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皆でトランプ
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今日はハインツさんが皆の時間を取ってくれて、楽しみにしていたトランプを一緒に出来ることになった。
「絵も細かく描いてある!全部は大変だったでしょ?」
カードを切るのを手伝ってくれたリュークはその大変さを分かっているので、とても関心しながらカードを眺めている。
ラグトさんと一緒に描いた分以外は、毎日少しずつ描いてようやく完成したのだ。
「あれ、何枚か凄く綺麗に描いてあるね」
「うっ……」
その一言は私に大きなダメージを与えた。
「リュークさん余計なこと言っちゃダメですって!」
「ラグトどうし……あ」
事情を察した彼らはアワアワと焦る。
「サキさん、字も上手に書けてますね!」
「練習したんだろ、偉いな」
ヴェルくんとミスカさんに声をかけてもらいなんとか気持ちを持ち直した。
「それで……どんなゲームをするんだ?」
ハインツさんに聞かれ少し迷った後に決める。
「一番簡単なので、ババ抜きにしようと思います」
「なあにそれ?」
「カードを全員に配って……」
六人分均等に一枚ずつ置いていく。
「他の人に見えないように確認してください。その中で同じ数字のものがあったら真ん中に出して、ここがカードの捨て場になります」
「マークが違っても良いんですか?」
「うん、これは数字だけ使うゲームだから」
それぞれカードを出していく。
「先輩、いっぱいカード出してますね。手札全然無い……」
ラグトさんがミスカさんのカードを見て呟く。
「やけに揃っていたんだ、ランダムだからこういうこともあるんだな」
「私は出せるものがほとんど無かったんだが……大丈夫なのか……?」
不安そうなハインツさんを見てちょっと笑ってしまいながらルールを説明する。
「隣にいる人のカードを順番に引いて、同じ数字が出たらまた捨て場に出します。手持ちのカードが無くなった人から勝ちです」
「それじゃあ私はだいぶ不利なんだな……」
「団長……僕もですから」
しゅんとしたハインツさんにヴェルくんが声をかける。
「このジョーカーのカードは一枚しか入っていないので、最後にこれを持っていた人が負けになります」
「他の人にバレないように上手く渡せば良いのか」
理解の速いミスカさんに頷く。
「そういうことです」
「おっけ!じゃあ早速やろう!」
皆で恒例のジャンケンをして順番を決める。私が勝ったのでそこからヴェルくん、ハインツさん、リューク、ミスカさん、ラグトさんの順になった。
「私がヴェルくんのカードを引くから、ヴェルくんはハインツさんのを引いてね」
「分かりました」
そうしてグルグルとカードは回っていく。
「サキさん、右端のカードが良いと思います」
「い、いい意味で?悪い意味で?」
「どうでしょうか」
こういう時のヴェルくんの表情は本当に読めない。
「えい!他の取っちゃうもんね!……あ」
「サキ……」
「ち、違うから!引いてないから!」
なにぶん私は嘘をつくのが苦手なのだ。別に楽しいからいいのだけれど、毎回負け確。一位になった試しは無い。
「あ!さっき団長に取られたカード来た!」
「さっき……何を引いたかな」
「6ですよぉ……」
「いや言うなよ」
堂々とバラすリュークにツッコんだミスカさんがラグトさんから引く。
「あ、6だな」
「先輩も言っちゃってる!」
ボケとツッコミが連鎖している……。
そうこうして一位になったのはヴェルくん。
「お先に失礼します」
「すっごいむかつく……」
ラグトさんに言われてもすんとしているヴェルくん。
「なんだか裏切られた気分だ……」
「……運なので……いえ、すみません」
流石にハインツさんには申し訳なさそうだ。
その後、ミスカさん、リュークが順に上がっていった。
私の手元にはまだジョーカーが残っている。
「サキちゃん……どれ取って欲しい?」
「……運ですから、言いません!」
「真ん中取って欲しい!」と正直に言うのを堪えた。言っても取ってもらえるかは別だし。
あ!真ん中……え、右にしちゃうの?左?
ラグトさんの手があっちこっちに動くからその度にドキドキしてしまう。
「……こ、これにしようかな……」
「!」
真ん中取ってもらえた!わーい!
「ラグト……」
「いいんです……運っすから……」
ハインツさんからカードを引いて二周目で、私はなんと上がることが出来た。
ワースト一位二位じゃないの初めて……!
