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彼氏会議
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ハインツ、ミスカ、ラグト、ヴェルストリアはリュークによって集められ、彼氏五人の会議が行われることになった。
「この面子ということはサキについてか」
「はい。それぞれから随時話は聞いていましたが……まだサキのベッドで寝ていないラグト以外、眠れていないそうですね」
「え、ベッドってどゆこと!?俺だけ!?」
驚愕するラグトに事情を説明し落ち着かせて、リュークはヴェルストリアを見る。
「団長とミスカは置いといて、ヴェルストリアはなんで寝れなかったの」
「サキさんの寝顔を見れるのに、寝ている訳にはいきません」
「意図的に起きてるじゃん」
当たり前のように言うヴェルストリアにツッコミを入れて咳払いをする。
「まあ、とりあえず」
ハインツとミスカを指差しビシッと言い放った。
「二人は意識しすぎなんですよ!」
「!?」
「確かにサキの可愛さを前にしてえっちなことしたいと思わないわけないけど!俺も思うけど!」
それは至極当然のことだと皆で頷く。
「ちゃんと出来るか不安なんですよね?」
「!」
「だから余計に意識しちゃってえっちな方向に思考が行くんですよ」
「な、なるほど……?確かに……日に日に近づいてきて緊張してしまっているな…」
「というわけで、これを用意しました!」
大量の本を机に置く。
「これは……!」
「アレの本です!」
「アレの本!」
机にバンっと手をついたリュークは真剣な表情で彼らを見回す。
「一番大事なのはサキを喜ばせること!」
「……!」
「全力で勉強するべきです」
その言葉で全員のスイッチが入った。うかうかしてはいられない。
「それで不安は一掃してください。もしまだ寝れないようであれば」
リュークは親指を立ててウィンクする。
「隣に天使が居ると思って!」
「言われなくてもサキは天使だが」
真面目な顔して発言するミスカに一蹴り食らわせる。
「こう、天使の羽根に包まれている感じ!物凄い安心感!天国!」
「なるほど……確かに身に覚えがある……」
「団長凄い納得してるっすね……」
「俺たちが寝れてない、なんてサキが傷つきますから。サキの為にも死ぬ気で寝てください。ヴェルストリアも寝顔鑑賞は二時間まで!」
「分かりました……」
リュークの熱弁により全員が一致団結したところで、ハインツは目の前に置かれた本を手に取る。
「しかし、こういうものは初めて見たな。何処で用意したんだ?」
「ログさんに貰いました」
「あの人もう全部理解して気使ってくれてるじゃないか」
ページを開くと女性のあんなことやこんなことが描かれている。
「「……」」
それぞれ顔を見合わせ顔をしかめる。
「前なら多少なりとも反応していたかもしれないが、なんだろうか……この冷めていく感じは…」
「この絵ってだいぶ美人に描いてありますよね?それは分かるんですが……」
「サキほど細身の人はそもそも居なかったから描こうにも描けなかったんだろう」
「黒髪で黒目ってサキ以外居ないし」
「リアリティも大事ってことなんすかね」
そう考えるとサキの美しさは異次元なのだと(異世界から来たのだからそうなのだけど)彼女の姿を思い浮かべて、それぞれ噛み締めるように頷いた。
「サキは可愛いな」
「先輩に同じく」
「見た目だけじゃないけどね」
「仕草がとてつもなく可愛いんだ」
「本当に、虐めたくなりますね」
さらっと言ったヴェルストリアにラグトが掴みかかる。
「いや、虐めちゃ駄目!」
「不可抗力です」
「抗えって!」
一番危ないのはこの後輩かもしれないと全員が警戒したところで、昼のチャイムが鳴った。
「もうこんな時間だな」
「俺はもう行きます」
「俺もー!サキがお菓子作ってくれてるからね!」
「「!?」」
「サキの作った菓子は私が食べるべきだ」
