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【4話】予想外の出会い
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カランコロン
扉の上に付いた鐘が、開閉と共に鳴り響く。
誰かが来店した合図だ。
その音を聞いて、私は瞬時に口を開く。
「いらっしゃいませ!」
奥の厨房から焼きあがったパンをカウンターに置かれれば、即座にそれを装備して、
「こちら焼き立てでございます!よろしければおひとついかがでしょうか~」
と、勿論満面の笑みは忘れずに。
お客様がお会計をするのならば、
「こちら3点で850Gで御座います。850G丁度お預かり致しました。ただいまお包み致しますので、少々お待ちくださいませ!」
と、言いながら素早く手を動かして、
「ありがとうございました!またのご来店お待ちしております」
と、深々とおじきをしてお見送り。
完璧。
我ながら、12歳でここまで出来たら凄いと思う。まぁ中身は二十歳超えた接客業経験者だから、出来て当たり前なんだけれども。
残念なのがこのお店、来るお客様がほとんど同じ人なところだった。
あ、常連客しか来ないんじゃないからね。
同じ姿のモブしか来ないよって事。
だから店内に服装から髪型から、何から何まで同じ見た目の人しか居ないとかよくあるし、それって結構不気味だったりする。
あと同じモブでも買う物が違うとかある程度の個性はあるのかなぁとか、思っていた時期もありました⋯⋯。
うん、同じだよね!
だからだいたい常にお会計850Gだし、同じ物しか売れないから在庫が偏る。
在庫が偏ると、一部の材料だけが極端に減る。
そうすると、とあるミッションが発生するのだ。
「■■■、チャチャの葉の粉末が無くなってしまったから、商店に行って30個程買ってきておくれ」
ズバリ、お使いミッション。
流石に材料自動補給ではないようで、使ったら使っただけ無くなるから、三日に1回くらいのペースで店主さんから頼まれた。
毎回同じ物を、毎回同じ量。
ちなみに■■■って言うのは、恐らく私の名前⋯⋯だと思う。信じたくないけれど。
私の名前欄は【女A】だけれど、女Aとは呼ばれなかったから、私には■■■って言った名前があるらしいのだ。
発音の仕方は表現がし難くて、強いて言うのならばムニョムニョムニョだった。
まだ私が正確に固定名をGETしていないせいで、そうなっちゃっているんだと切実に思いたい。
断じて私の名前は、■■■じゃない!
あとチャチャの葉の粉末は、抹茶みたいなやつだ。
同じモブがお茶パンみたいな商品、チャチャパンばかり買って行くから、チャチャの葉の粉末だけが異常に無くなるのだ。
と言う訳でお使いミッションが発生したので、いつも通りチャチャの葉の粉末を買いに外に出た、のだけれども⋯⋯。
◆
現在私は、お店近くのちょっとした物陰に隠れております。
お使いミッションもつつがなく終わり、店にもどったら知らない人が立っていた。
目もばっちりあるし、そもそも他のモブと違って明らかに見た目の個性が強い人達が。
しかも割と大きい声で、
「ねぇバル~?邪魔じゃないここ。ここがあるから景観悪いんだよね~」
と、隣に控えてる側近みたいな人に言ってもいた。
「(羨ましい、あの人CV持ちじゃんか)」
歯ぎしりしたところで私は気が付いてしまった。
「(ちょっと待って、あの人達見た事ある)」
見たことあると言うか、一方的によく知っている。
「邪魔だから消していい?」
「お待ちください殿下!」
1人は髪から服装までとにかく全身白い、如何にも高貴な雰囲気を纏った、見た目年齢16歳くらいの男。
そして側に控えているのは、ちょっと頭の硬そうな片眼鏡を付けた深い青色をした髪の青年。
共に驚く程、顔面が整いきって完璧に形成されていた。
そう、まるで"乙女ゲームの攻略対象"のように。
