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「それで……ヴェルストリアも付き合うか分かってからってはぐらかされてましたけど……」
ラグトさんとヴェルストリアくんが並んで座り、その反対にミスカさん、リューク、私。
「サキちゃんの世界……ってどういうこと……?」
ずっと隠していたこと。私が異世界から来たと言うことを、付き合うからには二人にもちゃんと伝えなければならない。
「さ、サキさんは別の世界から来たってこと……ですか?」
「うん。いつの間にかこの世界の……向こうの森の中にいて、ハインツさんとミスカさんとリュークに見つけて貰ってここに来たの」
流石に二人も信じられないという顔をしていたが納得する部分もあったそうで、一応理解はしてくれた。
「先輩とリュークさんが異様にサキちゃんと仲良さそうだと思ってましたけど、最初に会って事情知ってたんですね」
「異様にとはなんだ」
ラグトさんが「ちぇっ」と口を尖らせている。
「サキさんの世界では料理とかも普通にするんですか?」
「料理も家事も基本的に自分でするよ。私は一人暮らしだったから余計にね」
「「一人暮らし!?」」
皆に凄い驚かれた。
「一人で暮らしてたの!?」
「辛くなかった?大丈夫?」
「女性がそんな……一人だなんて危なすぎます」
オロオロと慌てて私を心配する彼らが可愛くて少し笑ってしまう。
「ふふ、一人暮らしをしてる人はいっぱい居ましたよ。それが当たり前だったので。でも、ここに来て大人数で過ごす方が楽しいなって思いました。ご飯も自分の分だけ作って食べるより、皆の為に作って一緒に食べる方が美味しく感じます」
「サキさん……」
「ヴェルストリアくんと料理するのも凄く楽しいよ!」
「っ…はい!これからも頑張ります!」
ヴェルストリアくんはキラキラした目で頷いてくれた。
「俺もまたやりたいなー!」
「そういえばラグトさんが代わりに入ってくれたんですよね、ありがとうございます」
「いや、ヴェルストリアのおかげでサキちゃんと付き合えたんだからこちらこそだよ」
「……なんか癪ですね」
この二人はなんだかんだ相性が良さそうだ。
ニコニコと見守っていると、リュークが場を仕切り直すように咳払いをする。
「えー、このことは他の黒騎士団員には言っていないし、外部にも団長が信頼できる人物にしか伝えていないと聞いている。だから内緒ね!」
「特にラグト」
「そんなに信用ないすか先輩……」
「それと……」
リュークは私に向き直る。
「サキは、団長のこと好きなんだよね?」
「う、うん……」
そう、私はハインツさんのことも好きなのだと気づいた。恋人となった彼らの前で改めて言われると心苦しく思う気持ちもあるが隠したくは無い。
「俺たちのことを団長が知ったら、その……サキが想いを伝えにくくなっちゃうから」
「私……ちゃんと自分の口から言いたいの。付き合ってることを皆に隠すことになっちゃうんだけど……良い……ですか……?」
顔を上げると皆は笑顔で頷いてくれた。
「サキが伝えたいと思った時に言えば良い」
「うん!全然焦らなくても大丈夫だから」
「ありがとうございます……!」
快く了承して貰えてホッとした。
私の好きな人が一人じゃなくても皆そんなに気にしていない様子だった。
やっぱり当たり前……なのかな。
恋人たちにきちんと大事な話を伝えることが出来て良かった。それぞれ仕事に戻っていったが私とリュークが残り、思わず彼を引き止める。
「ん、なあに?」
「あのね……」
「うん」
「私の居たところだと恋人は一人が普通だったから、皆のことが好きって気持ちを否定するつもりは無いんだけど……どうしても申し訳なく思っちゃって」
「そっか……サキの世界とは考え方が違うから仕方ないかもしれない。でも俺たちに負い目は感じなくていいよ。まさか俺、ミスカと同じ恋人が出来るとは思わなかったもん」
そう言いリュークは明るく笑う。
「嬉しいんだ。本当に良い奴で大事な親友だからさ、サキがミスカの良いところを知って好きになってくれて。人を見かけで判断しないで俺たちそれぞれを好きになってくれた、そんなサキだから大好きなんだよ」
「っ……ありがとう」
いつも優しい言葉で私を救ってくれる。
付き合うことに負い目を感じたくなかったから、話して良かった。
「でも俺の事だけ見てて欲しい気持ちはあるから」
「えっ」
「ずっとは無理だけどさ、俺といる時は……意識しててね」
「う、うん」
顔を赤らめながら頷いて、私はポケットからある物を取り出した。
「これずっと持ってるから離れててもリュークのこと考えてるよ」
ぽかんとしたリュークは同じくポケットから取り出す。
「俺もずっと持ち歩いてる……」
赤とピンクのまた微妙な顔のスイカ達。
「あはは!」
「ふふ……持っててくれてたんだ…気に入った?」
「なんかね、ずっと見てたら可愛く思えてきた」
「分かるかも…」
リュークは嬉しそうにスイカを見つめる。
「これ貰った時はサキと恋人になれるなんて思ってなかった……サキ、本当にありがとう」
「うん、こちらこそありがとう!」
ふと鐘が鳴る音が聞こえた。
「あ、引き止めちゃってごめんね」
「ううん、サキの話聞けるの嬉しいよ。じゃあまたね!」
手を振って走る彼を見送り、ピンクのスイカは大事にしまう。
やっぱりリューク、スイカ好きなんだなぁ。キーホルダーあんなに気に入ってくれて。
