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――愛する者とのセックスよりも、嫌悪する者とのセックスの方が気持ちいい。
この言葉を初めて聞いたのは何歳の頃だっただろうか。
結論から言えば、これは少し間違っている。
の方が気持ちいい、ではない。
の方が死ぬほど気持ちいい、が正解だ。
「ちょっとマジで気持ち悪いんだけど。生理的に無理だわー」
三年生グループの中の一人が僕を見ながら吐き捨てるようにそう言った。周囲にいた奴らは発言に乗るように僕を見て嘲笑している。
僕はただ、先輩が落としたヘアピンを拾っただけだ。移動教室で教科書を持って急いで廊下を歩いていると、前方から歩いてきた三年生のグループが目に入った。
陰キャの俺ですら知ってる陽キャグループ。その陽キャグループ内でもひと際目立つ女子がいる。それが、小堺アキだ。
自主性を重んじるという名目で異常なまでに校則が緩い我が校においても、ショートカット金髪+両耳に数えられないほどのピアスで学内でもトップクラスに派手な女子だ。
Dカップはあるだろうか?ふっくらとした胸と、若干むっちりした太もも。性格を表したキツネ目…。
絶対にセックスしたら気持ちいいだろうなぁ…といったプロポーションの持ち主だ。
「ソレ、もういらない。捨てといて」
小堺アキは落ちたヘアピンを拾っている僕に向かって一瞥もせずにそう言うと去って行った。彼女が僕のすぐそばを通る時に、柑橘系の香りが仄かに感ぜられた。
振り返って三年生グループを見る。小堺アキを含む先輩女子四人が何やらにこやかに話しながら歩いて行く。もう既にヘアピンを落とした事も、それを僕が拾ってしまった事も、暴言を吐いた事も記憶に残っていないかもしれない。路傍の石に少し躓いたけど、体勢を立て直してしまえば過去の話だ。
休憩時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。生徒が慌ただしげに教室へと入っていく。
数十秒もすれば、もう廊下には誰もいなくなった。
ふむ。
手元に残ったヘアピンを見ながら考える。なんて事ない唯のヘアピンだ。大して価値があるようにも思えない。だからこそ彼女は特に執着する事もなく、僕が触れた事によってヘアピンは僕というゴミが触れた汚い物と考えたのだろう。
どう好意的に考えても気分の良い話ではない。不愉快極まりない話だ。
沸々と、どす黒い感情が脳内を埋め尽くす。小堺アキの対応は虐めとかではない。むしろ虐めよりももっと酷い。生理的嫌悪、とでも言えばいいだろうか?
別に僕はそこまで言われるほどに不潔であったりする事はない。確かに相貌は中の下以下かもしれないが、顔を見ただけで腹立たしくなるほどに嫌悪感を抱かれる程のみてくれではないと思っている。普通に友達はいるし、クラスの女子とも日常会話程度はする。
こんな僕でも、実は付き合った事だってあるのだ。まぁ、その経緯は何とも言えないものだったが……。
「…って事があったんだけど、ひどくないです…かっ!」
そう言いながら思いっきり腰を前へ振る。完全にこれは八つ当たりだなと自覚しながらも、目の前にある華奢な身体に向けて力の限り打ち付ける。
すぱぁんっ!という腰を打ち付ける音と共に背中にじわりと浮かんだ汗が少しだけ揺れた。それが面白くて、何度も何度も腰を打ち付けてしまう。後背位は顔が見えないのが難点だが、それを補って有り余るメリットとして支配している感覚を直に感じられる。
「んっ!んんっ!…あんっ!!」
おっと、強く何度も打ち付け過ぎたか。少しくぐもった嬌声の中に若干の痛みを感じる声を上げる。
それすらも快感のスパイスだと言えば悪くはない響きだが、僕には加虐を愉しむ趣味は無い。声を張り上げないように枕に強く顔を押し付けながらも、僅かばかりに漏れ出る声が何とも淫靡に響く。声を必死に抑えようとして肢体が強張っている。伴って股にも力が入るから、締まりが良くなる。それが気持ちよくて更に強く腰を打ち付けてしまうのだ。
◆◇◆◇