「(あの白い方レイで、後ろの堅物そうな側近絶対ヴァルデじゃん!!アシュレイ・スティロアビューユとヴァルデ・ベルクじゃんか!!)」
私は慌てて頭の中をフル回転させて、この世界ーー【フォーチュン♥ラブ♥アドベンチャー】の事を思い出した。
まずヒロインは使用人。だいたいの事を全て1人でこなせてしまえる、完璧人間。
そしてそんなヒロインと恋に落ちる、攻略対象キャラは全部で4人だ。
1人目。
このゲームで絶対に外せない最重要人物【ツェル】。
主人公が王宮で出会う、黒ずくめの謎の少年だ。
初めてプレイした時にOPで初っ端からショタが降臨しただけでも驚いたのに、そのショタがまさかの攻略キャラの中でも1番前に立つ人物。
言わばメインヒーローだったから、攻略を最後まで取っておいたのが思い出。
ちなみに初回限定版のパッケージは、ヒロインとツェルの2人が寄り添っていらっしゃるイラストだった。
色々謎ではあったんだけれど、簡単に言うと【ツェル】は彼の偽名だ。
本名は【シャッテン・スティロアビーユ】。
スティロアビーユがこの国の王家の苗字なので、まぁ早い話謎の少年は、色々あって姿が子供になってしまった正体不明の王様でした~ってオチだった。バレバレにも程がある。
次に、いまパン屋の前に居る側近【ヴァルデ・ベルク】。
王様の側近兼、王宮の使用人達の1番トップも担っている縁下の力持ちタイプ。またの名を、社畜。
彼に休日は存在しているのか?ってつい思っちゃう程度には、共通パートではほぼ常に働いてばかりいた人。
その分ヴァルデルートはヒロインに頼ったり弱さを見せたり、ついうたた寝とかしちゃうくらい安心したり。
ヒロインがピンチの時には、職務を投げ出してまで真っ先に助けに来てくれたりとするので、実は私が1番お気に入りのルートってこのヴァルデルートだったりする。
他に【幼馴染の騎士】と【後輩執事】が居るけれどこの2人はいつか説明するとして、問題はこの白い男だ。
なんでこの人が、街に出てきているのかは分からないんだけれど。
この白い男の名前は【レイ】。
レイって言うのは愛称で、正式名称は【アシュレイ・スティロアビーユ】。
ツェルの時同様スティロアビーユが付いているので王家の1人⋯⋯と言うかややこしいのだけれども、元々王様はこの人だった。
ツェルの双子の兄で、ツェルとヴァルデ。
あと確か大団円と逆ハールートで登場して、エンディングによっては盛大に邪魔をし、時にはヒロイン攻略対象関係無く、躊躇いもせずに殺してくる。
RPGで言うところのラスボスキャラだ。
生まれつき膨大な魔力を持っていたせいで我儘な性格になってしまい、そのせいで王になる前から色々酷い事をしてきた【悪王の噂】のご本人様でもある。
早い話、あまりにも強過ぎて誰も逆らえないせいで天狗になっちゃったのだ。
序盤は王としての地位を剥奪され、更には封印までされていて眠り続けている。
故に、共通ルートにはほぼ出てこない。
ところが個別ルート中盤に入ると、ヒロインが原因で封印が緩み徐々に起きるようになってしまう。
結果、再び悪王としての猛威を振るうようになってしまいました!と、だいたいの流れがこんな感じだった。
基本レイはどのルートでも、攻略キャラとの戦いの末に死亡するか国外追放されるか幽閉されるかと断罪の道を辿る。
けれどBADを含めた全ツェルエンディングと全ヴァルデエンディングを回収すると、突然錠前に挿さった鍵を回す描写が現れて光った後に、レイルートが開放されて攻略出来るようになるのだ。
攻略対象は初めの段階で4人と明記されているし、レイはOPにも一切登場しなかった。
だから急に攻略可能になった時に驚いたんだけれども、すぐに乙女ゲームによくある展開だって理解した。
所謂、"隠れキャラ"ってやつだ。
そんながっつり主要キャラの方々が、どうしてパン屋の前に居るのだろうって思ったのだけれど、さっきレイがなんか言っていたよね?
