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狐メイドは、悪女を目指す
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儂は メイドさんである。
今生では、9歳の将来有望な見目麗しき狐美少女じゃ。
今は、宿敵主のセイの元に身を寄せておる。
前世(?)で、儂は玉藻前という絶世の美女で悪女じゃった。そりゃあもう、男という男をこの豊満なボディーと色気で翻弄しまくってやったわ。
…豊満なボディーと色気で…。
「どうしたんですか?たまもさん。じっと足元なんか見て」
頭上から、声が落とされる。
「うるさい!セイ!足元なんか見ておらん!儂が見てたのは、む…」
「む?」
胸じゃ ど阿保と怒鳴りかけて慌ててやめる。あかんぞ儂、胸の大きさを気にしとるなどと こやつに悟られるなど羞恥の極みじゃ。断崖絶壁、つるぺた、ぽっこりおなかボディーなど気にしておらぬ。あと数年。あと数年もすれば この悩みも解消されよう。
なんたって儂は、傾国の美悪女なのだからの。それまでの辛抱じゃ。
「たまもさんは、そのままで充分愛らしいですよ。」
「はぐっ!」
「その、銀糸の髪も。意思の強いまっすぐな紅い瞳も。感情のあらわれやすい 狐耳と尻尾も。小さな体で精一杯がんばるたまもさんは、とても愛らしいです。」
にこにこと儂を見つめるセイ…なんじゃこやつ…心でも読めるのか?精神攻撃の他に、そのような術も会得しとるのか…ぐぬぬ!
流石 元、安倍晴明…儂の宿敵だけあるな。かくいう儂は、記憶を取り戻したばかりで、なんの妖術も使えぬ…ただの愛らしい狐メイドじゃ。むぅ。早く大人になりたい。妖術と我が儘ボディを手に入れて 儂は この世界の美悪女になるのじゃ。ふっふっふ。
「ご機嫌ですね。たまもさん。何かいい事あったのですか?」
「ふふん。主に話してやる義理はないのぉ。」
美悪女になって、主を蠱惑し 誑かす メロメロのでろでろにしてやる。ふふん。儂にメロメロになって 愛を乞うこやつの姿を想像しただけで、自然と愉悦に浸れるのぉ。
「えー。教えて下さいよ。」
「たまもさんが、喜ぶ事 知りたい。知っておけば、僕がまたたまもさんを喜ばせてあげれるでしょ?」
「たまもさんの笑顔。たくさん見たいですから。」
ぐぅっ!こやつ!またもや儂に精神攻撃をしかけてきよる!
なんじゃ、手など握ってきおって!むむむむっ近い!顔が近いぞ!
セイのモノクルの奥にある、金色の瞳が揺れておる。
やはり魔術とやらを使っておるのだな!左目の黒曜石のような黒目は、儂の精神を不安定にさせる。見てはあかぬ。見てはあかぬのに…ううっ目が逸らされぬ。こやつ、きっと束縛の術で 儂の動きを止めておるのだな。
「卑劣な奴め。」
うぬぬ。怒りで顔が赤らんでくるではないか!
「いつか、美悪女になって…貴様を魅了しメロメロのデレデレ。腰が立たぬ程の骨抜きにしてくれるっ!」
儂は、悔し紛れにそう叫んだ。
今生では、9歳の将来有望な見目麗しき狐美少女じゃ。
今は、宿敵主のセイの元に身を寄せておる。
前世(?)で、儂は玉藻前という絶世の美女で悪女じゃった。そりゃあもう、男という男をこの豊満なボディーと色気で翻弄しまくってやったわ。
…豊満なボディーと色気で…。
「どうしたんですか?たまもさん。じっと足元なんか見て」
頭上から、声が落とされる。
「うるさい!セイ!足元なんか見ておらん!儂が見てたのは、む…」
「む?」
胸じゃ ど阿保と怒鳴りかけて慌ててやめる。あかんぞ儂、胸の大きさを気にしとるなどと こやつに悟られるなど羞恥の極みじゃ。断崖絶壁、つるぺた、ぽっこりおなかボディーなど気にしておらぬ。あと数年。あと数年もすれば この悩みも解消されよう。
なんたって儂は、傾国の美悪女なのだからの。それまでの辛抱じゃ。
「たまもさんは、そのままで充分愛らしいですよ。」
「はぐっ!」
「その、銀糸の髪も。意思の強いまっすぐな紅い瞳も。感情のあらわれやすい 狐耳と尻尾も。小さな体で精一杯がんばるたまもさんは、とても愛らしいです。」
にこにこと儂を見つめるセイ…なんじゃこやつ…心でも読めるのか?精神攻撃の他に、そのような術も会得しとるのか…ぐぬぬ!
流石 元、安倍晴明…儂の宿敵だけあるな。かくいう儂は、記憶を取り戻したばかりで、なんの妖術も使えぬ…ただの愛らしい狐メイドじゃ。むぅ。早く大人になりたい。妖術と我が儘ボディを手に入れて 儂は この世界の美悪女になるのじゃ。ふっふっふ。
「ご機嫌ですね。たまもさん。何かいい事あったのですか?」
「ふふん。主に話してやる義理はないのぉ。」
美悪女になって、主を蠱惑し 誑かす メロメロのでろでろにしてやる。ふふん。儂にメロメロになって 愛を乞うこやつの姿を想像しただけで、自然と愉悦に浸れるのぉ。
「えー。教えて下さいよ。」
「たまもさんが、喜ぶ事 知りたい。知っておけば、僕がまたたまもさんを喜ばせてあげれるでしょ?」
「たまもさんの笑顔。たくさん見たいですから。」
ぐぅっ!こやつ!またもや儂に精神攻撃をしかけてきよる!
なんじゃ、手など握ってきおって!むむむむっ近い!顔が近いぞ!
セイのモノクルの奥にある、金色の瞳が揺れておる。
やはり魔術とやらを使っておるのだな!左目の黒曜石のような黒目は、儂の精神を不安定にさせる。見てはあかぬ。見てはあかぬのに…ううっ目が逸らされぬ。こやつ、きっと束縛の術で 儂の動きを止めておるのだな。
「卑劣な奴め。」
うぬぬ。怒りで顔が赤らんでくるではないか!
「いつか、美悪女になって…貴様を魅了しメロメロのデレデレ。腰が立たぬ程の骨抜きにしてくれるっ!」
儂は、悔し紛れにそう叫んだ。
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