「…ねぇ?さっきから聞いてます?……先生」
背中に抱き着きながら耳元でそう呟く。首筋をちろりと舐めると、汗といつも付けている香水の香りがした。
「こんっ…な状態で…聞けるわけないでしょっ!…んひぃっ♡」
枕越しでも分かる、怒気を強く含めた声で先生はそう言う。でも僕は知っている。
「でも、先生バック好きじゃん。さっきからバカみたいに濡れてるし」
そう言って腰をグッと奥に押し込むと「んんっ♡」と言葉にならない言葉が返ってきた。
本当にバカみたいにポタポタと愛液が溢れてきて、なんだか面白かった。
腰を引き、先生の膣から抜いてしまう。「えっ」と小さく呟く先生を無視して、うつぶせ状態だった先生を無理やり引っ張って仰向けに入れ替えた。
強張らせていた身体は陰茎を抜かれた拍子に脱力してしまい、結果的に何の抵抗もなく先生は僕と見つめあう体勢になってしまった。
拍子抜けしていた先生の感情が徐々に、怒りの、屈辱を、媚びを孕んだ表情へと変わる。
ころころと変わっていく先生の表情が面白くて、ついニヤけてしまった。先生自慢のサラサラ黒髪ロングの前髪が、先程までの攻めで頬や額に汗でへばりついているのも煽情的で悪くない。
「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
僕の腰を打ち付ける音と、先生の喘ぎ声が保健室に静かに響いた。
◆◇◆◇
廊下からは何の音も聞こえない。もう授業はとっくに始まっている。
ヘアピンを拾った僕は、すでに教室にみんなが消えてしまった無人の廊下を歩き、そのままノックすらせずに保健室の扉を開け、そのまま鍵を掛けた。もちろんその際に扉にかかった「在席中」の看板を裏向けて「離席中」にする事も忘れない。
先生……秋山先生は、ノックもせずに入ってきた僕を見て目が合った。目が合った時に少しだけ見開いたが、すぐに視線を外すと、不快感を露わにして大きくため息を吐いた。
温和な顔立ちだと生徒からも言われているのに、僕に向ける表情は温和とは程遠い。それらの原因が僕自身だというのは一番理解している。タートルネックのセーターにカーキのフレアスカート、取って付けたように羽織った白衣は、養護教諭としての権威ではなく、どこかコスプレ感を感じさせてしまう。
生徒からは親しみを込めて秋山先生ではなく、みなみ先生、と呼ばれているのもきっとそれが大きな要因だろう。
今年で32歳、160センチに僅かに届かない身長でセミロングの整えられた黒髪はとても丁寧に手入れされている事がわかる。
「もう授業ははじまって…」
椅子に座ったまま、いかにも億劫そうに言葉を発する先生を無視して、僕は服を脱ぎ始めた。
「………」
途中で言葉を切ってしまった先生は、何も言わずに脱ぎ始める僕を睨みつける。
まずは靴を脱ぎ、踝までの靴下を脱ぐ。ベルトを外してズボンを脱ぐと、パンツも脱いでしまう。すでにいきり立った状態の陰茎を、先生はチラッとだけ見た。まるで汚物でも見るような目で。でも、額に浮かぶ汗が僕には見えましたよ。
「早くしてくださいよ先生。時間無いんだから」
ネクタイを外しながら先生にそう言って急かす。時計を見るとすでに三限目が始まって5分過ぎている。カッターシャツのボタンを外してそこらに脱ぎ捨てると、インナーシャツも同様に脱ぎ捨てた。
もう僕は素裸だ。そんな裸の僕を、一部だけがいきり立った状態の僕と、まだ白衣すら脱いでいない先生。
先生は僕から視線を外し、窓に視線を向けた。窓は閉まっているが、カーテンは閉じられていない。三限目は体育のクラスが無かったのか、窓から見える校庭には人の姿は無いようだ。
二回ほど窓と僕を見た後、額に手を当てて項垂れるように、はぁ…と再度ため息を吐くと、先生は立ち上がってカーテンを閉じた。
窓から注いでいた陽の光がカーテンで遮られる。室内の光量が落ちた。
先生は窓際に立ったまま、僕に背を向けた状態のままで服を脱ぎ始めた。そのまま全ての服を脱ぎ捨てると、最後に左手薬指から指輪を抜き取り、僕に視線を向けないまま事務机まで歩いていくと、書きかけのままだった書類の上にシンプルな指輪を置いた。それは先生のほんの少しの抵抗だったのだろうか。
