パライバトルマリンの精霊王は青い薔薇のきみの夢をみる

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第24話、赤の予兆

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「え? マジで⁉︎」
 ケミルがハァーと、どデカいため息をつく。
「いや、でもあれは俺も紛らわしい事を言ってランベルトを怒らせちゃったんだよ。ランベルトは俺を好きなわけじゃなくて、好きなオモチャに執着してるだけだと思ってたから」
 ケミルが目を丸くしていた。
「え……こんなにベタベタで、契約すらレオンを手に入れる為だけに結んでたのに? 爪のかけら程も好かれてると思ってなかったの?」
 やはり知っていたらしい。
 恥ずかしいやら気まずいやら複雑な心境になった。
「だから、契約とか言われて、単にセフレが欲しいんだとばかり思ってたんだって。セックスなんてそこら辺で皆んなやってるとか言われたし。契約前にそこら辺の子に可愛いだとか好きだとか似たようなセリフを言ってるのを何度も聞いたし、オモチャにも俺に言うのと同じセリフはいてたのも聞いた事あったっけ。まさか俺だけに向けた言葉だとは思ってなかった。皆んな好きくらい言うでしょって本人にも言われたし、ランベルトの気移りの激しさも周りから散々聞かされてたよ。なのに自分だけは違うとか特別だとか勘違いする程、自意識過剰にはなれないよ俺は」
「成程ね。それはランベルトの自業自得だわ」
 ケミルが非難めいた目でランベルトを見ていた。
「あれは本当に反省してる。ごめんね、レオン。ただ気を引きたくて、手っ取り早く隣にいる権利が欲しかったんだ。レオンどっからどう見ても真っ直ぐな性格っぽかったし、考えすぎるきらいもあったから、契約だったら好きって言ってもおかしくないし、レオンも言われ慣れてくれば軽く返してくれるかな? って期待もしてた。尚且つ律儀に約束も守り通してくれるかな~なんてのも思ってた」
「レオンが絡んだ途端にアホになるからな、うちの王様は……」
 王様を目の前にしてそんな事を言ったケミルが可笑しくて笑い転げていると、ランベルトに口付けられて息が出来なくなった。
「ねえ、そこまで笑う?」
 一度口を離されて問われている間に息を吸い込む。また口付けられて遮られたが。
 鼻で呼吸してみるも、酸素が足りない。
「んーー!」
 押し返そうにも力が違い過ぎて、ビクともしなかった。
 ケミルの前だと言うのに散々口内を蹂躙されて離された時にはグッタリとしていて、ランベルトの胸元に縋りつくだけになる。
「レオン笑い過ぎ」
 何かを言い返せる状態じゃなかった。と言うよりも、甘やかな腰の疼きで動けない。
 ランベルトの服を握りしめている手が震えていた。
「報告に来たんだけど明日にするわ。今度はまた男の子にしとけよ」
 手を振って出て行ったケミルの方を向けない。
「ランベルトの……馬鹿」
 恥ずかしくてランベルトを見上げるように睨めば、ニッコリと微笑まれた。
「んじゃ、楽しもうねレオン。何回イキたい?」
「え……三回くらい、かな?」
「あー。ごめん。質問の仕方間違えたね」
 ニッコリと微笑まれたのに、悪寒がするという不思議な体験をしたのは初めてだった。
「中と外合わせて何十回イキたい? 体つらくなったら治癒魔法かけてあげるから大丈夫だよ。安心して?」
 全然大丈夫じゃないし安心も出来ない。
 どうせなら治癒魔法もかからない範囲がいい。
 何とかバルコニーに出て空を飛んで逃げられないだろうか。
「もし逃げたら一週間くらい閉じ込めてその間ずっと抱き潰すよ?」
 考えを読んだような答えに、寒気がした。マズい。本当にマズい。
「ランベルト」
 声が少し裏返った。