「なんでっすか!?俺だってサキちゃんのお菓子食べたい!」
「僕も食べたいです」
この五人が集まってサキの話をすると収集がつかなくなるのはもうどうしようも無い。
「あれ、皆揃ってどうしたの?珍しいですね」
「いや、その……」
ハインツが言い淀む中ヴェルストリアはサラッと声をかける。
「いい匂いですね、何か作っていたんですか?」
「うん、マドレーヌだよ!せっかくだし皆で食べようか!」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに目を輝かせる。
「サキ、俺が茶を入れるから座ってろ」
「ミスカさんありがとうございます。そこの棚に紅茶があるので」
「俺も手伝うもん!」
常に余裕なミスカに負けじとリュークもキッチンに飛び込んでいく。
「ハインツさん、砂糖とミルクでしたよね?」
「ああ、自分で持ってくるから大丈夫だよ。サキは蜂蜜で良いかい?」
「はい!覚えててくれたんですね、ありがとうございます」
なんだかやる気に満ちている彼氏たちに驚きながらもサキは皆で過ごせるのが嬉しくて笑顔を零す。
「めっちゃ美味しい……!料理もだけどお菓子も毎日食べたい!」
「ふふ、上手く焼けて良かったです。ラグトさんはどんなお菓子が好きですか?」
「前作ってくれたパンケーキのふわふわな感じが特に好きかも!」
「じゃあシフォンケーキがいいかな、今度作りますね!」
ニコっと笑ったサキに心を撃ち抜かれたラグトを置いて、ヴェルストリアはサキを自分のほうへ向かせる。
「今度お菓子の作り方も教えてください。貴女の為に僕が作ります」
「嬉しい!でも私、一緒に作って一緒に食べたいな」
「サキさん……」
「ちょっと待って、そこでいい雰囲気にならないで!」
お互いの闘志が燃えて、その後は全員仕事を放り投げてサキと一緒に過ごしたのだった。
「今日は俺と居る予定だったのに……」
サキはラグトに抱きしめられながらしゅんとする彼の髪をもふもふする。
「皆……今日は寂しかったんですかね」
全員いつもサキにベタベタと引っ付いてるせいで、サキは皆が寂しがり屋だと思っているらしい。それが自分に対してだけだとは知らない。
「あの……さ、俺も……ベッドで一緒に寝てもいい?」
「はい……!ありがとうございます!」
ラグトは他の皆が羨ましくてとりあえずそう言ったが内心焦っていた。
前は手を繋いでいただけなのでそこまで意識はしていなかった、というかサキを安心させようという使命感が強かったので大丈夫だった。
しかし今、彼女と横になって見つめあっているのは心臓に悪すぎる。これは団長も先輩も寝れないわけだ。
リュークさんなんて言ってたっけ!?ど、どうしよう……あ、そうだ!
ラグトは思い出した。
『一番大事なのはサキを喜ばせること!』
そのことに集中すればいいんだ。手繋いでた時も同じだったし。
あの時サキがして欲しいと言ったことを考え、意を決してラグトはサキに体を近づける。
「ラグトさん……?」
片手で柔らかい彼女の体を抱き寄せ、頭を撫でながらキスをする。
サキは急なことに驚いた顔で固まる。
「ご、ごめん。嫌だった?」
「嫌じゃないです!びっくりしちゃって」
顔を赤らめるサキは自分の体に回された腕の袖をきゅっと掴む。
「っ……」
もっと、とキスを求めるその眼差しに理性が吹っ飛びそうになるがあくまでサキの為。
ラグトは少し上体を上げ、包み込むようにキスをする。
「ん……はぁ……ん……」
サキが呼吸しやすいように間を空けて何度も。
彼はなんせうぶで、そういうことを意識すると立ち止まってしまうが、サキが喜んでくれるならなんでも頑張れるのだ。
「……は……ラグトさ……」
「ん……」
サキが力無く手を離したところでキスを止める。
ラグトがまた横になり頭を撫でると、サキは彼の胸に擦り寄った。
「ラグトさん……好き……」
「!……うん、サキちゃん。俺も好きだよ」
すやすやと眠ったサキにその言葉は伝わったのかどうかは分からない。