◆◇◆◇
「気持ち悪い……」
心底から嫌悪を感じたのか端的な言葉を小さく呟く先生。
正常位で見つめあう形の先生と僕。真っ白な保健室のベッドの上で、互いに裸となって見詰めあっている。先生は先程までの行為で汗を浮かばせ、頬は上気している。
年相応には垂れた、だが十分に綺麗な乳房を両手で包み込むように揉む。声が出るほどではないが気持ちいいのだろう、先生は目を閉じてじんわりと流れる快感に身を委ねている。
「僕は気持ち悪いですか?」
「えぇ、今の貴方の表情は凄く気持ち悪いわ。他の女子に罵倒されても仕方ないくらいに、ね」
目を閉じたまま馬鹿にするような言い方で先生が言う。
なんだ、ちゃんと聞いてんじゃん、と胸中で思った。
先程まで先生の膣に挿入していた陰茎でクリトリスをこするように前後させる。愛液で濡れた亀頭を重点的にクリトリスへ当てる。
「ぅんん…♡んっ♡……んぁっ♡」
亀頭でクリトリスを潰すようにこする度に先生が小さく喘ぐ。
なんだか先生を性的に虐めてたら段々と小堺アキの言葉もどうでも良くなってきた。……だって
「でもあれですよね、感情は必ずしもセックスの気持ち良さとは一致しないという事が判明しているだけで、今はいいかな」
そう言いながら腰を少し引くと、陰茎をゆっくりと先生の膣に埋めていく。入れるのではなく、膣内を僕の陰茎で一ミリの隙間も無く埋めるように意識しながらだ。
先生は両手を口に持っていき、必死に喘ぎ声が出ないように我慢しているみたいだ。ぎゅっと目を瞑り、眉間に皺を寄せて…。折角の端正な顔立ちが勿体ないな、と思いながらも歪んだ先生の顔が僕の劣情を刺激する。
すでにしとどに濡れそぼっている先生の膣は、ずるんっ、と全く抵抗なく僕を受け入れる。奥までしっかり埋めきると、一瞬強く先生の顔が歪んだ後、目を見開いて、キッと僕を睨んだ。
だが、表情とは裏腹に、ゆっくりと、断続的に膣が締め付けてくる。その快感は僕の陰茎を刺激し、そして先生の膣内も刺激する。もともと女性の方がセックスの快感が高いとよく聞くが、先生の表情を見ていると本当にそうなのだろうな、と思えるから面白い。
精神は確かに僕を嫌悪しているはずなのに、肉体は確実に僕を求めているんだ。
僕の事を嫌悪すればするほど、もっと…もっと奥まで、膣奥まで入ってきて欲しい。満たして欲しいと伝えてくる。
「どれだけ気持ち悪がられても、嫌いでも、セックスの気持ち良さは別次元ですもんね」
そう言って、喘ぎ声を我慢する為に塞いでいた先生の両手を払いのける。
もう僕が何をするのか分かっているのであろう、少しずつ顔を近づける僕を再度睨むと
「……本当に、一度死ねばいいと思うわ」
先生はそう言いながら両手を僕の首に抱き着くように回してきた。
僕も同じように先生の首に抱き着き、唇を合わせるよりも先に舌先を合わせ、そのままの勢いで先生の口内を一頻り蹂躙するように貪る。
ぎゅうぎゅうに締め付けてくる膣に、少しだけ腰を動かす。たったそれだけで先生の膣は僕がこれからする事を察知する。……また気持ちよくしてくれるんだ、と。
抱きしめあいながら、激しいキスをする。互いに舌を激しく交差させ、唾液を交換する。先ほどまでコーヒーを飲んでいたのだろうか?微かに匂うコーヒーの香りと先生の少しばかりの口臭。舌先で歯をなぞるように舐めると、喘ぎ声を上げそうになった先生は、抱きしめる力がぐっと強くなった。
必死に我慢するように唇を強く押し当ててきて、「ん“ん”っ♡」とくぐもった喘ぎ声を上げた。
「口を開けてベロ突きだして」
僕の言葉に先生は口を開け、短い舌を僕に向かって精一杯に突き出してくる。
先生の舌に僕の舌を這わせなぞりながら、意識的に唾液を分泌させて舌越しに流していく。よくあるシーンのような唾液をただ垂らすだけなのは僕は好きじゃない。それだと本当に単なる排泄物を吐き出して飲ませているように見えるからだ。あえて舌を合わせそこから唾液を流し込む方が、快楽の為だけに互いを繋ぎ合わせているみたいで興奮する。