『邪魔だから消していい?』
って。
◆
悪王の噂は結構重要な事柄らしく、何回もシナリオに出て来た。
ただその噂で言われている事の大半が、嘘と言うか過大表現に近い。
実際は首をはねた=解雇されただし、誰も姿形を知らないって言うのも、正確には王子が2人居るからどっちが王様になったのか分からないってだけ(それもどうかとは思うけれどね)。
それこそヴァルデとか立ち位置が上の人達はみんな、レイとツェルどちらが王様なのかをきちんと知っていたし、噂の真偽についても把握していた。
けれど一つだけ、件のレイが実際にやらかした事がある。
違う点と言えば、"王の時にやった"んじゃなくて"王子の時にやった"と言うだけの。
ーーーー
挙句の果てに邪魔だったとかなんとかで
パン屋が主人ごとごっそりなくなった
ーーーー
これだけは本当にレイがやったんだと、ツェルルートで明確に書かれていた。動機不明なんだけれど、概ね「邪魔だった」であっていたと思う。
この事件がきっかけでレイの危険性に気が付いたツェルが、4年掛けて禁術に近い事までしてレイの事を封印した。
だからレイは眠り続けて、ツェルも禁術の代償で子供になってしまったのだ。
そしてそこから先のストーリーが、このゲームの主な内容となっている。
何が言いたいかって言うと⋯⋯。
「(潰されたパン屋って、もしかしなくてもここだよねっっ?!)」
だって噂でパン屋潰したご本人が、パン屋の目の前で「邪魔」とか言っているのだ。
「(もう確定じゃん、絶対潰されるじゃんこのパン屋。おかしいと思ったよ!)」
ほぼ同じ物しか売れないパン屋に。
ほぼ同じモブしか来ないパン屋に。
と言うか、どう考えても赤字まっしぐらなこのパン屋に。
「(目があって会話が出来るモブが居るのは、違和感しかなかったね!!)」
そりゃそうだよシナリオに組まれているもん、パン屋の店主。そりゃ目あるよ、反応するよ。
主要キャラ達にとってのある意味最初の分岐点みたいな出来事に、一番巻き込まれてる人だもん。
話せなきゃ困りますよね。そうですよね。
"自動お着替え機能"をどうにか上手い事使って、行く行くは店主に成り代わってやろうと目論んでいたのに、目があるモブには目がある理由があったようです。
ここに来て、別に地位は関係ないのかもしれない疑惑が浮上してしまったじゃないか。
正直、今このパン屋を潰されるのは大変困る。
折角見付けた収入源がなくなっちゃうし、目を手に入れる目標から遠ざかってしまうから。
でも、私はただのモブ。
ただのモブが主要キャラにどうこう出来るのかって言われたら、そんな事は無論出来ない話なのだ。
モブってそう言うものだし。
他に干渉して欲しくはないけれど、なんか一言欲しいなぁって時に使うのがモブだし。
「(さて、どうしよう)」
物陰から2人の様子をじっと観察していれば、不意にレイがふんふん鼻を動かした。
そして、
「そこに居るの誰?」
と、まさかの私の居る方向へ顔を向けてきたのだ。
びっくりした。
匂いで気付くとか、この人犬か何かなんだろうか。
それとも私が乙女ゲームだと錯覚していただけで、実はホラゲだったりしない?もしかして。
とりあえず不幸な事に、がっつり目と目は合ってしまった(私目無いんだけどね!)。
初手逃げるを封じられた私は、そーっと出て行くしかなかった。
確かレイは一貫して"気に入らない事はとりあえず潰す"型の人間だった気がするので、厄介な奴に見つかったぞと思いつつ、でもこのパン屋は潰されたくはないのだ、困った。
どうするか悩んだ時、対して役にも立たないと思っていた生前の記憶の中に打開策があった。
「(クレーム対応で行こう)」
ゲームのこの人の言い分なんて、ほぼほぼこじつけの悪質クレーマーに近いものだったもん。
曲げちゃいけない商品曲げたら折れました。不良品だ!返金しろ!みたいな、理不尽な事に近かった。
だって"窓の外見て景観が気に入らないから"って理由で、パン屋を潰そうとしているぐらいなんだよ?
これのどこが悪質じゃないのだろうか。
勇気を振り絞る基、私は接客スイッチを入れた。
「(よし、頑張れ私。目の前のこの人はお客様、目の前のこの人はお客様)」
いいぞいいぞ、自己暗示出来てきたよ~。
さぁクレーム処理のお時間だ。
まずは悪質クレーマーがもう一度口を開く前に、先制攻撃をするのだ。
「いらっしゃいませお客様。何かお探しでしょうか?」
首を少し傾けて口角をぐっと上にあげて、営業スマイルを貼り付ける。
ポイントは目元もしっかり笑う事。
そうじゃないと睨んできたとか、新たなクレームを呼びかねないからだ。
まぁ目無いんですけどね私!!
