美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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イチャイチャはお部屋で

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 珍しく早めに仕事が終わったリュークと会い、廊下を歩きながらお喋りをしていた。
 大好きな彼は隣に居るはずなのに、隣に居るからこそなんだか物足りなくなってしまう。

「リューク」
「なーに?」

 私が呼ぶと嬉しそうにこちらを向くリュークにギュッと抱きつく。

「わっ」
「ごめんね、急に引っ付きたくなっちゃった」
「もー!サキ可愛い!前より甘えるの上手になっちゃって」
「皆が甘やかしてくれるから、私ダメダメになっちゃった」

 なんだかんだ毎日皆に会えて、頭を撫でられて抱きしめられて。触れていないと落ち着かない。

「それでいいんだよ」
「?」
「俺たちがいないと生きていけないようにサキを囲ってるんだから」

 ニコニコと笑いながらだいぶ重いことを言うリュークにびっくりして、でもその執着のような想いが嬉しい私も大概だと思った。

「もうとっくにそうなってるよ?皆がいないとこの世界じゃ生きていけないし」

 ふとキスをくれたリュークに応え、見つめる。

「生きている意味がないもの」

 視線を交わしたまま、またお互いの唇が引き寄せられる。もう少しで触れる、という時に近くで足音が聞こえた。二人で慌てて抱きしめていた手を離し顔を背ける。

「……部屋行っていい?」
「……うん」

 そそくさと部屋に戻り、とりあえずソファに座った。

「廊下は……ちょっとドキドキするね」
「そうだねぇ、見られたら多分本気で殴られる」
「なんで!?」
「目の前でイチャつくなって」
「それは……すみません……」

 皆の仕事場だもんね……そんなところでイチャイチャは良くない。散々やってしまっていたけど……。

「私はここを家みたいに思ってるからどうしても気が緩んじゃって」
「!……サキがそう思ってくれたら皆喜ぶよ。団員のほとんども年中ここにいるし、それこそ家だから」
「黒騎士団はお休みの日とかが無いよね?休憩も集団行動以外の時は自由だって」
「うん、仕事はそれぞれの隊に与えられて協力してやるんだ。仕事が期間内に終わるならいくらでも休んでいい、だから休憩も自由。皆交代で休みながらやってるよ」

「サキも休んでいいのに」とリュークは言うけれど私は朝と夜にご飯を作っているだけだし、他にすることも無いからほぼ暇つぶしで掃除をしているだけだった。仕事と言っていいかも分からない。
 ちなみにこの前町に行った時に貰ったお金は残り全部ハインツさんにお返しした。使う時はまたその分出してもらうようにお願いしてある。

「家だからイチャついても問題無いからね!俺も殴り返すから大丈夫!」
「駄目だよ!?」

 そう言い笑い合いながら顔は近づいていき……ようやく唇が触れた。

「私ね、成長したの」
「なにが?」
「キスしてる時に苦しかったけど、鼻で呼吸すればいいんだって気づいた」

 私は真面目に言ったのにリュークは顔を背け吹き出した。

「気づくのおそ……」
「なんで笑うの……そんな変なこと言った?」
「いや、合ってるよ。くっ……はは……うん、良かったね」

 そんなに笑われてだいぶ不服だ。拗ねた私の頭を撫で、ようやくこちらを向く。

「成長してるか確かめないと」
「練習したから大丈夫だよ」
「練習したんだ……」

 私の頭を撫でながら寄せてキスをするリュークの肩をぎゅっと掴む。
 鼻で吸って…ーゆっくり出して……。
 意識しながらならちゃんと呼吸出来ている。大丈夫そうかも……と安心していると、少し開いた口から柔らかいものが口内に入ってきた。それが彼の舌だと理解するのに二秒かかった。

「ぁ……まっ……んん」

 静止する間も無く舌を絡ませられくちゅくちゅとした音が脳に響く。
 急なこんな状況で呼吸することを考えるなんて出来なかった。

「っ…はぁ……」

 ようやく離れて息が漏れる。

「上手く…出来た?」
「……むりぃ……」

 前のように怒る気力も無くリュークに寄りかかる。

「急にはやめて……」
「急じゃなかったらいいの?」
「ん……」

 彼の肩に顔を埋める。

「え!いいの!?」
「自分からしたのになんで驚くの」
「流石に引っぱたかれるかと、してから気づいた」
「遅いよ……」

 デコピンくらいはしても良いかと顔を上げ目の前の頬を両手で挟んだ。
 ……カッコいい。
 私の彼氏はイケメンなのだ。若干贔屓はあるかもしれないけれど。
 金色の髪と瞳、スッとした鼻筋と顎周り、笑うと綺麗な弧を描く薄い唇。
 全部がカッコいい。頬をむぎゅっとしてもカッコいい。

「しゃき、どしたの」
「……許してあげる」
「にゃんかゆるしゃれた」

 頬から手は離して、代わりに彼の手を握る。

「……やっぱり心配?」
「……心配……もちょっとある」

 もう少しで二週間が経つ。

「俺たちはさ、そうゆうことがしたくてサキと付き合ったわけじゃないから、最低限って言うか……サキが大丈夫ってところまで頑張ってくれたらいいからね」
「うん……でも私も……したいから」
「っ……やっぱりしたい!サキとえっちしたい!」
「りゅ、リューク……そんな大声で言わないで!なんか恥ずかしい……!」

 抱きしめられてわちゃわちゃしながらそのまま夜寝付くまで過ごした。
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