パライバトルマリンの精霊王は青い薔薇のきみの夢をみる

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第20話、双子

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 ***


 それから三日目の事だった。
 連日の性行為で疲れ果てているレオンは、玉座に腰掛けているランベルトに横向きに抱えられていた。
 部屋で寝ていると何度言っても「離れるのは嫌だ」と聞かないので、ランベルトの好きなようにさせている。
 治癒魔法をかけてくれたので体の痛みは良くはなっているものの、また数時間もすれば元の木阿弥だ。
 そろそろいい加減にして欲しい。
「レオン」
 少し持ち上げられて口付けを落とされる。城内の人たちからの視線が痛い。
「まさか王がここまでぞっこんだったなんて!」
「そりゃ、別の妃どころか側室さえも作らないわけね。納得できたわ」
「あの溺愛っぷりはこっちまで照れちゃう~!」
 女官たちの楽しそうな声が聞こえてきて、逃げたくなってきた。
「レオン~またパパにだっこされてるの?」
「エスは俺の上に乗るか?」
 手を差し伸べると首を振られた。
「エスがのるとつぶれちゃう~」
 ——つぶれる? ランベルトが?
 想像だに出来ない。
「ランベルトも俺もエスが乗ったくらいじゃ潰れないから大丈夫だよ。おいで?」
「だめ」
 レオンの下っ腹に耳をくっつけはじめたエスポワールに視線を向ける。
「エス?」
「うん。そうだね~はやくあいたいね~」
「どうした?」
 不思議に思って声をかけると、エスポワールが微笑む。
「んーとね、あかちゃんとおはなししてるの。あおとしろのふたついるの」
「青と白……ふたつ? て、もしかして双子の赤ちゃんて事︎⁉︎」
 目を瞠った。やはりエスポワールには何かを視通す不思議な力がある。
「ふたごてな~に?」
 言葉の意味までは分からなかったらしい。首を傾げていた。
「誰か、医療魔法師と産婆を呼べ」
「かしこまりました」
 ランベルトが王宮お抱えの医療魔法師と産婆を呼び寄せ、レオンは直ぐに診察を受けさせられた。
「王、これはとてもおめでたいことに、男女の双子を授かっておられますよ」
 自分の事のように嬉しそうに医療魔法師が告げると、ランベルトが破顔した。
「そうか。それは楽しみだ。体を冷やさないようにレオンを部屋に連れて行く。それにしても良く分かったなエス。凄いぞ。さすが私の子だ。エスも一緒に来るか?」
「へへー。エス、ばあばのとこいくの。とっくんしてるの」
 ランベルトに褒められて、照れくさそうにエスポワールが笑んでいた。
「エスをサーシャの元まで送ってくれ」
「かしこまりました。エスポワール皇子。わたくしと参りましょう」
「うん!」
 女官に連れられて、嬉しそうに去って行くエスポワールを見送って、レオンが言った。
「お前の精子どうなってんだ。精子までチートかよ……」
 ランベルトに横抱きにされたままウンザリした様子でレオンは呟いた。
 精霊族の国に来てから三日しか経ってない。それなのにもう第二子が出来た。しかも双子だ。
「ドラゴン属て種が多いのか?」
 問いかけると、ランベルトが王の仮面を脱ぎ捨てたかのように緩い口調で言った。
「そんな話は聞いた覚えないよ~。現に青の一族は繁殖が出来ずに滅びたと教わったからね」
 レオンは地の底まで届きそうな深いため息を吐き出した。
 ランベルトの王としての言動と、自分と居る時の言動に雲泥の差があって、これにもまだ慣れない。
「ランベルトって、どっちの言動が本当のお前なんだ?」
 聞くとランベルトが大きく瞬きした。
「え、レオンと居る時の方に決まってるでしょ。大学院での俺の生活、レオンが一番良く知ってる筈だけど? だってさ、こんな砕けた喋り方をしてる王についてくる人いると思う? 元々王になる予定なんてなかったのにさ。困っちゃうよね。作法だけは昔から習ってるから出来るだけ。だからレオンだけが俺の癒しだよ。元々家族の中で俺は異質で浮いてたし。今はサーシャやエスもいて、俺ね凄い幸せなの。出来れば王の座からも退きたいくらいだけどまだ無理かな。誰かを率いる器じゃないのにね~これにも困っちゃうよ」
 前王や当時の第一皇子が暗殺されていなければ、ランベルトは昔のように気ままに過ごせていたのかもしれない。
 それが突然親や兄弟を殺され、たまたま魔法大学院に通っていたランベルトは助かり、一人残されてしまった。
「お前も大変だったよな……もう大丈夫なのか?」
 手を伸ばしてランベルトの頬に触れた。
「レオンがずっと側にいてくれるなら俺は大丈夫だよ」
 昔はランベルトのこの甘ったるい言葉に気持ちをかき乱されそうで苦手だった。
 でも今は素直に嬉しいと感じる。
「俺もランベルトの側にずっといたい」
 寝室に到着して、ベッドに下ろされた。
「どうしよう。レオン抱きたいけど子どもに悪いかな~?」
「お前が激しくせずに、一回で終われるんならいいんじゃないか?」
「一回で終わる自信ない……」
 真剣に項垂れた様子で肩を落としたランベルトをベッドの淵に腰掛けさせる。
「レオン?」
「じっとしてろ」
 ランベルトのズボンを寛げて陰茎を露わにした。
「え、嘘……。レオンからなんて初めてされた」
 口を開けて咥え込み、舌で刺激を送っていると、見る間に育ち、口内いっぱいに大きく育って行く。
「絶景だねレオン。もっと裏筋とカリ舐めて、舌先で先端も突いてみて?」
「んっ」
 言われた通りにして、口に入りきらない部分を手で擦る。
「っ!」
 ランベルトが息を詰めたのが分かって、己で気持ち良くなってくれてるのが嬉しくてもっと深く咥え込んだ。
 何度も頭を上下させていると徐々にランベルトの陰茎が張り詰めて、口にも含めなくなる。
 先端部分だけ口内に迎え入れて残りは手で握り込んだ。
「レオン……っ、イきそう」
 合図するように見上げて頷くと、ランベルトが自ら腰を振り出した。
 mgフォンを向けられているのが気になりはしたけど、それどころじゃない。ランベルトの動きに合わせて口を窄める。
「出すよ」
 歯を立てないように、舌を動かした瞬間ランベルトの精液が喉の奥を叩いて少し咽せた。
「けほっ」
「わー、ごめんレオン。大丈夫?」
 美味くはなかったけれど飲み込めない程でもなくて、それを知らしめるように口を開いてみせると何故かランベルトが顔を赤くした。
「レオン……そんなのどこで覚えたの? 俺を萎えさせない作戦? 動画撮っといて良かった。一カ月はこれだけで抜ける」
 ランベルトがいつの間にか手にしていたmgフォンを置いた。
「ランベルトがいつも俺にしてたのを真似ただけだ。てか、やっぱり動画だったのかよ。消せ」
「嫌! 俺の宝物になったから!」
 奪おうとしたら引き寄せられて口付けられた。
 口内をぺろりと舐められたが直ぐに離される。「自分の精液たべちゃった」と微妙な顔をされたので思わず笑った。


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