私のお客様対応にポカンとしたレイを置いて、更に私は畳み掛ける。
主導権を渡したら負けだからだ。
「当店は材料全てにこだわったパン屋で御座います。こちら新作商品です!よろしければどうぞ~」
はい、決まった!
味見用のパンをトングで差し出す、連携技もやってのけた。⋯⋯良かった、味見用セットそのまま持ってきちゃってて。
「ん~⋯⋯僕パン買いに来た訳じゃないんだけどなぁ~」
私が差し出したパンを見て、レイがそう言った。
「(そりゃそうでしょうよ、だってあなた王子様だもん。パンなんか買わなくても、城に沢山あるでしょうよ)」
けれど私はあくまで、自国の王族の事なんて詳しくは知らない、ただの下町のパン屋の店員(12)なのだ。
ただお使いから帰ったら、お店の前にお客様が立っていたから話し掛けただけの人なのだ。
「そんなことおっしゃらずにお客様。是非!こちらご賞味くださいませ!パンは食べてみないと分かりませんから!ね!」
「そう?じゃあ貰おうかな」
「はい!よろしければお連れ様もどうぞ~」
私の押しに負けたのかレイに味見用のパンを渡す事には成功したので、ついでにちゃっかり横のヴァルデにも勧めておいた。
べ⋯⋯別にぃ?1番好きなルートのキャラと接触したかったとか、そんな事考えてないんだからねっっ?!
ただ流石は、側近。社畜のヴァルデ。
「いえ、私は……」と、やんわり断られてしまった。
それが普通の反応だと思います、あなたは間違ってないよ。社畜のヴァルデ。
社畜のヴァルデは恐らく、これ出来ればレイにも食べて欲しくないんじゃないかなぁって顔をしていた。
まぁそうだろう。いくら性格が宜しくなくても、この人王子様だから。
得体の知れないモブ女Aから渡された、得体の知れないパンなんて毒味無しに口にして欲しくない筈だ。
けれども、渡しちゃったんだから仕方がないのだ。
確かに勧めたのは私だけれど、命令も強制もしていない。
ちょっとゴリ押しはしたかもしれないけれど、最終的に食べるって決めたのはこの王子様の方だ。
あと私「え、この方は王子様だったんですか?!」と言う体なので!あくまで自分のお仕事全うしているだけの店員なので!
接客業って、そう言う流れが上手い事作れないと無理だもん。鈍感なフリしていた方がいい時の方が多いもん。下手に出つつ、会話の主導権さえ渡さなければ勝率上がるんだもん。そう言う世界だもん。
つまり、
「(私の勝ちでいいよね!)」
って事で。
と、何に対して勝負しているのか分かんなくなっちゃうくらいには、実は私は混乱していたのだ。
だってね?このアシュレイ・スティロアビーユとか言う人間が関わった事で、いったいどれだけのモブが、シナリオのわずか一文果ては一言で夜空のお星様になった事でしょう。
主要キャラなんて、モブにとっては脅威でしかないのだ。
なんとか出来るのなら、なんとかしたい。
でも極力目は付けられたくない。穏便に済ましたい。
それ以外の本音なんか無い。
「(私はこんなところで終わる前に、しなくちゃいけない事があるのです。そう!目と個人名と出来ればCVを得ると言う、重大な使命がね!)」
とか思いつつも、内心はめちゃくちゃビビっているのだ。
結局私はどう足掻いても、その辺を歩いているだけの背景担当の女Aから、パン屋の背景担当に変わっただけのモブだから。
そんな私の心境とは裏腹に、なんだか気味悪いぐらいにレイは目を見開いて、私は思わず身構えた。
「(怖いんだけど、この人っっ?!パンに虫でも入ってた?なんでそんなに目かっ開くの?!)」
覚悟は残念ながら全く決めきれていない私と、目を見開いたまま凝視してくるレイが対峙する。
「(大丈夫大丈夫、いくら何でも初見殺しは流石にして来ない筈だから)」
保証は全く出来ないけどね!
私の怯えを更に高めさせた目に続いて、ゆっくり口を開いたレイは、やがてポツリとこう言った。
「君すごい変わってる。なに?」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい???