僕の舌から流れてきた唾液を、こく、こくとまるで蜂蜜でも飲んでいるかのように先生は飲み干し……絶頂した。
「んんん♡♡……いっっ…いくぅぅっっ!!」
痙攣するように全身を数秒振るわせた後、「…はぁっ、はぁっ」と肩で激しく息をしながら焦点の定まらない視線を僕に向けてくる。よほどの深イキだったのか、瞳孔は見開き、まだこちらの世界に帰ってこない。
ただ、そんな先生をいつまでも待っていられるわけではない。時間は有限だし、制限がある。僕は未だ帰ってこない先生を無視し、先生の腰を両手で掴むと、一気にピストン運動を始めた。
「あ“っあ”っあ“っ…」
あまりある快感は、ある種の痛みと似ている。深イキをしたばかりの膣は未だに少しばかり痙攣している。それでも必死に陰茎を締め付けて刺激させ、自らもその快楽を享楽しようとしている。
膣が発するその意思は、決して先生の意思ではない。もはや理性を飛び越えた本能が求める快楽だ。恐らく先生の脳は快感によって擦り切れそうなほどに刺激されているはずだ。ただ、その刺激が強すぎてもはや痛みすら感じている。
でもそれでも僕はピストン運動をやめない。決して乱暴にただ力任せに腰を振るわけではなく、あくまでも快感を求める為に、浅い場所も深い場所も刺激しながらピストン運動を続けた。
結局、先生の膣内に2回吐精して保健室を出た。僕が制服を着終わってもまだ先生はベッドの上で半気絶のような状態だったけど、そのうちに慌てて起き上がるだろう。そんな事を考えていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、僕は自分の教室へと足を向けた。
この言葉を初めて聞いたのは何歳の頃だっただろうか。
結論から言えば、これは少し間違っている。
の方が気持ちいい、ではない。
の方が死ぬほど気持ちいい、が正解だ。
「ちょっとマジで気持ち悪いんだけど。生理的に無理だわー」
三年生グループの中の一人が僕を見ながら吐き捨てるようにそう言った。周囲にいた奴らは発言に乗るように僕を見て嘲笑している。
僕はただ、先輩が落としたヘアピンを拾っただけだ。移動教室で教科書を持って急いで廊下を歩いていると、前方から歩いてきた三年生のグループが目に入った。
陰キャの俺ですら知ってる陽キャグループ。その陽キャグループ内でもひと際目立つ女子がいる。それが、小堺アキだ。
自主性を重んじるという名目で異常なまでに校則が緩い我が校においても、ショートカット金髪+両耳に数えられないほどのピアスで学内でもトップクラスに派手な女子だ。
Dカップはあるだろうか?ふっくらとした胸と、若干むっちりした太もも。性格を表したキツネ目…。
絶対にセックスしたら気持ちいいだろうなぁ…といったプロポーションの持ち主だ。
「ソレ、もういらない。捨てといて」
小堺アキは落ちたヘアピンを拾っている僕に向かって一瞥もせずにそう言うと去って行った。彼女が僕のすぐそばを通る時に、柑橘系の香りが仄かに感ぜられた。
振り返って三年生グループを見る。小堺アキを含む先輩女子四人が何やらにこやかに話しながら歩いて行く。もう既にヘアピンを落とした事も、それを僕が拾ってしまった事も、暴言を吐いた事も記憶に残っていないかもしれない。路傍の石に少し躓いたけど、体勢を立て直してしまえば過去の話だ。
休憩時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。生徒が慌ただしげに教室へと入っていく。
数十秒もすれば、もう廊下には誰もいなくなった。
ふむ。
手元に残ったヘアピンを見ながら考える。なんて事ない唯のヘアピンだ。大して価値があるようにも思えない。だからこそ彼女は特に執着する事もなく、僕が触れた事によってヘアピンは僕というゴミが触れた汚い物と考えたのだろう。
どう好意的に考えても気分の良い話ではない。不愉快極まりない話だ。
沸々と、どす黒い感情が脳内を埋め尽くす。小堺アキの対応は虐めとかではない。むしろ虐めよりももっと酷い。生理的嫌悪、とでも言えばいいだろうか?