天使の体温を感じながらラグトも目を閉じ、深い眠りにつくことが出来た。
「この面子ということはサキについてか」
「はい。それぞれから随時話は聞いていましたが……まだサキのベッドで寝ていないラグト以外、眠れていないそうですね」
「え、ベッドってどゆこと!?俺だけ!?」
驚愕するラグトに事情を説明し落ち着かせて、リュークはヴェルストリアを見る。
「団長とミスカは置いといて、ヴェルストリアはなんで寝れなかったの」
「サキさんの寝顔を見れるのに、寝ている訳にはいきません」
「意図的に起きてるじゃん」
当たり前のように言うヴェルストリアにツッコミを入れて咳払いをする。
「まあ、とりあえず」
ハインツとミスカを指差しビシッと言い放った。
「二人は意識しすぎなんですよ!」
「!?」
「確かにサキの可愛さを前にしてえっちなことしたいと思わないわけないけど!俺も思うけど!」
それは至極当然のことだと皆で頷く。
「ちゃんと出来るか不安なんですよね?」
「!」
「だから余計に意識しちゃってえっちな方向に思考が行くんですよ」
「な、なるほど……?確かに……日に日に近づいてきて緊張してしまっているな…」
「というわけで、これを用意しました!」
大量の本を机に置く。
「これは……!」
「アレの本です!」
「アレの本!」
机にバンっと手をついたリュークは真剣な表情で彼らを見回す。
「一番大事なのはサキを喜ばせること!」
「……!」
「全力で勉強するべきです」
その言葉で全員のスイッチが入った。うかうかしてはいられない。
「それで不安は一掃してください。もしまだ寝れないようであれば」
リュークは親指を立ててウィンクする。
「隣に天使が居ると思って!」
「言われなくてもサキは天使だが」
真面目な顔して発言するミスカに一蹴り食らわせる。
「こう、天使の羽根に包まれている感じ!物凄い安心感!天国!」
「なるほど……確かに身に覚えがある……」
「団長凄い納得してるっすね……」
「俺たちが寝れてない、なんてサキが傷つきますから。サキの為にも死ぬ気で寝てください。ヴェルストリアも寝顔鑑賞は二時間まで!」
「分かりました……」
リュークの熱弁により全員が一致団結したところで、ハインツは目の前に置かれた本を手に取る。
「しかし、こういうものは初めて見たな。何処で用意したんだ?」
「ログさんに貰いました」
「あの人もう全部理解して気使ってくれてるじゃないか」
ページを開くと女性のあんなことやこんなことが描かれている。
「「……」」
それぞれ顔を見合わせ顔をしかめる。
「前なら多少なりとも反応していたかもしれないが、なんだろうか……この冷めていく感じは…」
「この絵ってだいぶ美人に描いてありますよね?それは分かるんですが……」
「サキほど細身の人はそもそも居なかったから描こうにも描けなかったんだろう」
「黒髪で黒目ってサキ以外居ないし」
「リアリティも大事ってことなんすかね」
そう考えるとサキの美しさは異次元なのだと(異世界から来たのだからそうなのだけど)彼女の姿を思い浮かべて、それぞれ噛み締めるように頷いた。
「サキは可愛いな」
「先輩に同じく」
「見た目だけじゃないけどね」
「仕草がとてつもなく可愛いんだ」
「本当に、虐めたくなりますね」
さらっと言ったヴェルストリアにラグトが掴みかかる。
「いや、虐めちゃ駄目!」
「不可抗力です」
「抗えって!」
一番危ないのはこの後輩かもしれないと全員が警戒したところで、昼のチャイムが鳴った。
「もうこんな時間だな」
「俺はもう行きます」
「俺もー!サキがお菓子作ってくれてるからね!」
「「!?」」
「サキの作った菓子は私が食べるべきだ」
「なんでっすか!?俺だってサキちゃんのお菓子食べたい!」
「僕も食べたいです」
この五人が集まってサキの話をすると収集がつかなくなるのはもうどうしようも無い。
「あれ、皆揃ってどうしたの?珍しいですね」
