……」

 結局ベッドは私の部屋にそこそこ大きい…三人分くらいの物を置くことになった。
 一人で寝る時は思いっきりゴロゴロしよう…。

「そういえばサキちゃん、床に座る部屋とか欲しいかなって思ったけど」
「あったら嬉しいです!畳…は無いから、厚めのカーペットとか敷いて…」
「え、床に座るの?」

 不思議そうなリュークにも説明して、一部屋はお座敷(風)にして貰った。
 やった~!ずっとこの部屋に居座っちゃうかも!

「喜んでるサキ可愛い~!ね、他には何が欲しい?」
「えっとね…湯船は絶対欲しい!」

 ずっとシャワーだもの。温かいお湯に浸かりたい!

「うんうん、大きいのにしよ!」

 あと、凄く大事なのって……。

「子供部屋とか…何室作りますか…?」
「それで…悩んでいてな…。部屋数で決めるのは何か違う気がしないか?」
「部屋余るのも寂しいし足りなくなるのも困るし…」

 ハインツさんとラグトさんに皆も同意する。

「ちなみにサキは、何人欲しいと思っているんだ?」

 ミスカさんに聞かれ照れながら答える。

「皆とそれぞれの子が欲しいから、五人は…」
「サキ…嬉しい!サキの子供なら皆可愛いけど、やっぱり俺との子も欲しいもん」
「ふふ、ありがとう」

 頬に与えられるリュークのキスで胸が温かくなる。

「いっそ子供が増えたら建物を増やすか…」
「結構大掛かりですね…今の黒騎士団の寮みたいな感じ?」

 私がそう言ったらハインツさんは驚き頷いた。

「良いかもしれない」
「え?」
「黒騎士団の寮を新しく建てて、子供が大きくなったらそちらに住まわせる。男の子の場合だが」
「部屋は五つ作って大きくなった子からと事ですよね。六人目が生まれる頃には上の子は最低でも九、十歳になっていますし」

 ヴェルくんの言うことは分かったけど、九歳で親離れは早くないかな…。
 しかし、この世界ではそのくらいになればある程度一人で何でも出来るようになるらしい。
 成人も早いもんね…逞しいなぁ。
 話し合いは続いたものの、その案が採用されることになった。

「黒騎士団寮を新しく建てるのも大変じゃないですか?」
「今の寮もほぼ満員だからな。どうせそろそろ増やさなければ新しい人が入って来れないんだ」

 ならちょうど良いってことだね。
 ここでミスカさんが提案をする。

「庭も作らないか?遊べる場所があった方が良いだろう。訓練場が空いていれば使っても良いが、常にでは無いから」
「そうですね!お花とかも植えたいです!」
「ああ」

 どんどん夢が広がっちゃうなぁ…。
 その後、他にも相談を重ねて…

「よし、これで大丈夫そうだな。家が完成するのは随分先になるから気長に待っていてくれ」
「はい!」

  指輪にお家…新婚さんみたい!
 あれ、私たちも新婚か。結婚して一年間だったかな。
 何だか笑顔が零れてしまい、隣に座るミスカさんに擦り寄る。

「サキ、どうした」
「いえ、皆との大切な物が増えていくのが嬉しくて」
「ああ、そうだな」

 彼も嬉しそうに頭を撫でてくれる。

「ミスカずるい!サキ、今からは俺と一緒に居よ?」
「僕と一緒に居てくれますよね」
「え、俺もサキちゃんも一緒に居たい」
「…お前たち」

 ハインツさんの少し低い声で全員固まる。

「仕事をしろ」
「「はい…」」
「サキは私と執務室で過ごそう」
「えぇ!?団長…」
「仕事が終わった者は来てもいい」

 その一言で皆は瞬く間に仕事へ向かって行った。

「……やれば出来る子ですね」
「ああ、やらないから出来ないんだ」

 私も余計な事言っちゃったしなぁ。仕事のやる気が削がれないように気をつけよう。

「さて、執務室に戻るか」
「お茶とお菓子持っていきますね」
「ありがとう。一応彼らの分のお菓子も用意してやってくれ」
「ふふ、分かりました」

 その後、再び六人で集まるのにそう時間はかからなかった。
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