「ねえ回数決まった? レオンが決めないなら俺が決めるよ?」
「それはちょっと……せめて十回以内にして欲しい」
「ダメ」
「ごめん。悪かったって、ランベルト。笑い過ぎた。ごめん。許して」
「何で謝ってるの? 別に怒ってないよ俺。今、回数聞いてるだけだから」
 聞く耳すら持って貰えなかった。
 あっという間に脱がされて、逃げられないように太ももの上に乗られる。
 前戯しながら後孔に指も潜り込んできて息を詰める。
「ランベルト……っ、あ……」
 ここ数日ずっと抱かれているのもあって、準備に時間がかかる事もなかった。
「じゃあ回数決めずに挑戦してみる?」
 質量のあるモノを突き入れられて、奥に押し進められる。
「ふ、ぁ、ああ、あああ!」
 肉を打つ乾いた音が鳴り響いた。
 何度も達していると精液が先に枯れた。
 次はずっと中でイかされ続け、もう潮しか出ない。たまに残滓のような精液が溢れ落ちる。
 ——本当に頭がおかしくなりそうだ。
 頭も体もランベルトで満たされて、他のものを受け付けなくされていく。
「ランベルト……っキス……して」
 嬉しそうに眦を朱色に染めたランベルトに唇を塞がれた。
 その間の緩やかな動きも気持ちいい。
 一緒に居れば居るだけ、中毒性が増していく。
 ランベルトの動きに合わせて腰をゆらめかせる。
「あ、ああん、ランッベルト、そこ……っ、気持ちいい、あああ、っん、またイクーー!」
「可愛いレオン。何回でも……ッ、イって」
 下っ腹が疼き、引き攣った。
「ん、ぁ、あああー!」
 十回目を超えると、興奮しすぎて鼻血が出そうだった。
 体位を変えられてベッド縁で膝のみを立てられてうつ伏せにさせられる。
 パン、と大きく肌を打ち付けられると一度で結腸まで抜かれてしまい、思わず背をしならせて上体を持ち上げた。
「ランベルトっ、待っ……! ランベルト……ッ、ひっ、あっああん、今日は……、ああ、ソコには……っ入れない、で」
 ここに来て最奥を突かれるのは快感が大き過ぎて、奥に陰茎を潜らせられる度に頭の中で火花が弾け飛ぶ。
 意識を保ってもいられず、何度か頭の中が飛んだ。
「嫌? でもレオン、さっきから……っ凄い気持ち良さそうな顔してるよ? 中も喜んで俺を締め付けてる。トロットロに蕩けてて俺も最高に気持ちいい」
 止まっていた律動が緩やかに再開される。
 何故か腹の奥が燃えるように熱くなって、快感と入り混じり始めた。
「う……ん、ア、あ、ん……、ひ……ぅ……ッ、気持ち……ぃい……ランベルト……っ、お腹……ん中、熱い……中……熱くて……何コレ……っ、溶ける……、気持ち良い……っ、ぁっあん、熱いっ」
「熱いの? て、あ……本当に熱い?」
 ズルリ、と引き抜かれ体を仰向けにされた。
「レオン。大丈夫?」
 額に手を当てられるが、ランベルトに首を傾げられる。
「あれ? 絶対熱あると思ったのに、熱はないみたいだね。ごめんね、やり過ぎちゃったかな……」
 体を清めてから服を着替えさせられ、ベッドの上に寝かされた。
「体調悪かった?」
 ゆっくりと首を振る。どっちかと言うと、熱いのにまだ全然足りなくて腹の奥が切ない。
「ランベルト、体が変なんだ……」
「医療魔法師呼んでくるよ」
 また首を振った。
「違う……。そうじゃなくて…………足りない。ランベルトに抱かれたい。中……欲しい」
「ちょ、レオン……それじゃさっきと同じになっちゃうよ」
 宥めるようなキスを深くしようと、ランベルトの首にしがみついて自ら舌を絡める。
「いい。腹ん中、ランベルトでたくさんにして欲しい。たくさん……っ出して」
 それからまた際限のなくなった睦み合いが始まった。

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