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アルフの変化

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「ダメだ、もっと……ゆっくり……っ、して……くれ!」

 先程から腹の奥が甘く痺れていて、射精とは違ったものが込み上げてきていて焦る。

「待って、アルフ……ッ、出そうっ、待って……くれ!」
「うーん、それって多分……っ、潮じゃないかな? 出しちゃいなよエド」
「え、え? 嘘……っ、無理! 無理だ、アルフ、ぅあ、あああ、あ、んんん!」

 プシャ、と音が立ち小さな水飛沫が飛んでシーツに吸い込まれていく。

「ほらね」

 恥ずかしくて堪らない。
 羞恥なのか快感なのか、ビクビクと揺れ動く体の動きを止められずにいると「そろそろかな」と言うアルフレッドの声が聞こえた。

「な……に?」
「エド、舌噛まないようにしてて? 奥が開いてきてるからそこに挿れたい。良い?」

 指し示すように下っ腹を撫でられ、何の事か分かって小さく頷いた。
 奥まで差し込まれて、更にその奥を目指して少し強めに腰を打ちつけられる。

「ひ、ぁあ、あ、ああ、あーー!」

 一瞬快感で意識が飛んだ。
 それからはアルフレッドの発情期が終わるまでセックス漬けの日々になってしまい、結局また身籠る羽目になる。
 言わずもがな結婚式は延期になってしまった。






 王の計らいで、大学院に復帰出来たものの、これ以上はもう休学したくなくて、身重ながらも頑張って通っていた。
 万が一の場合を考えて、寮の部屋はアルフレッドと同じ部屋に割り当てられている。

「僕の自由がかえってきた」

 久しぶりの大学院を見て、泣きそうなくらいに嬉しくなった。
 夢が叶う。魔法師になって色々な事をしたいという夢が。
 卒業さえすれば魔法師としての資格を取れる。この上ない程に嬉しい。もう能力を隠す必要もない。
 まだ実感はないけれどじわりじわりと胸の奥が温かくなってきて、口を引き結んだまま俯いた。

「一緒に卒業しようね。その前に休んでた分の勉強も頑張らないといけないけどね」

 アルフレッドの言葉を聞いて、フッと笑みを浮かべる。

「問題ない。僕は目立ちたくなかったのもあって、今までは態と成績を落としていたんだ。三年生までの授業内容なら全て頭の中に叩き込んでいる」
「エドさあ、どこまでチートなの」
「それはアルフも同じだろう。水龍作るのに僕は一週間もかかったんだぞ。あんないとも簡単に創って完璧に操られると困る」
「その前にエドと色々創ってきてたからね。それが功を奏しただけだよ」

 互いに顔を見合わせて笑った。

「僕はアルフと関わり合うようになるまで、勉強と読書しかやる事がなかったんだ。読書は元々好きだしな」

 引き寄せて口付けると、アルフレッドが顔を赤くして片手で口元を覆ってしまった。

「アルフは自分からは色々凄い事してくるくせに、やられるのには弱いよな」
「それエド限定だよ。俺、基本的に他人に触られるの好きじゃないからね」

 意外だった。目を瞬かせる。

「エドも復帰した事だし、卒業して資格取れたらギルドに魔法師登録しようね。ギルド通して依頼された仕事もやってみたい」
「それ楽しそうだ!」
「あと、エドは魔法の他に護身術や剣術も覚えておこうね。俺も久しぶりにやろう」

 今回、魔法力を封じられて何も出来ない自分に一番絶望した。悔しくて悲しくて堪らなく惨めで仕方なかった。

「やりたい! アルフ、嬉しい!」

 降ってきた口付けを受け入れた。








「エドは飛行実技の授業は見学して!」
「何でだよ! あれの楽しさを教えたのはアルフだろ」

 王宮に入るようになってから、過保護になってしまったアルフレッドの扱いがよく分からない。妊娠しているからというのもあるが、度を超し過ぎている気がする。今日もまた言い合いになった。

「またやってますね、あの二人」
「ですね。ティルバーン君も変わりましたよね。でも、すぐ終わりますよ……ほら」

 合同授業の魔法薬学で仲良くなったトピアとウィルソンが続いて喋っている。

「俺が一緒に乗る。それが最低条件ね」

 ニッコリと微笑まれて告げられた。

「はあ…………」

 ——本当の狙いはこれか……。

 果てしなく深いため息が溢れる。
 さっきまでの不機嫌さは演技だったのか? と聞きたくなるくらいに上機嫌になったアルフレッドが後ろに跨り、箒は空に浮いて行った。

「この授業だとエドと堂々とイチャつけるから好き」
「その理由はどうかと思うぞ」

 失礼な程の笑い上戸男が、過保護&スキンシップ過多男に変わってしまったのが最近の悩みの種だ。そして前以上に離してくれない。

 ——どうしてこうなった?

 王宮でも部屋でも大学院でも一緒なのは嬉しいのだが、たまに一人の空間が恋しくなるのはどうしてだろうか。

「アルフ、お前さ……」

 言いかけてやめた。アルフレッドがまた遠い目をして考え事をしているのが分かったからだ。
 獣人族の国に住むようになってからその表情を見る事が多くなった。


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