20 / 30
第20話、双子
しおりを挟む***
それから三日目の事だった。
連日の性行為で疲れ果てているレオンは、玉座に腰掛けているランベルトに横向きに抱えられていた。
部屋で寝ていると何度言っても「離れるのは嫌だ」と聞かないので、ランベルトの好きなようにさせている。
治癒魔法をかけてくれたので体の痛みは良くはなっているものの、また数時間もすれば元の木阿弥だ。
そろそろいい加減にして欲しい。
「レオン」
少し持ち上げられて口付けを落とされる。城内の人たちからの視線が痛い。
「まさか王がここまでぞっこんだったなんて!」
「そりゃ、別の妃どころか側室さえも作らないわけね。納得できたわ」
「あの溺愛っぷりはこっちまで照れちゃう~!」
女官たちの楽しそうな声が聞こえてきて、逃げたくなってきた。
「レオン~またパパにだっこされてるの?」
「エスは俺の上に乗るか?」
手を差し伸べると首を振られた。
「エスがのるとつぶれちゃう~」
——つぶれる? ランベルトが?
想像だに出来ない。
「ランベルトも俺もエスが乗ったくらいじゃ潰れないから大丈夫だよ。おいで?」
「だめ」
レオンの下っ腹に耳をくっつけはじめたエスポワールに視線を向ける。
「エス?」
「うん。そうだね~はやくあいたいね~」
「どうした?」
不思議に思って声をかけると、エスポワールが微笑む。
「んーとね、あかちゃんとおはなししてるの。あおとしろのふたついるの」
「青と白……ふたつ? て、もしかして双子の赤ちゃんて事︎⁉︎」
目を瞠った。やはりエスポワールには何かを視通す不思議な力がある。
「ふたごてな~に?」
言葉の意味までは分からなかったらしい。首を傾げていた。
「誰か、医療魔法師と産婆を呼べ」
「かしこまりました」
ランベルトが王宮お抱えの医療魔法師と産婆を呼び寄せ、レオンは直ぐに診察を受けさせられた。
「王、これはとてもおめでたいことに、男女の双子を授かっておられますよ」
自分の事のように嬉しそうに医療魔法師が告げると、ランベルトが破顔した。
「そうか。それは楽しみだ。体を冷やさないようにレオンを部屋に連れて行く。それにしても良く分かったなエス。凄いぞ。さすが私の子だ。エスも一緒に来るか?」
「へへー。エス、ばあばのとこいくの。とっくんしてるの」
ランベルトに褒められて、照れくさそうにエスポワールが笑んでいた。
「エスをサーシャの元まで送ってくれ」
「かしこまりました。エスポワール皇子。わたくしと参りましょう」
「うん!」
女官に連れられて、嬉しそうに去って行くエスポワールを見送って、レオンが言った。
「お前の精子どうなってんだ。精子までチートかよ……」
ランベルトに横抱きにされたままウンザリした様子でレオンは呟いた。
精霊族の国に来てから三日しか経ってない。それなのにもう第二子が出来た。しかも双子だ。
「ドラゴン属て種が多いのか?」
問いかけると、ランベルトが王の仮面を脱ぎ捨てたかのように緩い口調で言った。
「そんな話は聞いた覚えないよ~。現に青の一族は繁殖が出来ずに滅びたと教わったからね」
レオンは地の底まで届きそうな深いため息を吐き出した。
ランベルトの王としての言動と、自分と居る時の言動に雲泥の差があって、これにもまだ慣れない。
「ランベルトって、どっちの言動が本当のお前なんだ?」
聞くとランベルトが大きく瞬きした。
「え、レオンと居る時の方に決まってるでしょ。大学院での俺の生活、レオンが一番良く知ってる筈だけど? だってさ、こんな砕けた喋り方をしてる王についてくる人いると思う? 元々王になる予定なんてなかったのにさ。困っちゃうよね。作法だけは昔から習ってるから出来るだけ。だからレオンだけが俺の癒しだよ。元々家族の中で俺は異質で浮いてたし。今はサーシャやエスもいて、俺ね凄い幸せなの。出来れば王の座からも退きたいくらいだけどまだ無理かな。誰かを率いる器じゃないのにね~これにも困っちゃうよ」
前王や当時の第一皇子が暗殺されていなければ、ランベルトは昔のように気ままに過ごせていたのかもしれない。
それが突然親や兄弟を殺され、たまたま魔法大学院に通っていたランベルトは助かり、一人残されてしまった。
「お前も大変だったよな……もう大丈夫なのか?」
手を伸ばしてランベルトの頬に触れた。
「レオンがずっと側にいてくれるなら俺は大丈夫だよ」
昔はランベルトのこの甘ったるい言葉に気持ちをかき乱されそうで苦手だった。
でも今は素直に嬉しいと感じる。
「俺もランベルトの側にずっといたい」
寝室に到着して、ベッドに下ろされた。
「どうしよう。レオン抱きたいけど子どもに悪いかな~?」
「お前が激しくせずに、一回で終われるんならいいんじゃないか?」