扉の上に付いた鐘が、開閉と共に鳴り響く。
誰かが来店した合図だ。
その音を聞いて、私は瞬時に口を開く。
「いらっしゃいませ!」
奥の厨房から焼きあがったパンをカウンターに置かれれば、即座にそれを装備して、
「こちら焼き立てでございます!よろしければおひとついかがでしょうか~」
と、勿論満面の笑みは忘れずに。
お客様がお会計をするのならば、
「こちら3点で850Gで御座います。850G丁度お預かり致しました。ただいまお包み致しますので、少々お待ちくださいませ!」
と、言いながら素早く手を動かして、
「ありがとうございました!またのご来店お待ちしております」
と、深々とおじきをしてお見送り。
完璧。
我ながら、12歳でここまで出来たら凄いと思う。まぁ中身は二十歳超えた接客業経験者だから、出来て当たり前なんだけれども。
残念なのがこのお店、来るお客様がほとんど同じ人なところだった。
あ、常連客しか来ないんじゃないからね。
同じ姿のモブしか来ないよって事。
だから店内に服装から髪型から、何から何まで同じ見た目の人しか居ないとかよくあるし、それって結構不気味だったりする。
あと同じモブでも買う物が違うとかある程度の個性はあるのかなぁとか、思っていた時期もありました⋯⋯。
うん、同じだよね!
だからだいたい常にお会計850Gだし、同じ物しか売れないから在庫が偏る。
在庫が偏ると、一部の材料だけが極端に減る。
そうすると、とあるミッションが発生するのだ。
「■■■、チャチャの葉の粉末が無くなってしまったから、商店に行って30個程買ってきておくれ」
ズバリ、お使いミッション。
流石に材料自動補給ではないようで、使ったら使っただけ無くなるから、三日に1回くらいのペースで店主さんから頼まれた。
毎回同じ物を、毎回同じ量。
ちなみに■■■って言うのは、恐らく私の名前⋯⋯だと思う。信じたくないけれど。
私の名前欄は【女A】だけれど、女Aとは呼ばれなかったから、私には■■■って言った名前があるらしいのだ。
発音の仕方は表現がし難くて、強いて言うのならばムニョムニョムニョだった。
まだ私が正確に固定名をGETしていないせいで、そうなっちゃっているんだと切実に思いたい。
断じて私の名前は、■■■じゃない!
あとチャチャの葉の粉末は、抹茶みたいなやつだ。
同じモブがお茶パンみたいな商品、チャチャパンばかり買って行くから、チャチャの葉の粉末だけが異常に無くなるのだ。
と言う訳でお使いミッションが発生したので、いつも通りチャチャの葉の粉末を買いに外に出た、のだけれども⋯⋯。
◆
現在私は、お店近くのちょっとした物陰に隠れております。
お使いミッションもつつがなく終わり、店にもどったら知らない人が立っていた。
目もばっちりあるし、そもそも他のモブと違って明らかに見た目の個性が強い人達が。
しかも割と大きい声で、
「ねぇバル~?邪魔じゃないここ。ここがあるから景観悪いんだよね~」
と、隣に控えてる側近みたいな人に言ってもいた。
「(羨ましい、あの人CV持ちじゃんか)」
歯ぎしりしたところで私は気が付いてしまった。
「(ちょっと待って、あの人達見た事ある)」
見たことあると言うか、一方的によく知っている。
「邪魔だから消していい?」
「お待ちください殿下!」
1人は髪から服装までとにかく全身白い、如何にも高貴な雰囲気を纏った、見た目年齢16歳くらいの男。
そして側に控えているのは、ちょっと頭の硬そうな片眼鏡を付けた深い青色をした髪の青年。
共に驚く程、顔面が整いきって完璧に形成されていた。
そう、まるで"乙女ゲームの攻略対象"のように。
「(あの白い方レイで、後ろの堅物そうな側近絶対ヴァルデじゃん!!アシュレイ・スティロアビューユとヴァルデ・ベルクじゃんか!!)」
