霊力チートのΩには5人の神格αがいる

riy

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第六話、引越し先はいわく憑き物件。浄霊したら神聖な間になり過ぎて、ついに出来ちゃいました

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 朝になり、引っ越し業者が荷物を抱えて持っていくのを確認した後、朝陽も電車に乗って現地に向かった。
 誰一人として外にいなかったが、朝陽も怒っているので放置する事にした。
 到着して新居を見上げると、陰鬱な空気が立ち込めていて息苦しさが襲う。朝陽は業者全員に纏めて守りの結界を施した。すると一様にハアッと息をついて、其々が不思議そうに首を傾げていた。
 普通の人間が住めなくて当然だった。
 想像していた以上に酷い。家にいる霊は一体や二体ではない。満員電車に乗っているような感覚でそこかしこにいた。
 腕を振り回して指示しているように見せかけて、朝陽がザッシュザシュと容赦なく霊を祓っていく。数が多いので一人では手が回らず、一度結界を張って纏めて祓ってみて試しに結界を解いた。瞬間、また群がってきて満員電車状態に戻ってしまう。
「ここは土地が悪いな。古い墓地跡地か。碌な供養もされとらん。おまけに霊道にもなっておる」
 ニギハヤヒの声がしたかと思いきや、空間が裂けて他の四人も出て来た。
「お前ら居たんかよ」
「置いてくなんて酷いよっ朝陽。私が黄玉を朝陽に埋め込んだままじゃなかったら迷子になってるとこだよ!」
 ——そういえば玉を埋め込まれたままなの忘れてたな。
 キュウが泣き真似を始めた所で、額をこづいてやる。
「いなかったら置いてくってちゃんと言っただろ俺。こっちは時間厳守で動いてんだよ。面倒だし、とりあえずはまた結界張っときゃ良かったかな?」
 晴明に教えられた通りに手印を組み、ついでに言霊も乗せて結界を展開させる。
「ぐっ」
 番達が揃いも揃って地に臥した。
「何やってんだ、お前ら?」
「結界が……強くて、オレらにも……大ダメージだ」
 無表情で淡々と口を開いた晴明の額から、冷や汗なのか脂汗なのか分からない物が伝っている。「あ、ごめん」と言いながら朝陽は強度を緩めた。
「まさかここまで朝陽の霊力が底上げされているとはな。さすがは神造人といった所か?」
 ニギハヤヒのセリフに朝陽は首を傾げる。
「神造人……って何だ?」
 朝陽が言った瞬間、ニギハヤヒは皆んなから足蹴にされていた。
「まさかとは思うが、ニギハヤヒ……貴様朝陽に説明していないのか?」
 地を這う様な声音で将門が口を開く。
「……すっかり忘れておったわ」
 皆が呆れたように長いため息をついていた。
 荷物運びが完了したと業者に呼ばれ、朝陽は玄関先に行く。部屋の中に戻り、リビングで荷解きしながら「で、さっきのってどういう事だ?」と尋ねた。
「華守人より更に希少種の存在。神造人はその名の通り、体内で神を造り生み出せる人間の事だ。噂には聞いておったが、儂も出会ったのはお前が初めてでな。その証にお前の紋様は今、八重山桜になっておるぞ」
「変わってるのか⁉︎」
 日頃から自分の頸など気にして見たことがないから気が付いてもいなかった。
 慌ててスマホで頸の写真を撮り確認する。言われた通りに紋様の形が変わっていて目を見開いた。
「これってお前らとの番契約はどうなってるんだ?」
「それは今まで通りだ」
 ニギハヤヒからの返答に、朝陽が表情を崩す。
「ならいいや。俺からすれば華守人も神造人もどうでも良い。お前らと一緒なら変わらない」
 少し前ならこうして慣れてしまうのが怖かった。
 当たり前のようにもう抜け出せない所まで浸かってしまっている。己の心境の変化に驚きつつも、照れくさそうにはにかんだ朝陽を見て、全員心臓を抑えて床にしゃがみ込んだ。
「今度は何だ。心不全か?」
「朝陽は気にしないで」
 キュウの言葉に首を傾げた。
 一つの部屋にキッチンもあった今までの部屋と違って、リビングもあってダイニングまである。その他、一階にはダイニング繋がりの和室が一部屋。二階には部屋が三部屋だ。これが本当に月五万でいいのか申し訳なくなってくる。
 オロとニギハヤヒが霊道を動かし、祓った側から霊が増えるということもなくなった。
 敷地の周りにいた霊や妖まで全て祓って回り、さっき張った結界とは別に何層かに分けて結界を張った。直後、敷地内全てが浄化され、澄んだ空気と入れ替わっていく。快適過ぎるほどに快適となり、朝陽は鼻歌混じりに家中を歩いて回った。
「広いって良いな」
 オロが作った夕食をとり、皆んなと一緒にリビングでテレビを見る。好きに寛げる部屋は素晴らしい。朝陽は再度感動した。
 だが夜になり、寝ていた朝陽は妙な息苦しさで目を開けた。
 やたら体が重いと思えば、己の周りに全員大集合しているのに気がついて体を起こす。一種の金縛り状態だ。
「夜の営みが足りなさ過ぎると思わんか? 朝陽」
 ニギハヤヒに文句を言われた。
「あー……」
 喧嘩の原因を思い出す。
 昨日話した通りに一日一人、回数は三回まで。でも朝陽から求めた分はカウントしないと妥協案を示す。また揉めるのは面倒だった。


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