別に僕はそこまで言われるほどに不潔であったりする事はない。確かに相貌は中の下以下かもしれないが、顔を見ただけで腹立たしくなるほどに嫌悪感を抱かれる程のみてくれではないと思っている。普通に友達はいるし、クラスの女子とも日常会話程度はする。
こんな僕でも、実は付き合った事だってあるのだ。まぁ、その経緯は何とも言えないものだったが……。
「…って事があったんだけど、ひどくないです…かっ!」
そう言いながら思いっきり腰を前へ振る。完全にこれは八つ当たりだなと自覚しながらも、目の前にある華奢な身体に向けて力の限り打ち付ける。
すぱぁんっ!という腰を打ち付ける音と共に背中にじわりと浮かんだ汗が少しだけ揺れた。それが面白くて、何度も何度も腰を打ち付けてしまう。後背位は顔が見えないのが難点だが、それを補って有り余るメリットとして支配している感覚を直に感じられる。
「んっ!んんっ!…あんっ!!」
おっと、強く何度も打ち付け過ぎたか。少しくぐもった嬌声の中に若干の痛みを感じる声を上げる。
それすらも快感のスパイスだと言えば悪くはない響きだが、僕には加虐を愉しむ趣味は無い。声を張り上げないように枕に強く顔を押し付けながらも、僅かばかりに漏れ出る声が何とも淫靡に響く。声を必死に抑えようとして肢体が強張っている。伴って股にも力が入るから、締まりが良くなる。それが気持ちよくて更に強く腰を打ち付けてしまうのだ。
◆◇◆◇
「…ねぇ?さっきから聞いてます?……先生」
背中に抱き着きながら耳元でそう呟く。首筋をちろりと舐めると、汗といつも付けている香水の香りがした。
「こんっ…な状態で…聞けるわけないでしょっ!…んひぃっ♡」
枕越しでも分かる、怒気を強く含めた声で先生はそう言う。でも僕は知っている。
「でも、先生バック好きじゃん。さっきからバカみたいに濡れてるし」
そう言って腰をグッと奥に押し込むと「んんっ♡」と言葉にならない言葉が返ってきた。
本当にバカみたいにポタポタと愛液が溢れてきて、なんだか面白かった。
腰を引き、先生の膣から抜いてしまう。「えっ」と小さく呟く先生を無視して、うつぶせ状態だった先生を無理やり引っ張って仰向けに入れ替えた。
強張らせていた身体は陰茎を抜かれた拍子に脱力してしまい、結果的に何の抵抗もなく先生は僕と見つめあう体勢になってしまった。
拍子抜けしていた先生の感情が徐々に、怒りの、屈辱を、媚びを孕んだ表情へと変わる。
ころころと変わっていく先生の表情が面白くて、ついニヤけてしまった。先生自慢のサラサラ黒髪ロングの前髪が、先程までの攻めで頬や額に汗でへばりついているのも煽情的で悪くない。
「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡」
僕の腰を打ち付ける音と、先生の喘ぎ声が保健室に静かに響いた。
◆◇◆◇
廊下からは何の音も聞こえない。もう授業はとっくに始まっている。
ヘアピンを拾った僕は、すでに教室にみんなが消えてしまった無人の廊下を歩き、そのままノックすらせずに保健室の扉を開け、そのまま鍵を掛けた。もちろんその際に扉にかかった「在席中」の看板を裏向けて「離席中」にする事も忘れない。
先生……秋山先生は、ノックもせずに入ってきた僕を見て目が合った。目が合った時に少しだけ見開いたが、すぐに視線を外すと、不快感を露わにして大きくため息を吐いた。
温和な顔立ちだと生徒からも言われているのに、僕に向ける表情は温和とは程遠い。それらの原因が僕自身だというのは一番理解している。タートルネックのセーターにカーキのフレアスカート、取って付けたように羽織った白衣は、養護教諭としての権威ではなく、どこかコスプレ感を感じさせてしまう。
生徒からは親しみを込めて秋山先生ではなく、みなみ先生、と呼ばれているのもきっとそれが大きな要因だろう。