私は慌てて頭の中をフル回転させて、この世界ーー【フォーチュン♥ラブ♥アドベンチャー】の事を思い出した。
まずヒロインは使用人。だいたいの事を全て1人でこなせてしまえる、完璧人間。
そしてそんなヒロインと恋に落ちる、攻略対象キャラは全部で4人だ。
1人目。
このゲームで絶対に外せない最重要人物【ツェル】。
主人公が王宮で出会う、黒ずくめの謎の少年だ。
初めてプレイした時にOPで初っ端からショタが降臨しただけでも驚いたのに、そのショタがまさかの攻略キャラの中でも1番前に立つ人物。
言わばメインヒーローだったから、攻略を最後まで取っておいたのが思い出。
ちなみに初回限定版のパッケージは、ヒロインとツェルの2人が寄り添っていらっしゃるイラストだった。
色々謎ではあったんだけれど、簡単に言うと【ツェル】は彼の偽名だ。
本名は【シャッテン・スティロアビーユ】。
スティロアビーユがこの国の王家の苗字なので、まぁ早い話謎の少年は、色々あって姿が子供になってしまった正体不明の王様でした~ってオチだった。バレバレにも程がある。
次に、いまパン屋の前に居る側近【ヴァルデ・ベルク】。
王様の側近兼、王宮の使用人達の1番トップも担っている縁下の力持ちタイプ。またの名を、社畜。
彼に休日は存在しているのか?ってつい思っちゃう程度には、共通パートではほぼ常に働いてばかりいた人。
その分ヴァルデルートはヒロインに頼ったり弱さを見せたり、ついうたた寝とかしちゃうくらい安心したり。
ヒロインがピンチの時には、職務を投げ出してまで真っ先に助けに来てくれたりとするので、実は私が1番お気に入りのルートってこのヴァルデルートだったりする。
他に【幼馴染の騎士】と【後輩執事】が居るけれどこの2人はいつか説明するとして、問題はこの白い男だ。
なんでこの人が、街に出てきているのかは分からないんだけれど。
この白い男の名前は【レイ】。
レイって言うのは愛称で、正式名称は【アシュレイ・スティロアビーユ】。
ツェルの時同様スティロアビーユが付いているので王家の1人⋯⋯と言うかややこしいのだけれども、元々王様はこの人だった。
ツェルの双子の兄で、ツェルとヴァルデ。
あと確か大団円と逆ハールートで登場して、エンディングによっては盛大に邪魔をし、時にはヒロイン攻略対象関係無く、躊躇いもせずに殺してくる。
RPGで言うところのラスボスキャラだ。
生まれつき膨大な魔力を持っていたせいで我儘な性格になってしまい、そのせいで王になる前から色々酷い事をしてきた【悪王の噂】のご本人様でもある。
早い話、あまりにも強過ぎて誰も逆らえないせいで天狗になっちゃったのだ。
序盤は王としての地位を剥奪され、更には封印までされていて眠り続けている。
故に、共通ルートにはほぼ出てこない。
ところが個別ルート中盤に入ると、ヒロインが原因で封印が緩み徐々に起きるようになってしまう。
結果、再び悪王としての猛威を振るうようになってしまいました!と、だいたいの流れがこんな感じだった。
基本レイはどのルートでも、攻略キャラとの戦いの末に死亡するか国外追放されるか幽閉されるかと断罪の道を辿る。
けれどBADを含めた全ツェルエンディングと全ヴァルデエンディングを回収すると、突然錠前に挿さった鍵を回す描写が現れて光った後に、レイルートが開放されて攻略出来るようになるのだ。
攻略対象は初めの段階で4人と明記されているし、レイはOPにも一切登場しなかった。
だから急に攻略可能になった時に驚いたんだけれども、すぐに乙女ゲームによくある展開だって理解した。
所謂、"隠れキャラ"ってやつだ。
そんながっつり主要キャラの方々が、どうしてパン屋の前に居るのだろうって思ったのだけれど、さっきレイがなんか言っていたよね?