「いや、その……」
ハインツが言い淀む中ヴェルストリアはサラッと声をかける。
「いい匂いですね、何か作っていたんですか?」
「うん、マドレーヌだよ!せっかくだし皆で食べようか!」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに目を輝かせる。
「サキ、俺が茶を入れるから座ってろ」
「ミスカさんありがとうございます。そこの棚に紅茶があるので」
「俺も手伝うもん!」
常に余裕なミスカに負けじとリュークもキッチンに飛び込んでいく。
「ハインツさん、砂糖とミルクでしたよね?」
「ああ、自分で持ってくるから大丈夫だよ。サキは蜂蜜で良いかい?」
「はい!覚えててくれたんですね、ありがとうございます」
なんだかやる気に満ちている彼氏たちに驚きながらもサキは皆で過ごせるのが嬉しくて笑顔を零す。
「めっちゃ美味しい……!料理もだけどお菓子も毎日食べたい!」
「ふふ、上手く焼けて良かったです。ラグトさんはどんなお菓子が好きですか?」
「前作ってくれたパンケーキのふわふわな感じが特に好きかも!」
「じゃあシフォンケーキがいいかな、今度作りますね!」
ニコっと笑ったサキに心を撃ち抜かれたラグトを置いて、ヴェルストリアはサキを自分のほうへ向かせる。
「今度お菓子の作り方も教えてください。貴女の為に僕が作ります」
「嬉しい!でも私、一緒に作って一緒に食べたいな」
「サキさん……」
「ちょっと待って、そこでいい雰囲気にならないで!」
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「今日は俺と居る予定だったのに……」
サキはラグトに抱きしめられながらしゅんとする彼の髪をもふもふする。
「皆……今日は寂しかったんですかね」
全員いつもサキにベタベタと引っ付いてるせいで、サキは皆が寂しがり屋だと思っているらしい。それが自分に対してだけだとは知らない。
「あの……さ、俺も……ベッドで一緒に寝てもいい?」
「はい……!ありがとうございます!」
ラグトは他の皆が羨ましくてとりあえずそう言ったが内心焦っていた。
前は手を繋いでいただけなのでそこまで意識はしていなかった、というかサキを安心させようという使命感が強かったので大丈夫だった。
しかし今、彼女と横になって見つめあっているのは心臓に悪すぎる。これは団長も先輩も寝れないわけだ。
リュークさんなんて言ってたっけ!?ど、どうしよう……あ、そうだ!
ラグトは思い出した。
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そのことに集中すればいいんだ。手繋いでた時も同じだったし。
あの時サキがして欲しいと言ったことを考え、意を決してラグトはサキに体を近づける。
「ラグトさん……?」
片手で柔らかい彼女の体を抱き寄せ、頭を撫でながらキスをする。
サキは急なことに驚いた顔で固まる。
「ご、ごめん。嫌だった?」
「嫌じゃないです!びっくりしちゃって」
顔を赤らめるサキは自分の体に回された腕の袖をきゅっと掴む。
「っ……」
もっと、とキスを求めるその眼差しに理性が吹っ飛びそうになるがあくまでサキの為。
ラグトは少し上体を上げ、包み込むようにキスをする。
「ん……はぁ……ん……」
サキが呼吸しやすいように間を空けて何度も。
彼はなんせうぶで、そういうことを意識すると立ち止まってしまうが、サキが喜んでくれるならなんでも頑張れるのだ。
「……は……ラグトさ……」
「ん……」
サキが力無く手を離したところでキスを止める。
ラグトがまた横になり頭を撫でると、サキは彼の胸に擦り寄った。
「ラグトさん……好き……」
「!……うん、サキちゃん。俺も好きだよ」
すやすやと眠ったサキにその言葉は伝わったのかどうかは分からない。
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