今年で32歳、160センチに僅かに届かない身長でセミロングの整えられた黒髪はとても丁寧に手入れされている事がわかる。
「もう授業ははじまって…」
椅子に座ったまま、いかにも億劫そうに言葉を発する先生を無視して、僕は服を脱ぎ始めた。
「………」
途中で言葉を切ってしまった先生は、何も言わずに脱ぎ始める僕を睨みつける。
まずは靴を脱ぎ、踝までの靴下を脱ぐ。ベルトを外してズボンを脱ぐと、パンツも脱いでしまう。すでにいきり立った状態の陰茎を、先生はチラッとだけ見た。まるで汚物でも見るような目で。でも、額に浮かぶ汗が僕には見えましたよ。
「早くしてくださいよ先生。時間無いんだから」
ネクタイを外しながら先生にそう言って急かす。時計を見るとすでに三限目が始まって5分過ぎている。カッターシャツのボタンを外してそこらに脱ぎ捨てると、インナーシャツも同様に脱ぎ捨てた。
もう僕は素裸だ。そんな裸の僕を、一部だけがいきり立った状態の僕と、まだ白衣すら脱いでいない先生。
先生は僕から視線を外し、窓に視線を向けた。窓は閉まっているが、カーテンは閉じられていない。三限目は体育のクラスが無かったのか、窓から見える校庭には人の姿は無いようだ。
二回ほど窓と僕を見た後、額に手を当てて項垂れるように、はぁ…と再度ため息を吐くと、先生は立ち上がってカーテンを閉じた。
窓から注いでいた陽の光がカーテンで遮られる。室内の光量が落ちた。
先生は窓際に立ったまま、僕に背を向けた状態のままで服を脱ぎ始めた。そのまま全ての服を脱ぎ捨てると、最後に左手薬指から指輪を抜き取り、僕に視線を向けないまま事務机まで歩いていくと、書きかけのままだった書類の上にシンプルな指輪を置いた。それは先生のほんの少しの抵抗だったのだろうか。
◆◇◆◇
「気持ち悪い……」
心底から嫌悪を感じたのか端的な言葉を小さく呟く先生。
正常位で見つめあう形の先生と僕。真っ白な保健室のベッドの上で、互いに裸となって見詰めあっている。先生は先程までの行為で汗を浮かばせ、頬は上気している。
年相応には垂れた、だが十分に綺麗な乳房を両手で包み込むように揉む。声が出るほどではないが気持ちいいのだろう、先生は目を閉じてじんわりと流れる快感に身を委ねている。
「僕は気持ち悪いですか?」
「えぇ、今の貴方の表情は凄く気持ち悪いわ。他の女子に罵倒されても仕方ないくらいに、ね」
目を閉じたまま馬鹿にするような言い方で先生が言う。
なんだ、ちゃんと聞いてんじゃん、と胸中で思った。
先程まで先生の膣に挿入していた陰茎でクリトリスをこするように前後させる。愛液で濡れた亀頭を重点的にクリトリスへ当てる。
「ぅんん…♡んっ♡……んぁっ♡」
亀頭でクリトリスを潰すようにこする度に先生が小さく喘ぐ。
なんだか先生を性的に虐めてたら段々と小堺アキの言葉もどうでも良くなってきた。……だって
「でもあれですよね、感情は必ずしもセックスの気持ち良さとは一致しないという事が判明しているだけで、今はいいかな」
そう言いながら腰を少し引くと、陰茎をゆっくりと先生の膣に埋めていく。入れるのではなく、膣内を僕の陰茎で一ミリの隙間も無く埋めるように意識しながらだ。
先生は両手を口に持っていき、必死に喘ぎ声が出ないように我慢しているみたいだ。ぎゅっと目を瞑り、眉間に皺を寄せて…。折角の端正な顔立ちが勿体ないな、と思いながらも歪んだ先生の顔が僕の劣情を刺激する。
すでにしとどに濡れそぼっている先生の膣は、ずるんっ、と全く抵抗なく僕を受け入れる。奥までしっかり埋めきると、一瞬強く先生の顔が歪んだ後、目を見開いて、キッと僕を睨んだ。
だが、表情とは裏腹に、ゆっくりと、断続的に膣が締め付けてくる。その快感は僕の陰茎を刺激し、そして先生の膣内も刺激する。もともと女性の方がセックスの快感が高いとよく聞くが、先生の表情を見ていると本当にそうなのだろうな、と思えるから面白い。