「可愛いな……」
「トランプ最高じゃん……」
ミスカさんとリュークは何か呟き、隣のヴェルくんは笑顔でこちらを見ている。
「可愛いです、サキさん」
「ありがとう?ヴェルくんもカッコいいよ」
「そういうことじゃありません。でもありがとうございます」
ハインツさんとラグトさんの一対一の戦いの末ラグトさんが勝利した。
「サキが配ってくれたカードだから文句が言えない……」
「わ、私じゃなくても誰が配っても同じですよ。そういうものですから」
ハインツさんは少ししょんぼりしたが、楽しそうに笑った。
「カードゲームというのは面白いな。違うものも色々やってみたい」
「はい!」
次は神経衰弱をやったのだが、これに関しては記憶力の差が圧倒的過ぎた。
「これだな」
皆がそれぞれカードを開いてなかなか同じカードが出ない中、ハインツさんが一枚めくり当てた。
正解したらもう一度めくることが出来る。
「あれと……」
めくったもの全てを記憶しているハインツさんは次々と当てていき、ほとんどのカードが無くなってしまった。
「団長……これじゃあ勝負になってないっすよ……」
ラグトさんがぽつりと苦言を漏らし、ハインツさんは苦笑いする。
「いや、つい……すまない」
正直ハインツさんだけじゃなくて皆も記憶力が良いのでそれなりに取っている。
ちなみに私は……0枚。
ちょっとだけ覚えてたのに全部取られちゃった……。
「た、多分これだった気がする……」
曖昧な記憶でめくろうとしたら皆が口々に言い出した。
「サキ、それじゃない」
「その隣です」
「ほら、あそこ!」
「……」
律儀に教えてくれた。それをめくったら案の定合っていたわけだけど。
「凄い気遣われてる……」
逆に少し悲しくなった。
結局神経衰弱はハインツさんの大勝利で終えた。
「トランプって難しいねー」
「正確に言うとこの面子でやると、だが」
本当に、ミスカさんの言う通りである。
「とても楽しかった。サキありがとう」
ハインツさんに微笑まれて、私も笑顔で返す!
「はい!また一緒にやりましょう!」
喜んで貰えて良かった!
こうして、トランプは皆との定番の遊びとなった。
「絵も細かく描いてある!全部は大変だったでしょ?」
カードを切るのを手伝ってくれたリュークはその大変さを分かっているので、とても関心しながらカードを眺めている。
ラグトさんと一緒に描いた分以外は、毎日少しずつ描いてようやく完成したのだ。
「あれ、何枚か凄く綺麗に描いてあるね」
「うっ……」
その一言は私に大きなダメージを与えた。
「リュークさん余計なこと言っちゃダメですって!」
「ラグトどうし……あ」
事情を察した彼らはアワアワと焦る。
「サキさん、字も上手に書けてますね!」
「練習したんだろ、偉いな」
ヴェルくんとミスカさんに声をかけてもらいなんとか気持ちを持ち直した。
「それで……どんなゲームをするんだ?」
ハインツさんに聞かれ少し迷った後に決める。
「一番簡単なので、ババ抜きにしようと思います」
「なあにそれ?」
「カードを全員に配って……」
六人分均等に一枚ずつ置いていく。
「他の人に見えないように確認してください。その中で同じ数字のものがあったら真ん中に出して、ここがカードの捨て場になります」
「マークが違っても良いんですか?」
「うん、これは数字だけ使うゲームだから」
それぞれカードを出していく。
「先輩、いっぱいカード出してますね。手札全然無い……」
ラグトさんがミスカさんのカードを見て呟く。
「やけに揃っていたんだ、ランダムだからこういうこともあるんだな」
「私は出せるものがほとんど無かったんだが……大丈夫なのか……?」
不安そうなハインツさんを見てちょっと笑ってしまいながらルールを説明する。
「隣にいる人のカードを順番に引いて、同じ数字が出たらまた捨て場に出します。手持ちのカードが無くなった人から勝ちです」
「それじゃあ私はだいぶ不利なんだな……」
「団長……僕もですから」
しゅんとしたハインツさんにヴェルくんが声をかける。
「このジョーカーのカードは一枚しか入っていないので、最後にこれを持っていた人が負けになります」
「他の人にバレないように上手く渡せば良いのか」
理解の速いミスカさんに頷く。
