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第二章 オーナー就任んん!!??

7.オーナー就任!!!

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 気が付いたら俺はフィールドに立っていた。

 もうすでに選手や観客の姿は見えない。相変わらずこの仕組みはどうなってんのかね?

 「やりましたねオーナー!ついにJ3昇格決定です!」

 スタジアム入口で一緒にいた女性が右手を高く上げて喜びながら笑顔で俺に言う。ヘルプ女子とやっぱりよく似てるな。
 するとどこからともなく大量の紙吹雪が降ってきて、いかにもお祝いをする時みたいだ。しかもこの紙吹雪、地面に付く前に消えてしまう。上を見ると、俺と女性の付近だけどこからともなく湧いてきた紙吹雪がひらひらと降ってくるのが見えた。なにこの不気味仕様は。

 ぽーーん♪

 コミカルな音が鳴り響く。

 『まずはチュートリアルクリアおめでとうございますオーナー♪』

 周囲の視界が若干の灰色がかる。あ、ヘルプ女子が出てきた。ヘルプ女子だけに色が付いていて、フィールドや観客席は灰色になってしまっていた。ふと、ヘルプ女子の後ろを見ると女性は笑顔で右手を上げたまま固まってしまっている。

 『まずはチュートリアルクリアの報酬を決めてくださいね♪次の選手の中から1名を獲得しましょう!』

 そう言うと目の前に画面が現れた。そこには4名の選手が表示されている。ここから選べという事なんだろう。

 「怒涛の展開過ぎるんだけど…」

 『どの選手もオススメですよー♪』

 「えっ、会話出来んの⁉」

 『ハイ、もちろんでーす♪』

 なんと、ヘルプ女子は会話も出来るヘルプ女子だった。

 「ここは一体どこなの?なんで俺はこんなところにいるの?」

 『ここは一ノ瀬市にあるパラディス一ノ瀬の本拠地ですね♪オーナーはゲームの世界に紛れ込んじゃったみたいですね♪』

 「意味がわからん…。一ノ瀬市とか聞いた事ないし。現実に戻る方法は無いの?」

 『まずはゲームクリアを目指しましょう♪J1優勝がクリア目標でーす』

 「クリアしたらどうなるのさ?」

 『まずはゲームクリアを目指しましょう♪J1優勝がクリア目標でーす』

 ヘルプ女子はそれ以降、壊れたおもちゃのように同じ言葉を繰り返し、何も話してくれなくなってしまった。これ以上は今の時点では答えてくれないという事なのか。

 「とりあえずチュートリアルのクリア報酬を決めるか」

 ヘルプ女子への質問を諦めて画面へ視線を戻す。どうやら4名は各ポジション別にピックアップされたようだった。能力を見る限り、どの選手も十分に即戦力だろう。ってか即戦力じゃなかったらクリア報酬にならんしな。

 それほど迷う事無く俺は一人の選手に決めた。

●ディディ 23歳 (BRA/在籍0年)★2
 ポジション :MF(セントラルハーフ)
 得意エリア :中央
 成績    :0試合 0ゴール・0アシスト
 オフェンス :D
 ディフェンス:G
 スタミナ  :E
 メンタル  :D
 フィジカル :D
 スキル   :司令塔(Lv.2)
 特徴    :ムードメーカー
 得意戦術  :ポゼッション
 得意システム:4-3-3 A

 この選手、ディディを選んだのにはいくつかの理由がある。まずは致命的に攻撃的選手が不足している事。

 前原を守備的MFに急遽コンバートしたが、長いシーズンを戦い抜く上で、前原・稲垣のホットラインだけに攻撃を依存するのは危険過ぎるからだ。勿論、強い武器の一つではあるが前原のパス待ちだけでは稲垣を活かしきれない。前原を抜いたDFラインは当然弱体化している。そうすると前原を常に攻撃に向けるのは不可能だ。最終節前半のように稲垣が前線で孤立している姿を何度も目にするかもしれない。攻撃陣に選手を投入するのは不可避だった。

 そうなるとMFもしくはFW選手のいずれかとなるが、FWを獲得しても結局は稲垣孤立の問題は解決しない。稲垣と二人でオフェンスラインを構築する事を期待出来るかもしれないが、そもそも前線へパスが運ばれなければ意味がない。それに用意されていたFW選手が日本人なのも気になった。稲垣との連携を構築出来ないかもしれないからだ。

 その点、ディディはブラジル人だ。特徴にムードメーカーもある。もしかすると稲垣と周囲との軋轢解消にも期待できるかもしれない。スキルは司令塔(Lv.2)があるし、能力全般も現時点で他選手と比べてもかなり高い。

 前原→稲垣のホットライン以外でも、ディディを起点としてボールを集めれば十分に攻撃陣活性化を期待出来る。出場は外国人枠だが、チームには日本人しか所属していないから全く問題ない。

 俺はディディ獲得を決めて、【この選手を獲得】をタッチした。

 『ぱんぱかぱーん♪ディディ選手獲得おめでとうございまーす♪とってもいい選手なので可愛がってくださいね♡それでは続いて設定でーす』

 ここからはよくある初期設定が続いた。本拠地・ユニフォームデザイン・秘書の設定…。どれも好きに設定出来たが変更するのはやめる事にした。確かにこの世界はゲームの中だが、簡単に俺の好みで変更するのは憚られた。ちなみに秘書さんの名前は本田 椿さんだと判明した。

 『ゲームは1年目1月から開始されます。スタート時点での所持資金は200,000,000円です。潤沢な資金のように見えますが気を付けないとすぐになくなっちゃいますからね♪細かい説明書はありません。オーナー自身で色々と楽しみながら試してみてね♪』

 「ちなみにゲームクリア出来なかったらどうなるんだ?それに資金が無くなったらどうなる?」

 『ゲームオーバーですね。どうなるか試してみるのはあまりオススメはしませんよー♪』

 「…え?そんなにヤバいの?」

 『んふふー♪』

 いやいや『んふふー♪』 じゃねぇよ。こわすぎんだろーが。

 『ゲームクリアの際にはもっちろん報酬もありますから頑張ってくださいね♪』

 「報酬?もう内容は決まってんの?」

 ここまでの話を聞いていると胡散臭すぎて全然信用出来ない。

 『決まってますよー♪様々なチートを持って現実世界に帰還出来ちゃいます!ファンタジーでよくある言語理解のスキルとかアイテムボックスとかもありますよー♪』

 「マジで!?そんなのもらったら後の人生余裕じゃんか!」

 『ですねーなので頑張ってクリアしましょー♪』

 ヘルプ女子はそう言って右手を高く上げながら『おー♪』と掛け声を上げた。俺も思わずおー!と一緒になって右手を上げながら声を出す。


 とにかくやるしかないんだな。なら最速クリアを目指そう。そうすればこの世界からも脱出出来るし、現実世界に戻った後もチートをゲット出来る!



 こうしてここに、パラディス一ノ瀬をオーナーとしてJ1優勝へと導くミッションが開始された。
 

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