それが若干的外れなことに私は気付かず、気合を入れて仕事に向かったのだった。
ラグトさんとヴェルストリアくんが並んで座り、その反対にミスカさん、リューク、私。
「サキちゃんの世界……ってどういうこと……?」
ずっと隠していたこと。私が異世界から来たと言うことを、付き合うからには二人にもちゃんと伝えなければならない。
「さ、サキさんは別の世界から来たってこと……ですか?」
「うん。いつの間にかこの世界の……向こうの森の中にいて、ハインツさんとミスカさんとリュークに見つけて貰ってここに来たの」
流石に二人も信じられないという顔をしていたが納得する部分もあったそうで、一応理解はしてくれた。
「先輩とリュークさんが異様にサキちゃんと仲良さそうだと思ってましたけど、最初に会って事情知ってたんですね」
「異様にとはなんだ」
ラグトさんが「ちぇっ」と口を尖らせている。
「サキさんの世界では料理とかも普通にするんですか?」
「料理も家事も基本的に自分でするよ。私は一人暮らしだったから余計にね」
「「一人暮らし!?」」
皆に凄い驚かれた。
「一人で暮らしてたの!?」
「辛くなかった?大丈夫?」
「女性がそんな……一人だなんて危なすぎます」
オロオロと慌てて私を心配する彼らが可愛くて少し笑ってしまう。
「ふふ、一人暮らしをしてる人はいっぱい居ましたよ。それが当たり前だったので。でも、ここに来て大人数で過ごす方が楽しいなって思いました。ご飯も自分の分だけ作って食べるより、皆の為に作って一緒に食べる方が美味しく感じます」
「サキさん……」
「ヴェルストリアくんと料理するのも凄く楽しいよ!」
「っ…はい!これからも頑張ります!」
ヴェルストリアくんはキラキラした目で頷いてくれた。
「俺もまたやりたいなー!」
「そういえばラグトさんが代わりに入ってくれたんですよね、ありがとうございます」
「いや、ヴェルストリアのおかげでサキちゃんと付き合えたんだからこちらこそだよ」
「……なんか癪ですね」
この二人はなんだかんだ相性が良さそうだ。
ニコニコと見守っていると、リュークが場を仕切り直すように咳払いをする。
「えー、このことは他の黒騎士団員には言っていないし、外部にも団長が信頼できる人物にしか伝えていないと聞いている。だから内緒ね!」
「特にラグト」
「そんなに信用ないすか先輩……」
「それと……」
リュークは私に向き直る。
「サキは、団長のこと好きなんだよね?」
「う、うん……」
そう、私はハインツさんのことも好きなのだと気づいた。恋人となった彼らの前で改めて言われると心苦しく思う気持ちもあるが隠したくは無い。
「俺たちのことを団長が知ったら、その……サキが想いを伝えにくくなっちゃうから」
「私……ちゃんと自分の口から言いたいの。付き合ってることを皆に隠すことになっちゃうんだけど……良い……ですか……?」
顔を上げると皆は笑顔で頷いてくれた。
「サキが伝えたいと思った時に言えば良い」
「うん!全然焦らなくても大丈夫だから」
「ありがとうございます……!」
快く了承して貰えてホッとした。
私の好きな人が一人じゃなくても皆そんなに気にしていない様子だった。
やっぱり当たり前……なのかな。
恋人たちにきちんと大事な話を伝えることが出来て良かった。それぞれ仕事に戻っていったが私とリュークが残り、思わず彼を引き止める。
「ん、なあに?」
「あのね……」
「うん」
「私の居たところだと恋人は一人が普通だったから、皆のことが好きって気持ちを否定するつもりは無いんだけど……どうしても申し訳なく思っちゃって」
「そっか……サキの世界とは考え方が違うから仕方ないかもしれない。でも俺たちに負い目は感じなくていいよ。まさか俺、ミスカと同じ恋人が出来るとは思わなかったもん」
そう言いリュークは明るく笑う。
「嬉しいんだ。本当に良い奴で大事な親友だからさ、サキがミスカの良いところを知って好きになってくれて。人を見かけで判断しないで俺たちそれぞれを好きになってくれた、そんなサキだから大好きなんだよ」
「っ……ありがとう」
いつも優しい言葉で私を救ってくれる。
付き合うことに負い目を感じたくなかったから、話して良かった。
「でも俺の事だけ見てて欲しい気持ちはあるから」
「えっ」
「ずっとは無理だけどさ、俺といる時は……意識しててね」
「う、うん」
顔を赤らめながら頷いて、私はポケットからある物を取り出した。
「これずっと持ってるから離れててもリュークのこと考えてるよ」
ぽかんとしたリュークは同じくポケットから取り出す。
「俺もずっと持ち歩いてる……」
赤とピンクのまた微妙な顔のスイカ達。
「あはは!」
「ふふ……持っててくれてたんだ…気に入った?」
「なんかね、ずっと見てたら可愛く思えてきた」
「分かるかも…」
リュークは嬉しそうにスイカを見つめる。
「これ貰った時はサキと恋人になれるなんて思ってなかった……サキ、本当にありがとう」
「うん、こちらこそありがとう!」
ふと鐘が鳴る音が聞こえた。
「あ、引き止めちゃってごめんね」
「ううん、サキの話聞けるの嬉しいよ。じゃあまたね!」
手を振って走る彼を見送り、ピンクのスイカは大事にしまう。
やっぱりリューク、スイカ好きなんだなぁ。キーホルダーあんなに気に入ってくれて。
それが若干的外れなことに私は気付かず、気合を入れて仕事に向かったのだった。
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