「一回で終わる自信ない……」
真剣に項垂れた様子で肩を落としたランベルトをベッドの淵に腰掛けさせる。
「レオン?」
「じっとしてろ」
ランベルトのズボンを寛げて陰茎を露わにした。
「え、嘘……。レオンからなんて初めてされた」
口を開けて咥え込み、舌で刺激を送っていると、見る間に育ち、口内いっぱいに大きく育って行く。
「絶景だねレオン。もっと裏筋とカリ舐めて、舌先で先端も突いてみて?」
「んっ」
言われた通りにして、口に入りきらない部分を手で擦る。
「っ!」
ランベルトが息を詰めたのが分かって、己で気持ち良くなってくれてるのが嬉しくてもっと深く咥え込んだ。
何度も頭を上下させていると徐々にランベルトの陰茎が張り詰めて、口にも含めなくなる。
先端部分だけ口内に迎え入れて残りは手で握り込んだ。
「レオン……っ、イきそう」
合図するように見上げて頷くと、ランベルトが自ら腰を振り出した。
mgフォンを向けられているのが気になりはしたけど、それどころじゃない。ランベルトの動きに合わせて口を窄める。
「出すよ」
歯を立てないように、舌を動かした瞬間ランベルトの精液が喉の奥を叩いて少し咽せた。
「けほっ」
「わー、ごめんレオン。大丈夫?」
美味くはなかったけれど飲み込めない程でもなくて、それを知らしめるように口を開いてみせると何故かランベルトが顔を赤くした。
「レオン……そんなのどこで覚えたの? 俺を萎えさせない作戦? 動画撮っといて良かった。一カ月はこれだけで抜ける」
ランベルトがいつの間にか手にしていたmgフォンを置いた。
「ランベルトがいつも俺にしてたのを真似ただけだ。てか、やっぱり動画だったのかよ。消せ」
「嫌! 俺の宝物になったから!」
奪おうとしたら引き寄せられて口付けられた。
口内をぺろりと舐められたが直ぐに離される。「自分の精液たべちゃった」と微妙な顔をされたので思わず笑った。
59
お気に入りに追加
150
あなたにおすすめの小説
【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」
「恩? 私と君は初対面だったはず」
「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」
「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」
奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。
彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
[BL]王の独占、騎士の憂鬱
ざびえる
BL
ちょっとHな身分差ラブストーリー💕
騎士団長のオレオはイケメン君主が好きすぎて、日々悶々と身体をもてあましていた。そんなオレオは、自分の欲望が叶えられる場所があると聞いて…
王様サイド収録の完全版をKindleで販売してます。プロフィールのWebサイトから見れますので、興味がある方は是非ご覧になって下さい
魔性の男は純愛がしたい
ふじの
BL
子爵家の私生児であるマクシミリアンは、その美貌と言動から魔性の男と呼ばれていた。しかし本人自体は至って真面目なつもりであり、純愛主義の男である。そんなある日、第三王子殿下のアレクセイから突然呼び出され、とある令嬢からの執拗なアプローチを避けるため、自分と偽装の恋人になって欲しいと言われ─────。
アルファポリス先行公開(のちに改訂版をムーンライトノベルズにも掲載予定)
メランコリック・ハートビート
おしゃべりマドレーヌ
BL
【幼い頃から一途に受けを好きな騎士団団長】×【頭が良すぎて周りに嫌われてる第二王子】
------------------------------------------------------
『王様、それでは、褒章として、我が伴侶にエレノア様をください!』
あの男が、アベルが、そんな事を言わなければ、エレノアは生涯ひとりで過ごすつもりだったのだ。誰にも迷惑をかけずに、ちゃんとわきまえて暮らすつもりだったのに。
-------------------------------------------------------
第二王子のエレノアは、アベルという騎士団団長と結婚する。そもそもアベルが戦で武功をあげた褒賞として、エレノアが欲しいと言ったせいなのだが、結婚してから一年。二人の間に身体の関係は無い。
幼いころからお互いを知っている二人がゆっくりと、両想いになる話。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる