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第2章

レクリエーション4/7

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 擬態魔獣のトレントをレオニダスが物理で撃破し、ハイドさん監修の元セージやセボリー、ローズマリー、ラベンダー、ベルベーヌを採取しましたわ。

魔獣の観察や森の中の植物の調査もミッションに含まれていたので、それの筆記も。私がやろうとしたのに「ヴィーちゃんの絵って・・・・芸術だね・・・・」とフィロスが言葉を詰まらせましたわ。「絵は、僕が描くねぇ」っとトリフォリウムさんの役割になってしまったので、私の役目は筆記のみですわ。・・・・解せぬ。


 接近戦のレオニダス、ハイドさん。近~中距離のフィロス。中~遠距離のトリフォリウムさん。後方支援の私。

・・・・扇子では戦いようがありませんわ。
手持ち無沙汰ですわ~。
ひーまーでーすーわー。

ブツブツ不満を口にしていたら、「ヴィーちゃんは、戦わなくてもいいんだよー。女の子なんだから」っと手を握られましたわ。

貴女も女の子ではなくって!?フィロス!ヒロインの貴女が最前線に飛び込んだり・・・・貴女本当に乙女ゲームヒロインのフィロス・インカですの!?今流行りの戦うヒロインって奴ですの!?でもナイフ片手に飛び回るヒロインは、乙女ゲームヒロインではない気がしますわ!ええ!何かが大きく間違ってましてよーー!?

 ーという私の不満と混乱をよそに、湖に辿りつきましたわ。



「ここまでで二時間経過か」

 ハイドさんがぽつりと呟きましたわ。もうそんなに経過したのですわね。

「おっ?一番のり?他の班はいないようだな!」
「森の中では、何組かとすれ違ったりしてたけどね」

 レオニダスの声に、フィロスが反応しますわ。
すれ違い?まったく気付きませんでしたわ。今時のヒロインは、気配も読めるのですわね。

「多分、ユニコーンは、皆諦めてるんだろうねぇ」
「え?何故ですの?」

ポイントが高いのよね?やる前から諦めるだなんて、諦めては、試合はそこで終了ですのよ?

「うーん。ユニコーンは幻獣だからね。滅多に逢えないよぉ」

 え?

「まじか!なら、此処で待っててもミッションクリアにならないんじゃないか!?」
 
 慌てるレオニダス。私も同意見ですわ。

「なら、今から他のミッションめざして移動する?それとも森の中だし、ニトロ茸とかマヒ茸とか探す?ネンチャク草とかネムリツタの採取もいけるかもー」

「鉱石の発掘に行くなら、この先の岸壁か渓流だな。移動だけで30分。・・・・採掘で見つかると限らない。他の班がすでに採掘しているだろうしな」

 フィロスとハイドさんは、冷静ですわね。なんというか、こういう事態に慣れてるみたい。

「俺は、ここで釣りでもいいけど?メンドイワシとかブチギレアジとか釣れるだろ?」

「僕は此処で釣りや採取しながら待つのでいいと思うよ。逢える時は逢える。逢えない時は逢えない。それも運命だよねぇ」

 トリフォリウムさんがほやりと笑いますわ。場が和みますわね。

「できる事を、できる範囲でするしかないしねー。それでいーんじゃないかなー?」

「ええ。そうですわね。」

悩んでも仕方ありませんわ。できる範囲でやれる事をやる。それもレクリエーションの意義ですわよね。

「よし!なら釣りしようぜ!釣り!早速釣りだー!」
「・・・・そのまま湖に入ろうとするな。道具なら作ってやるから。持ち手はさっき倒したトレントの枝を使う。釣り針はハリマジロの針を拾っていたからそれで・・ツタを取ってこい。レオニダス」
「おし!わかった!あいあいさー!」

 上着を脱ぎ、湖に飛びこもうとするお馬鹿をハイドさんが静止しますわ。素手で魚を獲るつもりだったわね。お馬鹿犬。道具・・・・ちゃんと使えるのかしら・・・・

「なら、私は餌ようにワームでも捕まえてくるねー。オンプバッタやギリギリッスもいそう。それもミッションだったよねー?」

 昆虫採取をする。とフィロスは走り去りましたわ。ういういと昆虫採集に勤しむヒロイン。・・・・何か間違っている気がするけど、今更ですわね。

「私は・・・・」
「ヴィクトリアさんは、僕と此処で魔獣観察しながらユニコーンを待とうよ。魔獣観察もミッションの一つだからねぇ」

 木陰に腰を下ろしたトリフォリウムさんが、ぽんぽんと隣に誘導してくれますわ。大きな幹の元。柔らかな苔が生えるその上に、自身のローブを広げ私に座るように微笑む。 

「ありがとう。トリフォリウムさん」
「ううん。僕の方こそ。色々ありがとうねぇ。ヴィクトリアさん」

二人で並んで座る。なんだか心がほっこりしますわね。アニマルテラピーってこういう感じかしら。

「なんか、楽しいねぇ。こうやって皆で協力できるのって」

のんびりした空気の中、トリフォリウムさんがゆっくりと話ますわ。

「そうですわね。ただ・・・・私、あまりお役に立ててない事が心苦しいですわ」
「そんな事ないよぉ。ヴィクトリアさんがいるだけで、チームが明るいし、ハイド君も馴染めてて、僕ホッとしてるんだぁ」

 さわさわと、柔らかな風が抜けますわ。木の葉の隙間から、木漏れ日が落ち。トリフォリウムさんの髪を撫でていく・・・・

「え?私、本当に何もしていませんわ?ハイドさんだって最初から協力してくれていましたし、別に馴染めてなかったわけではありませんわよ?」
「そういうところ、ヴィクトリアさんの才能だと思うなぁ」
「?」

 少し離れた場所で、「おっしゃー!とったどー!」っと騒ぐレオニダス。「騒ぐな。煩い」っとハイドさんの呆れた声も聞こえますわね。

「この班で良かった。ハイド君、人嫌いだし誤解されやすいから心配だったけど・・・・本当に良かった」

 揺れる湖面。光を反射しキラキラ輝く、ゆったりとした時間の流れを感じますわ。

「ハイドさんは、へそ曲がりな世話焼きですわよね」
「あはは。そうだねぇ。確かにそうだ」

 笑うトリフォリウムさん。なんだかとても嬉しそうですわ。

「ハイドさんとトリフォリウムさんは、仲が宜しいのですね」
「うん。同じ孤児院出身だからね。寮は別だから、それが残念なんだけど」

 そう言うとトリフォリウムさんは、私の方を向きじっと見つめてきましたわ。

「ねぇ。ヴィクトリアさん」
「なんですの?」
「ヴィクトリアさんは、孤児院出身者はどう思う? 」



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