『邪魔だから消していい?』
って。
◆
悪王の噂は結構重要な事柄らしく、何回もシナリオに出て来た。
ただその噂で言われている事の大半が、嘘と言うか過大表現に近い。
実際は首をはねた=解雇されただし、誰も姿形を知らないって言うのも、正確には王子が2人居るからどっちが王様になったのか分からないってだけ(それもどうかとは思うけれどね)。
それこそヴァルデとか立ち位置が上の人達はみんな、レイとツェルどちらが王様なのかをきちんと知っていたし、噂の真偽についても把握していた。
けれど一つだけ、件のレイが実際にやらかした事がある。
違う点と言えば、"王の時にやった"んじゃなくて"王子の時にやった"と言うだけの。
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挙句の果てに邪魔だったとかなんとかで
パン屋が主人ごとごっそりなくなった
ーーーー
これだけは本当にレイがやったんだと、ツェルルートで明確に書かれていた。動機不明なんだけれど、概ね「邪魔だった」であっていたと思う。
この事件がきっかけでレイの危険性に気が付いたツェルが、4年掛けて禁術に近い事までしてレイの事を封印した。
だからレイは眠り続けて、ツェルも禁術の代償で子供になってしまったのだ。
そしてそこから先のストーリーが、このゲームの主な内容となっている。
何が言いたいかって言うと⋯⋯。
「(潰されたパン屋って、もしかしなくてもここだよねっっ?!)」
だって噂でパン屋潰したご本人が、パン屋の目の前で「邪魔」とか言っているのだ。
「(もう確定じゃん、絶対潰されるじゃんこのパン屋。おかしいと思ったよ!)」
ほぼ同じ物しか売れないパン屋に。
ほぼ同じモブしか来ないパン屋に。
と言うか、どう考えても赤字まっしぐらなこのパン屋に。
「(目があって会話が出来るモブが居るのは、違和感しかなかったね!!)」
そりゃそうだよシナリオに組まれているもん、パン屋の店主。そりゃ目あるよ、反応するよ。
主要キャラ達にとってのある意味最初の分岐点みたいな出来事に、一番巻き込まれてる人だもん。
話せなきゃ困りますよね。そうですよね。
"自動お着替え機能"をどうにか上手い事使って、行く行くは店主に成り代わってやろうと目論んでいたのに、目があるモブには目がある理由があったようです。
ここに来て、別に地位は関係ないのかもしれない疑惑が浮上してしまったじゃないか。
正直、今このパン屋を潰されるのは大変困る。
折角見付けた収入源がなくなっちゃうし、目を手に入れる目標から遠ざかってしまうから。
でも、私はただのモブ。
ただのモブが主要キャラにどうこう出来るのかって言われたら、そんな事は無論出来ない話なのだ。
モブってそう言うものだし。
他に干渉して欲しくはないけれど、なんか一言欲しいなぁって時に使うのがモブだし。
「(さて、どうしよう)」
物陰から2人の様子をじっと観察していれば、不意にレイがふんふん鼻を動かした。
そして、
「そこに居るの誰?」
と、まさかの私の居る方向へ顔を向けてきたのだ。
びっくりした。
匂いで気付くとか、この人犬か何かなんだろうか。
それとも私が乙女ゲームだと錯覚していただけで、実はホラゲだったりしない?もしかして。
とりあえず不幸な事に、がっつり目と目は合ってしまった(私目無いんだけどね!)。
初手逃げるを封じられた私は、そーっと出て行くしかなかった。
確かレイは一貫して"気に入らない事はとりあえず潰す"型の人間だった気がするので、厄介な奴に見つかったぞと思いつつ、でもこのパン屋は潰されたくはないのだ、困った。
どうするか悩んだ時、対して役にも立たないと思っていた生前の記憶の中に打開策があった。
「(クレーム対応で行こう)」
ゲームのこの人の言い分なんて、ほぼほぼこじつけの悪質クレーマーに近いものだったもん。
曲げちゃいけない商品曲げたら折れました。不良品だ!返金しろ!みたいな、理不尽な事に近かった。
だって"窓の外見て景観が気に入らないから"って理由で、パン屋を潰そうとしているぐらいなんだよ?
これのどこが悪質じゃないのだろうか。
勇気を振り絞る基、私は接客スイッチを入れた。
「(よし、頑張れ私。目の前のこの人はお客様、目の前のこの人はお客様)」
いいぞいいぞ、自己暗示出来てきたよ~。
さぁクレーム処理のお時間だ。
まずは悪質クレーマーがもう一度口を開く前に、先制攻撃をするのだ。
「いらっしゃいませお客様。何かお探しでしょうか?」
首を少し傾けて口角をぐっと上にあげて、営業スマイルを貼り付ける。
ポイントは目元もしっかり笑う事。
そうじゃないと睨んできたとか、新たなクレームを呼びかねないからだ。
まぁ目無いんですけどね私!!
