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無事にひと段落

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 窓から差し込む光を感じ目を覚ます。体が何かいつもと違う気がして、それが服を纏っていないからだと気づいた。
 そうだ、昨日ハインツさんと…。

「サキ、おはよう」
「!おはようございます…」

 隣で既に服を着て座っていたハインツさんがおでこにキスをくれる。

「ふふ…幸せです」
「ああ。昨日のが…夢じゃなくて良かった」

 昨日のことを思い出すと、私はだいぶ声を出してしまっていた気がしてちょっと恥ずかしくなる。

「体は痛くない?」
「はい、そんなには」
「今日は1日ゆっくりしていて。昨日私もそのまま寝てしまったからシャワーを借りたよ。とりあえずサキも浴びてこようか」

 頷くと、私をシーツでくるんで抱えて運んでくれる。立った時に少しふらついてしまったのを見てハインツさんに「手伝おうか」と言われたが、慌てて断った。
 まだちょっと…明るいところで見られるのは恥ずかしい…。
 シャワーを浴びて出るとハインツさんは仕事へ行く準備を済ませていた。

「すまない、キリをつけてまた戻ってくるから待っていてくれるかい?」
「はい」
「朝食は届けるよう言っておくよ 」
「ありがとうございます」

 少し屈んだ彼とキスをする。

「いってらっしゃい」
「ああ…!いってくるよ」

 彼を見送ると、ため息が1つ出て思わず床にしゃがみ込む。
 ちゃんと出来たよね…良かったぁ…!
 ずっと任せきりで私は正直何もしていないのだが、ハインツさんが凄く嬉しそうな顔をしてくれていたので結果的には良しとして欲しい。
 汗で汚れてしまったシーツを取ってベッドを整えたり掃除していると、ミスカさんが朝食を持ってきてくれた。
 彼がどうしても私に食べさせたいという様子だったのでお言葉に甘えることにした。

「どれがいい」
「じゃあ…サラダで」

 ミスカさんの膝の間に収まった私は与えられるご飯をゆっくり食べていた。
 食べさせるスピードも量も完璧なのだがこれは特技なのか、才能なのか。なかなか難しいことだと思うけれど…。

「随分緊張していたが、大丈夫だったか?」
「はい…ええと…ちゃんと出来たので…」

 他の恋人の話なんてしていい…のかな?この世界では普通なのかも…。

「それなら良かった。団長も凄くはしゃいでいたから」
「え!?」

 ルンルンとスキップをするハインツさんを想像したけれど絶対違うと思う。
 ご飯を食べ終わった私をミスカさんが後ろから抱きしめる。

「急かしている訳では無いんだが、俺もサキとしたい」
「!」
「1週間ごとは…辛いか?」

 つまりラグトさんが1週間後で、ミスカさんが2週間後。

「それだと…リュークが1ヶ月後になっちゃう…」
「リュークなら大丈夫だ」

 スンとした顔でミスカさんはそう言うけど、流石に待たせている身としては申し訳ない。
 私も早くしたい…っていうのはなんか…。
 昨日のことを思い出してアレをすると考えると恥ずかしくてそんなの言えない。

「み、3日とかなら…多分大丈夫……」

 身体的にも心の余裕的にも。

「ありがとう。無理そうだったらまた言ってくれ」
「はい…」

 あぁ…もう緊張してきちゃった…。


 ミスカさんが戻った後他の皆も空いてる時間に来て、色々心配してくれた。

「サキさん、痛いところは無いですか?」
「うん、大丈夫だよ」
「料理も僕ちゃんとやりますから、気にしなくていいですから」
「ふふ…明日からはやりたいかな、心配してくれてありがとう」

 ヴェルストリアくんの頭を撫でていると、ちょうどハインツさんが来た。

「ヴェルストリア、来ていたのか」
「団長!お疲れ様です」

 ハインツさんはソファの私の隣に座った。

「2人は仲が良くて羨ましいな」
「ええ、僕とサキさんの仲ですから」

 ヴェルストリアくんに頬にキスされてこそばゆい感じがする。

「もう…恥ずかしいよ…」

 照れる私の頭をハインツさんが撫でた。

「私はサキに頭を撫でられることがあまり無いから、少し悲しいかな」

 そう言われて、そういえばいつもしてもらってばかりで私からは無かったかも…と気づく。
 私も手を伸ばしてそっと赤い髪を撫でると、ハインツさんは顔を綻ばせる。

「はは、ありがとう」
「これからはいっぱい撫でますね」
「僕もサキさんに撫でられるのは嬉しいです」

 手に擦り寄るヴェルストリアくんの髪も撫でる。
 これが、両手に花というやつでは…!
 初めての感覚にぱやぱやしていると2人に両側から抱きしめられた。

「わっ」
「可愛いな…」
「可愛いですね…」
「ふ、2人ともどうしたの」

 なんだか分からないままひたすらに抱きしめられていた。
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