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18話
私と、僕が思うこと
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18
side 望未
孤児院での記憶を取り戻して、私は部屋で記憶について整理していた。今まで会った人のこと、もう会えない人のこと、失ったもの、受けた恩、返せないもの、考えれば考える程キリがなかった。真瀬さんは私の記憶については何も知らないようだったから、どう接していいか分からなかった。最初に言われたことが心に引っかかってもいた。
「記憶を取り返して行く内に貴女様は貴女様の知らない人々や景色と出会うことがあると思われます。けれどそれらは過去のもの。決して今の貴女様が取り戻そうとしてはいけません。」
そうなのだろう。それは、勿論その通りなのだろう。私が取り戻した記憶は過去のもの。取り戻そうとするつもりはない。けれど私の中に芽生えた違和感。私の幼馴染である夏生くん。どうしているかは分からなかった。生きているかさえ確信が持てなかった。それでも、もしかしたらという淡い期待がある。期待、と呼べるかどうかもわからないものだけれど。私の予感が当たっているなら近い内に会いに来てくれる。ねえ。こんな言い方はおかしいかもしれないけれど、待っていてもいいですか。
____side夏生
今朝はいつもより早く目が覚めた。彼女に会いに行く。すべてを話しに。今まで思い描いたこと、まだ語っていない彼女の記憶にまつわるすべてについて向き合うために。怒るかな、僕を恨むかな。全部を話す義務がある。彼女への伝言は真瀬に託した。きっと伝わっているだろう。僕だと彼女は気付かないかもしれない。それでも会いに行くし、話さなければいけない。語らなければならない。僕の脳内は昨日の研究途中から、正確には彼女の記憶がどこまで戻ったかを確認した後、彼女のことを考えながら夜更かしをして、上手く眠れなくて、色んなことを考えていた。僕を思い出した彼女の感情は、確かに僕に向いているけれど。
それでも、僕がこれからしようとしていることは、その弱みみたいなものに付け込むような気がして、決意をしても揺らぎそうになる心がある。僕は彼女からどう思われたいのだろう。会う前からそんなことばかりを考えてしまう。きっと彼女を前にすれば、もう他人のふりは出来ない。名前のつかない感情を僕はあの日からずっと抱えている。
彼女に話す時に整理しながら話せたならいい。
side 望未
孤児院での記憶を取り戻して、私は部屋で記憶について整理していた。今まで会った人のこと、もう会えない人のこと、失ったもの、受けた恩、返せないもの、考えれば考える程キリがなかった。真瀬さんは私の記憶については何も知らないようだったから、どう接していいか分からなかった。最初に言われたことが心に引っかかってもいた。
「記憶を取り返して行く内に貴女様は貴女様の知らない人々や景色と出会うことがあると思われます。けれどそれらは過去のもの。決して今の貴女様が取り戻そうとしてはいけません。」
そうなのだろう。それは、勿論その通りなのだろう。私が取り戻した記憶は過去のもの。取り戻そうとするつもりはない。けれど私の中に芽生えた違和感。私の幼馴染である夏生くん。どうしているかは分からなかった。生きているかさえ確信が持てなかった。それでも、もしかしたらという淡い期待がある。期待、と呼べるかどうかもわからないものだけれど。私の予感が当たっているなら近い内に会いに来てくれる。ねえ。こんな言い方はおかしいかもしれないけれど、待っていてもいいですか。
____side夏生
今朝はいつもより早く目が覚めた。彼女に会いに行く。すべてを話しに。今まで思い描いたこと、まだ語っていない彼女の記憶にまつわるすべてについて向き合うために。怒るかな、僕を恨むかな。全部を話す義務がある。彼女への伝言は真瀬に託した。きっと伝わっているだろう。僕だと彼女は気付かないかもしれない。それでも会いに行くし、話さなければいけない。語らなければならない。僕の脳内は昨日の研究途中から、正確には彼女の記憶がどこまで戻ったかを確認した後、彼女のことを考えながら夜更かしをして、上手く眠れなくて、色んなことを考えていた。僕を思い出した彼女の感情は、確かに僕に向いているけれど。
それでも、僕がこれからしようとしていることは、その弱みみたいなものに付け込むような気がして、決意をしても揺らぎそうになる心がある。僕は彼女からどう思われたいのだろう。会う前からそんなことばかりを考えてしまう。きっと彼女を前にすれば、もう他人のふりは出来ない。名前のつかない感情を僕はあの日からずっと抱えている。
彼女に話す時に整理しながら話せたならいい。
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