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番外編

番外編2-4

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「ん……っ」
 歯列をなぞられ内部の上顎を舌先で刺激されると、先の行為を期待して腰の奥が疼いた。
 快感を散々覚えこまされた体は、力を入れる事すらままならなくなる。
 シャツの中に潜り込んできた指先に胸元を愛撫され、突起を直に触れられた。
「は……っ、んぅ」
 いつもの荒々しい抱き方ではなく、丁寧に熱を高められていくのが少し物足りなく感じる。
 身を捩って、緩やかに勃ち上がっている陰茎を服越しに押し当てると、微かに笑う声が聞こえた。
「物足りないか?」
「当たり前……っだろ。お前らしくない」
「たまには良いだろう」
「嫌だ。何も分からなくなるくらいがオレにはちょうどいい」
 言い終わる前に、服を全て剥ぎ取られて、ベッドの下に放られた。
 アスモデウスが取り出してきたローションを陰茎から垂らされると、後孔まで伝ってきて思わず腰が浮く。
「アスモデウス……っ、早く」
「広げなければ入らん。お前の穴はすぐ閉じるからな」
「お前が……間を空けるから……だろ。おかげで溜まってんだよ」
「くくく、そうか。それは悪い事をした。お前の負担を減らそうとしていたんだがなあ。いらん気遣いだったか。ならもう遠慮なくいかせてもらうとしよう」
 内部に指を潜り込まされて前立腺を刺激される。
「ああ、忘れていた。お前に良いものをやろう」
 やっと入り込んできたと思った指を抜かれて、碧也は不満そうに眉根を寄せた。
 奥の部屋から戻ってきたアスモデウスの手には、銀色のケースが握られている。
「尿道プジーだ」
「アスモデウス。さっきのは冗談だ。だからそれは必要ない」
「そう遠慮するな」
 言われた直後、枷が両手両足に絡みついて足を閉じられないようにされる。
「半勃ち程度が一番入れやすいからちょうど良いな。違うとこに刺さるといけないから動くなよ碧也」
「やめ、ろ。んなもん……入れんな」
 銀色の曲を描いたプジーにもローションを溢したアスモデウスに、ゆっくりと尿道にプジーを入れられていく。
「ひっ……」
 ヒヤリとしたのは初めのうちだった。どんどん飲み込んでいって、やがて前立腺で止まった。
 チュクチュクと動かされながら後ろにも指を入れられる。
「ん、ぁ、ああ!」
 前と中の両方から前立腺を刺激されると、陰茎とプジーの隙間から前立腺液が滲んできた。
 気持ち良くて頭の中が飛ぶ感覚に襲われた。
「やめ、ん、んぅーー」
 二本、三本と指を追加されると、急激に射精感が襲ってくる。
 知らず知らずのうちに腰が揺れ動いてしまうが、刺激が足りない。
 アスモデウスに内部を突いて欲しくて堪らなくなった。
「アスモデウス……っ、出したい」
「駄目だ。今日は俺に合わせてイケ」
「そんなに……ッ持たない」
 指の代わりに肉感のあるモノを押し当てられ、歓喜で体が震える。早く中に欲しくて、自分から挿入しやすいように腰を浮かせた。
 それを見計らったように、パンッと腰を打ちつけられ声もなく意識が飛んだ。
「おい、碧也。帰って来い。気持ち良くなるのはこれからだ」
 ガツガツと腰を振られ、快感で目覚めさせられる。
「あっ、ああ゛あ゛、あ゛ーーー!」
 気が触れてしまいそうな快感が心地よくなったのはいつ頃だろうか。もうアスモデウスなしでのセックスは出来そうになかった。
「アスモデウス、アスモ……っデウス、ああ゛あ゛、んぁあ、気持ちいい!!」
「そうだ。これも動かしてやらなければな?」
 クポクポとプジーを動かさられながら、前立腺を刺激しながら最奥を突かれた。
「ひ、ぁ、ああ! 無理、無理ぃいい、プジー取ってくれ」
 出したくても出せない。快感で体がビクビク震えて止まらなくなった。
 プジーを弄っていた手を止められて、両腰を掴まれて力強い抽挿が始まる。
「うあ、あああ、アア! 頼むから……っ、も、出したい!」
「駄目だ」
 腰を浮かせたまま穿たれ、パンパンと皮膚のぶつかる音が響く。
 もうイク事しか考えられなくなっていると、射精よりも先に中でイカされた。
「んあっああ゛あ゛あ゛!」
 中でイクといつまで経っても戻って来れなくなる。それを見計らったかのように結腸を突かれて、左右に頭を振って髪を振り乱した。
「アスモデウス、アスモデウス!」
「もう少しだ。頑張れ碧也」
 また中でイってしまい、思いっきり腰に力を込めると、アスモデウスが余裕なさげに呻いた。
「お前、妙なとこに……っ、筋肉ついたな。俺を暴発させる気か」
「うるせ……っ、早くイケ!」
「まあ、そろそろか」
 何かするのは分かっていたが、また中でイってからはイキっ放しになる。
「ん、ぁああ、アア、あ……あっ!」
「碧也、取ってやろう」
 プジーを取られて律動を開始されると、頭がおかしくなりそうな程の快感がきた。
 中でイキながら射精するのはいいが、精液が少しずつしか出てこなくて射精感までもが止まらない。そんな中で結腸まで攻められると、意識が飛ぶどころか享受出来る範囲を超えていて、思いっきり背を逸らした。
「ひっ、ん……ッあ、ああ、あ゛あ゛あ!」
 ベッドを蹴って上へ上へと逃げる。
「逃げるな碧也。そんなに良かったか?」
 揺さぶられながら今度は前のめりに体を丸める。
「いや、だ……これ……っ、頭バカに……、あああ、ん、ア゛ア゛……なる」
「お前が俺でおかしくなるのは良い気分だ。欲求不満は治まったか?」
 欲求不満どころか今は鼻血が出そうな程に興奮していた。コクコクと頷くとアスモデウスが満足気に笑った。
「なら、今度は俺の欲求不満に付き合え。白羽が出来てから俺はずっと必要最低限まで我慢していたんだぞ。たまにはそんな旦那を労え」
「は? 我慢て……」
 さっきは自分も欲求不満だと言ったが本気ではない。セックスするのにそこまで日が空いた事はないからだ。単なる煽り文句だったというのに墓穴を掘った。
 アスモデウスを見つめると感情の読み取れない表情をしていた。
「なのに、だ。俺の嫁は他の男ばかり引っ掛けてくる。俺がどれだけ腑が煮え繰り返りそうか理解しているか?」
「それは……っ、んんんーっ!」
 答えようとすると深々と内部に陰茎を押し込まれてしまい、喋れなくなった。それを合図にまた抽挿の速度が上がっていく。
「あっ、ああ……ッ、アス……モデウス……んんんーーー、ひ、アァア、またイク……両方……っ、イクーー!」
「ああ、好きなだけイケ」
 逃げられないように片足だけを持ち上げられて肩に担がれた。


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