美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

つい気になって

　ふと、目が覚めると頭を撫でられているのを感じる。

「ん……ミスカさん……？」
「ああ、おはよう」
「おはようございます……」

　寝ぼけ眼で起き上がり隣に座るミスカさんに抱きつく。
　ミスカさん……肌が当たってきもちい……い？
　ここに来ての安心感で毎度の如く服を着ていないことを忘れていた。

「ぴゃっ」

　光の速さで私は布団に飛び込んだ。

「なんだその鳴き声は……」

　顔だけ出してチラッと彼を覗くと口角を上げ優しく笑っていた。

「サキは可愛いな」

　本当に、夜でも朝でも甘すぎる。

「もう……可愛いって……」
「言わないほうが良いか？」
「……嬉しいです」
「昨日あまり伝えていなかったと思ってな」

　その分を、と何度もくれる「可愛い」にデロデロに甘やかされてしまった。

「もう限界です……」
「そうか、じゃあとりあえずシャワーを浴びよう。サキ、一緒に…」
「け、結構です！」

　ミスカさんは今日もお仕事があるので朝食だけ一緒に食べてお別れした。勿論自分の分は自分で食べた。
　その後私は、廊下で壁の埃を払ってお掃除していた。

「サキ！」
「リューク」

　リュークはこちらに走ってきたかと思うと私をジーッと頭から足まで観察する。

「うん、良かった！それじゃあね！」
「え、ちょ、何？」

　さっさと行ってしまったけれど、何かあったわけでは無さそう……？
　しかし、箒で床をはいていると……。

「サキちゃん！」
「ラグトさん」

　ラグトさんは私を見つけて慌てた様子で駆け寄り、私の全身を見て胸を撫で下ろす。

「ふぅ……良かったぁ……。あ、掃除いつもありがとう！頑張って！」
「いえ、どういたしまし……て？」

　やっぱり何かあったのかな。でもまたすぐ行っちゃったし……。
　しかし、窓を拭いていると……。

「ああ、サキ」
「ハインツさん」

　ハインツさんはやっぱり私をジーッと見て、にこやかに微笑む。

「大丈夫そうだね」
「あの、リュークとラグトさんも同じようなこと言ってましたけど……私どこか変ですか」
「いや、そうではないんだけど」

　ハインツさんはチラッと周りを見回して、困ったように言う。

「ミスカのだから、痛くなかったか気になって」
「……あ」

　皆知ってるんだぁ…ミスカさんのがだいぶ大きいこと……。そうだよね、お風呂一緒だもんね……。

「えっと……痛いとかは無かったです、行為がその……」
「そうか…すまないね、聞き出してしまって。しかしミスカも何だかはしゃいでいたから、ありがとう」

　ん？ミスカさんからも同じことを聞いたな。
　はしゃいでスキップするミスカさん……？
　二人の仲の良さを感じる。

「ハインツさんは……スキップ出来ますか？」
「スキップ？」
「こういう……たったらって足を動かす……ってハインツさん？」

　彼は手で顔を覆いながら背け、肩を震わせている。

「わ、笑ってます！？」
「可愛すぎる……手がぴよぴよ動いてる……なんだこの天使は……」

　何を言っているかは分からないけど、ハインツさんスキップ知らないなら出来ないか……見たかったのに。

「サキ、もう一度やってくれ」
「い、嫌です！また笑いますよね！？」
「絶対笑わないから」
「やりません！」

　どうしてもと言うハインツさんから逃げ回り、なんとか仕事に帰って貰った。
　あんまり変なことは聞くものじゃないな……。