私のお客様対応にポカンとしたレイを置いて、更に私は畳み掛ける。
主導権を渡したら負けだからだ。
「当店は材料全てにこだわったパン屋で御座います。こちら新作商品です!よろしければどうぞ~」
はい、決まった!
味見用のパンをトングで差し出す、連携技もやってのけた。⋯⋯良かった、味見用セットそのまま持ってきちゃってて。
「ん~⋯⋯僕パン買いに来た訳じゃないんだけどなぁ~」
私が差し出したパンを見て、レイがそう言った。
「(そりゃそうでしょうよ、だってあなた王子様だもん。パンなんか買わなくても、城に沢山あるでしょうよ)」
けれど私はあくまで、自国の王族の事なんて詳しくは知らない、ただの下町のパン屋の店員(12)なのだ。
ただお使いから帰ったら、お店の前にお客様が立っていたから話し掛けただけの人なのだ。
「そんなことおっしゃらずにお客様。是非!こちらご賞味くださいませ!パンは食べてみないと分かりませんから!ね!」
「そう?じゃあ貰おうかな」
「はい!よろしければお連れ様もどうぞ~」
私の押しに負けたのかレイに味見用のパンを渡す事には成功したので、ついでにちゃっかり横のヴァルデにも勧めておいた。
べ⋯⋯別にぃ?1番好きなルートのキャラと接触したかったとか、そんな事考えてないんだからねっっ?!
ただ流石は、側近。社畜のヴァルデ。
「いえ、私は……」と、やんわり断られてしまった。
それが普通の反応だと思います、あなたは間違ってないよ。社畜のヴァルデ。
社畜のヴァルデは恐らく、これ出来ればレイにも食べて欲しくないんじゃないかなぁって顔をしていた。
まぁそうだろう。いくら性格が宜しくなくても、この人王子様だから。
得体の知れないモブ女Aから渡された、得体の知れないパンなんて毒味無しに口にして欲しくない筈だ。
けれども、渡しちゃったんだから仕方がないのだ。
確かに勧めたのは私だけれど、命令も強制もしていない。
ちょっとゴリ押しはしたかもしれないけれど、最終的に食べるって決めたのはこの王子様の方だ。
あと私「え、この方は王子様だったんですか?!」と言う体なので!あくまで自分のお仕事全うしているだけの店員なので!
接客業って、そう言う流れが上手い事作れないと無理だもん。鈍感なフリしていた方がいい時の方が多いもん。下手に出つつ、会話の主導権さえ渡さなければ勝率上がるんだもん。そう言う世界だもん。
つまり、
「(私の勝ちでいいよね!)」
って事で。
と、何に対して勝負しているのか分かんなくなっちゃうくらいには、実は私は混乱していたのだ。
だってね?このアシュレイ・スティロアビーユとか言う人間が関わった事で、いったいどれだけのモブが、シナリオのわずか一文果ては一言で夜空のお星様になった事でしょう。
主要キャラなんて、モブにとっては脅威でしかないのだ。
なんとか出来るのなら、なんとかしたい。
でも極力目は付けられたくない。穏便に済ましたい。
それ以外の本音なんか無い。
「(私はこんなところで終わる前に、しなくちゃいけない事があるのです。そう!目と個人名と出来ればCVを得ると言う、重大な使命がね!)」
とか思いつつも、内心はめちゃくちゃビビっているのだ。
結局私はどう足掻いても、その辺を歩いているだけの背景担当の女Aから、パン屋の背景担当に変わっただけのモブだから。
そんな私の心境とは裏腹に、なんだか気味悪いぐらいにレイは目を見開いて、私は思わず身構えた。
「(怖いんだけど、この人っっ?!パンに虫でも入ってた?なんでそんなに目かっ開くの?!)」
覚悟は残念ながら全く決めきれていない私と、目を見開いたまま凝視してくるレイが対峙する。
「(大丈夫大丈夫、いくら何でも初見殺しは流石にして来ない筈だから)」
保証は全く出来ないけどね!
私の怯えを更に高めさせた目に続いて、ゆっくり口を開いたレイは、やがてポツリとこう言った。
「君すごい変わってる。なに?」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい???
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