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狐メイドは、英雄を拾う
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しおりを挟む「いいですか、たまもさん。外で変な人に声をかけられても 決してついていったりしちゃだめですよ。」
真剣な表情で、セイが儂に語りかける。
これから儂は、ひとりでおつかいにでるのじゃ。はじめてのおつかいである。先程から、セイは 儂に御使いの心得というのを説き伏せてくる。うむ。外面は、幼子じゃが、中身は立派な悪女というに 心配性じゃの。
「世の中には、幼女趣味という輩がいまして 可愛い女の子を見るや はぁはぁと息をあらげ 近寄り 匂いをかぎ、あわよくば触れてこようとする変態がいるのです。」
うむ。今儂の目の前にも、変態はおるからな。変態の危険性は、よくわかっておるつもりじゃ。
「…僕は、変態ではありませんよ。」
儂の言わんとする事を察し、セイがじと目で抗議する。
魂のストーカーで、幼女育成軟禁魔。
これが変態といわんで、何を変態というのじゃ。
「たまもさんが、大人になるまで 手を出すつもりはありません。」
だから、自分は変態じゃない。っと断言するセイ。お主の持論は、理解できかねる。
「とにかく、フェルト村まで 御使いに行けばよいのじゃな?」
「ええ。長い時間は離れられない 魔導実験中なので…その材料の一部が消失してしまったので、買いに行くしか…」
「儂が悪かった。と言っておるではないか。だから、責任をとって買いに行くのであろう。」
ムスっとむくれて 言い返す。あの玉がそなに大事と、思わなんだ。知らなかったのじゃから仕方ないじゃろ?っと不貞腐れてみる。
セイの実験に使用するはずじゃった魔玉。
それを、消失させたのは 儂じゃ。あれは、不慮の事故じゃった。
キラキラひかる、小さな魔玉。窓辺で転がすと、日の光を反射し 七色の虹が 浮かんだ。
全部並べて転がせば、大きな虹ができるやも?
その好奇心には、勝てなんだ。
悪いとは、思っておるのじゃ。
108個あった魔玉を窓辺に並べ、ちょいとつついて転がすだけのつもりじゃった。つつくつもりが、ズルッと転けて…勢いよくダイブ。窓を開けておったものじゃから、パーーーンっと盛大に飛び散りおった。キラキラ魔玉が、雨のように虚空を舞い弾け飛ぶ。
高い塔から真っ逆さまに落下する魔玉。
ピカーン!スパパパパ!ズーン!ドドーン!
地面に到達するや、眩い光と爆音を立て破裂していく魔玉。
あーそれは、それは綺麗じゃった。
塔の袂が、焼け野原になってもうたのは ご愛敬っといったところじゃな。
「責任持って、魔玉をこうてくる。心配は無用じゃ。」
にっこり笑って、元気よくセイに言う。
「わかりました。見知らぬ野良狐についていっちゃだめですよ。」
「わかっておる。」
「いってらっしゃい。」
さぁて、ちゃっちゃかフェルト村に向かうかのぉ。
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