「そういうことです」
「おっけ!じゃあ早速やろう!」
皆で恒例のジャンケンをして順番を決める。私が勝ったのでそこからヴェルくん、ハインツさん、リューク、ミスカさん、ラグトさんの順になった。
「私がヴェルくんのカードを引くから、ヴェルくんはハインツさんのを引いてね」
「分かりました」
そうしてグルグルとカードは回っていく。
「サキさん、右端のカードが良いと思います」
「い、いい意味で?悪い意味で?」
「どうでしょうか」
こういう時のヴェルくんの表情は本当に読めない。
「えい!他の取っちゃうもんね!……あ」
「サキ……」
「ち、違うから!引いてないから!」
なにぶん私は嘘をつくのが苦手なのだ。別に楽しいからいいのだけれど、毎回負け確。一位になった試しは無い。
「あ!さっき団長に取られたカード来た!」
「さっき……何を引いたかな」
「6ですよぉ……」
「いや言うなよ」
堂々とバラすリュークにツッコんだミスカさんがラグトさんから引く。
「あ、6だな」
「先輩も言っちゃってる!」
ボケとツッコミが連鎖している……。
そうこうして一位になったのはヴェルくん。
「お先に失礼します」
「すっごいむかつく……」
ラグトさんに言われてもすんとしているヴェルくん。
「なんだか裏切られた気分だ……」
「……運なので……いえ、すみません」
流石にハインツさんには申し訳なさそうだ。
その後、ミスカさん、リュークが順に上がっていった。
私の手元にはまだジョーカーが残っている。
「サキちゃん……どれ取って欲しい?」
「……運ですから、言いません!」
「真ん中取って欲しい!」と正直に言うのを堪えた。言っても取ってもらえるかは別だし。
あ!真ん中……え、右にしちゃうの?左?
ラグトさんの手があっちこっちに動くからその度にドキドキしてしまう。
「……こ、これにしようかな……」
「!」
真ん中取ってもらえた!わーい!
「ラグト……」
「いいんです……運っすから……」
ハインツさんからカードを引いて二周目で、私はなんと上がることが出来た。
ワースト一位二位じゃないの初めて……!
「可愛いな……」
「トランプ最高じゃん……」
ミスカさんとリュークは何か呟き、隣のヴェルくんは笑顔でこちらを見ている。
「可愛いです、サキさん」
「ありがとう?ヴェルくんもカッコいいよ」
「そういうことじゃありません。でもありがとうございます」
ハインツさんとラグトさんの一対一の戦いの末ラグトさんが勝利した。
「サキが配ってくれたカードだから文句が言えない……」
「わ、私じゃなくても誰が配っても同じですよ。そういうものですから」
ハインツさんは少ししょんぼりしたが、楽しそうに笑った。
「カードゲームというのは面白いな。違うものも色々やってみたい」
「はい!」
次は神経衰弱をやったのだが、これに関しては記憶力の差が圧倒的過ぎた。
「これだな」
皆がそれぞれカードを開いてなかなか同じカードが出ない中、ハインツさんが一枚めくり当てた。
正解したらもう一度めくることが出来る。
「あれと……」
めくったもの全てを記憶しているハインツさんは次々と当てていき、ほとんどのカードが無くなってしまった。
「団長……これじゃあ勝負になってないっすよ……」
ラグトさんがぽつりと苦言を漏らし、ハインツさんは苦笑いする。
「いや、つい……すまない」
正直ハインツさんだけじゃなくて皆も記憶力が良いのでそれなりに取っている。
ちなみに私は……0枚。
ちょっとだけ覚えてたのに全部取られちゃった……。
「た、多分これだった気がする……」
曖昧な記憶でめくろうとしたら皆が口々に言い出した。
「サキ、それじゃない」
「その隣です」
「ほら、あそこ!」
「……」
律儀に教えてくれた。それをめくったら案の定合っていたわけだけど。
「凄い気遣われてる……」
逆に少し悲しくなった。
結局神経衰弱はハインツさんの大勝利で終えた。
「トランプって難しいねー」
「正確に言うとこの面子でやると、だが」
本当に、ミスカさんの言う通りである。
「とても楽しかった。サキありがとう」
ハインツさんに微笑まれて、私も笑顔で返す!
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