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番外編

番外編1、積極的になる朝陽くん

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※背後注意。



「これは一体何の試練だ……?」
 ダイニングから続く和室の中で、畳の上に深く腰掛け、ニギハヤヒは天井を仰いでいた。
 早めに仕事が終わり帰ってきたのはいいが、何故か朝陽に服を脱がされ、かれこれ三十分はこのままだ。
 視線を下に落とせば、顔を赤くした朝陽が視界に入る。
 はふはふと少し苦しそうに息を吐き出しながらも、己の陰茎を手で包み込み舌を伸ばしていた。
 眼福である。
 しかし、先程からずっとイケもせず寸止め状態だった。
「朝陽、そろそろ儂にも触らせろ」
「ん……、ダメだ」
「これ以上咥えとくと顎を痛めるぞ?」
「平気だ。自分で……、んぅ、慣らしてるからもう少し……」
「今なんて?」
 口淫を施しながら自身の後孔を広げている朝陽の姿があって……眼福お礼二度目である。と同時に触れないのも挿入出来ないのもイけないのも拷問に近い。
「朝陽……それは儂にやらせろ」
「俺がやるから駄目だ」
「駄目かー……」
 ニギハヤヒは二度目の天を仰いだ。
 このままでは、今日仕事に行っている家の奴らと育児班が帰ってきてしまう。何とかしようと、ニギハヤヒは逡巡した。
「このまま一階にいるとチビ共が帰ってきて見られるぞ。二階へ移動せんか?」
 そう言えば、朝陽は大人しく顔を上げた。強制発情させたわけでもないのに、朝陽の目は蕩けまくっていて、頬も普段より赤みが強い。
 ハッハッと荒い吐息をついているのも扇情的で欲を煽られる。
 朝陽の腕を引いて、正面から抱き上げると階段を登った。
「んー、ニギハヤヒッ、ニギハヤヒ」
「腹が切ないか?」
「ん、切ない。中……欲しい」
 肩を揺らして笑う。さっきまで散々人にお預けを喰らわしていた本人が一番興奮しているのはどうなんだ、と思いつつニギハヤヒは階段を上がりながら朝陽の後孔を指でかき混ぜた。
 朝陽の指の太さとはかなり違う。体格に見合った太くて長い指が朝陽の内部をかき回す。
「ん、あっあ」
 口淫をしながら体も仕上がりきっていたらしい。
 朝陽はすぐに追い詰められて、絶頂を登ろうとしていた。そこで、指を抜く。
「ああっあ、ニギハヤヒ……ぃ! 何で……っ」
「お前がそれを言うのか」
 散々焦らされたこちら側としては同じ様に焦らしてやりたいが、いかんせん時間がない。
「指ではなく、儂のを咥え込みながらイけ」
 ベッドの上に腰掛けて対面座位のまま貫いた。
「あっ、あああ、んぅ……ッうああ!」
 挿入しながらイったのか逃げ腰になっているのを掴んで、腰の上で大きく弾ませてやると朝陽の声が切なげに揺れた。
「あー、ニギハヤヒいいなー。私も混ぜて?」
「構わんぞ?」
 嬉々として服を脱ぎ始めたキュウが朝陽の背後に回り、胸の頂にあるぷっくり熟れた乳首と朝陽の陰茎に手を伸ばして弄り始める。
「ダメ……っ、キュウ……やっ、あ、そんないっぺんに……やるとまた……ッイク!!」
 ギュッと腰に力を入れて細かくニギハヤヒの腰の上で跳ねる。すると、ニギハヤヒが焦ったように朝陽の両腰を掴んで何度か大きく動かした。
「あー…………、やられた」
 キュウが珍しいものでも見るようにキョトンとした顔をしている。
「もしかしてニギハヤヒ暴発しちゃった?」
「儂は三十分は朝陽の口淫で寸止めされてたんだぞ」
「あはは、何それ。お疲れ様って事で次は私の番ね」
 キュウが朝陽の体を持ち上げて、ニギハヤヒの陰茎から抜いた。
「嫌だ、足りない。ニギハヤヒ……もっと」
「私が代わりにたくさん突いてあげる。朝陽、ニギハヤヒにお掃除フェラしたげなよ」