精神は確かに僕を嫌悪しているはずなのに、肉体は確実に僕を求めているんだ。
僕の事を嫌悪すればするほど、もっと…もっと奥まで、膣奥まで入ってきて欲しい。満たして欲しいと伝えてくる。
「どれだけ気持ち悪がられても、嫌いでも、セックスの気持ち良さは別次元ですもんね」
そう言って、喘ぎ声を我慢する為に塞いでいた先生の両手を払いのける。
もう僕が何をするのか分かっているのであろう、少しずつ顔を近づける僕を再度睨むと
「……本当に、一度死ねばいいと思うわ」
先生はそう言いながら両手を僕の首に抱き着くように回してきた。
僕も同じように先生の首に抱き着き、唇を合わせるよりも先に舌先を合わせ、そのままの勢いで先生の口内を一頻り蹂躙するように貪る。
ぎゅうぎゅうに締め付けてくる膣に、少しだけ腰を動かす。たったそれだけで先生の膣は僕がこれからする事を察知する。……また気持ちよくしてくれるんだ、と。
抱きしめあいながら、激しいキスをする。互いに舌を激しく交差させ、唾液を交換する。先ほどまでコーヒーを飲んでいたのだろうか?微かに匂うコーヒーの香りと先生の少しばかりの口臭。舌先で歯をなぞるように舐めると、喘ぎ声を上げそうになった先生は、抱きしめる力がぐっと強くなった。
必死に我慢するように唇を強く押し当ててきて、「ん“ん”っ♡」とくぐもった喘ぎ声を上げた。
「口を開けてベロ突きだして」
僕の言葉に先生は口を開け、短い舌を僕に向かって精一杯に突き出してくる。
先生の舌に僕の舌を這わせなぞりながら、意識的に唾液を分泌させて舌越しに流していく。よくあるシーンのような唾液をただ垂らすだけなのは僕は好きじゃない。それだと本当に単なる排泄物を吐き出して飲ませているように見えるからだ。あえて舌を合わせそこから唾液を流し込む方が、快楽の為だけに互いを繋ぎ合わせているみたいで興奮する。
僕の舌から流れてきた唾液を、こく、こくとまるで蜂蜜でも飲んでいるかのように先生は飲み干し……絶頂した。
「んんん♡♡……いっっ…いくぅぅっっ!!」
痙攣するように全身を数秒振るわせた後、「…はぁっ、はぁっ」と肩で激しく息をしながら焦点の定まらない視線を僕に向けてくる。よほどの深イキだったのか、瞳孔は見開き、まだこちらの世界に帰ってこない。
ただ、そんな先生をいつまでも待っていられるわけではない。時間は有限だし、制限がある。僕は未だ帰ってこない先生を無視し、先生の腰を両手で掴むと、一気にピストン運動を始めた。
「あ“っあ”っあ“っ…」
あまりある快感は、ある種の痛みと似ている。深イキをしたばかりの膣は未だに少しばかり痙攣している。それでも必死に陰茎を締め付けて刺激させ、自らもその快楽を享楽しようとしている。
膣が発するその意思は、決して先生の意思ではない。もはや理性を飛び越えた本能が求める快楽だ。恐らく先生の脳は快感によって擦り切れそうなほどに刺激されているはずだ。ただ、その刺激が強すぎてもはや痛みすら感じている。
でもそれでも僕はピストン運動をやめない。決して乱暴にただ力任せに腰を振るわけではなく、あくまでも快感を求める為に、浅い場所も深い場所も刺激しながらピストン運動を続けた。
結局、先生の膣内に2回吐精して保健室を出た。僕が制服を着終わってもまだ先生はベッドの上で半気絶のような状態だったけど、そのうちに慌てて起き上がるだろう。そんな事を考えていると授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、僕は自分の教室へと足を向けた。
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