「お前本当に良い性格してるよな?」
 四つん這いにさせた朝陽の上体を倒して腰だけ高く持ち上げる。
 キュウは迷わずに陰茎を挿入させるなり腰を打ちつけた。
「あっ、あん、キュウ……ッ、待って……それ……、気持ちいー……っ、あああ……っ、あああ、ダメ……ぇえ、強ぃいい!」
 口で出来ない代わりに手淫を施し始めた朝陽の頭をニギハヤヒが撫でる。
「先端だけ舐めてたらいい」
「あ、あ、あ、んん、わか……った、う、ぁ、ああん!」
 キュウに揺さぶられながらも、ニギハヤヒに言われた通りに、舌で舐めて先端を軽く吸い上げた。
 あっという間に硬度を持って立ち上がった陰茎を手で扱いていく。
「朝陽、一回出すよ。また孕む?」
 ゆるゆると左右に首を振る。
「もう……っ、嫌だ」
「そう? ざーんねん」
 細かい律動を何度も繰り返され、最後に大きく腰を打ちつけられる。結腸に入り込んできた陰茎が何度も震えて精液を吐き出された。
「あああっ、ああーーっ!!」
「朝陽、また上に来い」
 間も開けずにニギハヤヒの腰の上に落とされ、今度は反対向きに変えられる。そのまま一息に結腸を犯されて朝陽は暴れ始める。
「朝陽、今度は私のも手と口でしてくれる?」
「んん、ぐ!」
「おい、狐。噛まれるぞ」
 ニギハヤヒが朝陽の体が浮くくらい腰を強く打ちつけた。
「あ、ん、ああっあああ……ッ、んっ、気持ち……いい、そこ……イイ!!」
「朝陽、顔蕩けてて可愛いね」
 口淫されるのを諦めたキュウが啄むようなキスを送り始める。
 何度も中出しされた後孔からは、ニギハヤヒが動く度にグチュグチュと卑猥な音が響いていた。
「ニギ……ッハヤヒ、あああーー! 中ぁ、中でイクから……一緒に……っ出してぇえ!」
 朝陽がイクのと同じタイミングでニギハヤヒもまた吐精する。
「お前ら何抜けがけしてやがる?」
 声がした方向には、将門と晴明とオロが不機嫌そうに立っていた。
 仕事から帰ってみれば、出迎えてくれる筈の朝陽がいない。しかも二階からは聞き覚えのあり過ぎる嬌声が聞こえてくる。
 三人は迷わずに二階へと直行して現状に至っていた。
「あ、見つかっちゃった」
「儂は朝陽に襲われただけだ。そこに狐が現れて混ざった」
「朝陽が?」
 信じられんと言わんばかりに将門がニギハヤヒを見つめている。
「冷蔵庫とやらに入っていた缶の飲み物がテーブルに置かれていたからそれが関係しているかもしれんな」
「あ、そういえばボク、アルコールのCM出た時に貰った酎ハイを冷蔵庫に入れっぱなしにしてたの忘れてた。もしかしてそれかな?」
 晴明が無言で下に降りて行き、ダイニングテーブルの上にあった桃の酎ハイを手に戻ってきた。
「飲んだのは確かのようだね。でもこの残った量じゃ、三口くらいしか飲んでいない気がするね」
「三口……え、もしかして朝陽ってアルコールに弱い??」
 欲も放ってスッキリしたのか、スヨスヨと気持ち良さそうに寝ている朝陽が問い詰められ、その真偽が定かになるのは眠りから覚めてからである。




「ああ、飲んだ。美味そうだったんだよ。俺でも飲めるかもって思って……」
 酔っていたのだと分かり、珍しく晴明が口を開いた。
「朝陽、家の中ではいいけれど外での飲酒はダメだよ。もし破ったらソイツは間違いなくオレが呪殺してしまいそうだから気をつけようか? かつてないほどの霊力を出せそうだよ」
 そんな物騒な事を涼しい顔で言わないで欲しい。
「はい。何か良く分からないけど怒ってるのはめちゃ伝わった。俺、外では飲まない!!」
「ふふ、良い子だね」
 他のメンバーも口を開けなかった。


【番外編1、了】

 
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